ページの本文へ

NHK北海道WEB

  1. NHK北海道
  2. NHK北海道WEB
  3. サケチャンネル
  4. サケカメラ 2023-2024 札幌 豊平川を見る 0755DDチャンネル

サケカメラ 2023-2024 札幌 豊平川を見る 0755DDチャンネル

  • 2024年2月13日

豊平川のサケたちをタイムラプスカメラで追う「サケカメラ」。2023-2024シーズンは、真駒内川に取り付けられた魚道に注目しました。白い簡易魚道=布式行道を通ってサケたちは上流へ向かったのか? 冬のサケのヒミツとあわせて取材しました。
初回放送 2024年1月27日

1メートル20センチの落差に…

豊平川の支流、真駒内川には、サケが越えられない落差があります。もともとは平らな流れだったのですが、増水を繰り返しているうちに下流側の川底がどんどん低くなり、現在は1メートル20センチの段差ができています。

2023年の夏、河川を管理する北海道開発局札幌河川事務所は、この落差を乗り越えるための期間限定の仮設魚道を取り付けました。かつてサケが産卵していた真駒内川の上流にサケを再び遡上させるためです。

数日で完成する魚道

取り付けられた魚道は寒地土木研究所と道庁が共同開発した「布式魚道」です。金属パイプを組んで骨組みを作り、トラックの幌に使う布を張って流路を作ります。

開発した研究者によりますと—。

寒地土木研究所主任研究員 布川雅典さん
「材料が金属パイプと布ですから、安く作れます。安く作れるということは、簡単に作れるということでもあって、すぐに機能させることができるというメリットもあります」

布川さんの言うとおり、布式魚道の設置は現場のベテラン担当者の活躍もあって数日で完了。白い幌布が黄色の留め具で固定された魚道が完成しました。

レンズを魚道に向けて撮影スタート

サケたちはこの魚道を使って上流にのぼることができるのか、その姿を捉えるため、魚道を見渡せる位置に「サケカメラ」を設置、日中、10分おきにシャッターを切るタイムラプス撮影でサケを待ちました。

最初に、サケが魚道を使ったことが確認されたのは9月22日の午後でした。この魚道には、最上流部に魚の動向を検知する「魚カウンター」と魚種を判定するためのカメラが取り付けられています。
確認されたサケは、そのカメラがとらえました。

サケたちの動きは、この直後から活発になり、日中の時間帯に10分に一度、10秒間しか撮影していないサケカメラも、その姿をとらえるようになりました。

11月2日には、サケカメラのバッテリー交換にやってきたサケカメラ取材班の目の前で、次々に遡上。この日、昼の0時53分から午後4時過ぎにかけて、少なくとも5匹の遡上を目視することができました。

 

魚道を利用したサケが上流で産卵

布式魚道が設置された9月上旬から11月中旬までの間、魚カウンターで確認できた、サケの遡上数はのべ136匹。夜間など、確認できないものも含めると、それ以上のサケがこの魚道を利用していました。
この魚道の上流域では、産卵床とその産卵床を守るメスのサケの姿が確認てきました。

サケの遡上状況を記録してきた札幌市豊平川さけ科学館によりますと、2013年以来の産卵床の確認でした。

※魚道についてはこちらにも記事があります。
サケにとって大事な魚道ってご存知ですか?
真駒内川の布式魚道 サケがのぼりました
あの魚道どうなった? ポータブル魚道・布式魚道を振り返る

 

シーズン後半は冬のサケに注目

布式魚道が機能したことが確認できたところで、「サケカメラ」は下流に移動です。真駒内川の魚道から10キロ下流のJR鉄橋上流にある、分流の様子を記録します。
この分流は、もともとサケの産卵場所でしたが、流れが変化して入り口が土砂で埋まり、産卵に使われなくなっていたところを人の力で水路を作り直し、産卵場所として復活させた区間でもあります。
このあたりで産卵するのは、シーズンの後半に遡上してくる冬のサケです。

冬のサケが頼りにする湧き水とは?

冬の豊平川の川の中を歩いていると、急に足が温かく感じる場所に出くわすことがあります。そんな場所は、「湧き水」が出ている場所。冬のサケたちは、この温かい湧き水を頼りにしています。
12月27日、豊平川のサケの産卵状況を調べている豊平川さけ科学館と水産資源研究センターの調査チームに同行して、湧き水の様子を教えてもらいました。
JR鉄橋上流の水路にできた産卵床の中に温度計のセンサーを差し入れてみると…。

豊平川サケ科学館 学芸員 有賀望さん
「9度、10度ありますね。後からくるサケは、こうした湧き水のあるところを掘って卵を産むんです」

地下を通って出てくる湧き水の温度は10度ほど、この時期の水温が2度から3度であることを考えると、この温かい湧き水が、卵の成長に欠かせない恵みになっています。

 

1月の親サケ

今シーズン、豊平川で記録した最後の親サケは、1月8日になりました。湧き水を頼りに年を越しても産卵しているサケたちがいました。豊平川サケ科学館の9月から1月にかけての調査で、豊平川に帰ってきたサケの数は、推定で1944匹に上りました。例年より多い数です。

こうして豊平川のサケたちの長い産卵の季節は終わり、そのホッチャレを冬の貴重な糧にしてきたほかの生きものたちにとっても、春が待ち遠しい時期になってに違いありません。

オジロワシが舞い降りた

※豊平川のサケ自然産卵についてはこちらの記事もどうぞ。
サケカメラ2021-2022 札幌 川の野生を追う 0755DDチャンネル
サケのホッチャレのゆくえ

 

0755DDチャンネル番組ページに戻る
0755DDチャンネル 記事まとめページに戻る

ページトップに戻る