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地域の活動を支える町のお父さん

  • 2023年9月15日

旭川市の市街地と美瑛町の間に位置する西神楽。ここでは若者がお店を始めたり、市民が自分たちでパークゴルフ場をつくったり、地域活動が盛んです。その背景には、活動を陰で支える人物の存在がありました。

地域で頑張る若者を支えるのは

西神楽は知る人ぞ知る米どころ。滞在3週目の9月中旬、収穫の時期を迎えています。

ローカルフレンズの秋山拓郎さんも新米のおにぎりを実食

ここまでの滞在で気づいたことがありました。西神楽では、どうやら地域活動が盛んなよう。この2年で若い世代がお店を3つも開業していたり、年間3万人以上が利用する立派なパークゴルフ場は市民がつくっていたりするというのです。そして、活発な地域活動の立役者がいると聞き、会いに行きました。それがこの方。町づくりを行うNPO法人の理事長・武田勇美さんです。

見せてくれたのは、自身のNPO法人で運営している民宿。一見、普通のお部屋に見えますが……

「この金庫はもらってきた」
「このテレビももらってきたやつ」
「これ(イス)ももらってきたもの」

民宿にはこのような「もらいもの」が多いといいます。訳をきくと、仕事で空き家整理をした際に、使えそうだと取っておいたものなのだとか。

そしてこの恩恵を受けているのが、西神楽でお店を始めた若者たちでした。

たとえば7月にカフェをオープンした国兼󠄁雅人さんは、テイクアウト用の受け渡し口の高さが合わず困っていると、武田さんが廃材を使ってオシャレなデッキを取り付けてくれたそう。

国兼󠄁さん「もうお父さんっていう感じですよ」

ほかにもホットドッグのお店がオープンするときには、もらった資材を活用し、内装工事を行いました。さらにクラフトビールショップには、廃校になった小学校からもらい受けたシーソーをプレゼント。大人も子どもも楽しめる空間をつくったのです。

「西神楽に来てくれるってことが一番うれしいことだから。若い人がこうやって商売して、またたくさんの違う若い人を集めてくれたら、この辺が賑やかになりますからね。そのためになら俺がやれることは何でもやってあげるよっていう」と話す武田さん。西神楽で奮闘する若者の強い味方です。

究極のリサイクル術は地域の至る所に

そんな武田さんが連れて行ってくれたのは、パークゴルフ場。年間3万人以上が利用するのだとか。もとはササヤブだったというから驚きです。

この立派なパークゴルフ場も、西神楽のみなさんが手作りしたもの。取材時には、実際にここをつくった方にもお会いできました。聞くと、農業をやりながら土木を30年やっていた重機のプロだそう。

そして休憩所には……
「こうやって見るとわかるでしょ。もらってきたって」。

武田さんは、ここでも使わなくなった家具をしっかり再利用していました。

リサイクル上手な武田さん。実は二級建築士の資格をもっており、以前は建設会社に勤めていました。その証拠にNPO法人の敷地には、こんな観光スポットまで。

お手製のハシゴで登る干し草ロールと手作りの展望台です。

「なんか困ったことがあったら、みんな私のところに連絡来ますから。西神楽の何でも屋さん」と話す武田さん。

地域活動が盛んな西神楽の裏には、人々がこぞって頼る「町のお父さん」の存在がありました。

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