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真駒内川の布式魚道 サケがのぼりました

  • 2023年9月26日

札幌市内の真駒内川にあるサケがのぼれない落差に、布製の取り外し式の魚道が取り付けられ、9月下旬、サケが魚道を使ってのぼったことが確認されました。 比較的安価に、サケの自然産卵の範囲を広げられる方法として注目です。

布で作る魚道

「布式魚道」はトラックの幌布と鉄パイプを組み合わせて作ります。寒地土木研究所と道などが開発し、今回、北海道開発局札幌河川事務所が、真駒内川の落差工に取り付けました。
長さは15メートルあり、布がたるんだ場所が魚の休憩場所となって、高さ60センチの切り立った落差を越えて上流へ向かえるようになっています。
この布式魚道の特徴は、少ない費用で、すばやく作れることです。材料が安価で設置に必要な期間も数日。布なので、いろいろな地形にあわせて作れるという利点もあります。

コンクリートや石を組んで作る「恒久」魚道を、すべての河川工作物に取り付けることが難しいなか、魚たちにとって必要な時期だけ取り付ける取り外し式の魚道がいま注目されていて、布式魚道はそうした魚道の一つになっています。

落差を越えて

この布式魚道には、センサーで魚の通過を検知する「魚カウンター」とタイムラプスカメラが取り付けられていて、それらを組み合わせて、サケの遡上を検知できる仕組みなっています。
カウンターがサケを検知したのは、9月22日の夕方でした。カメラの映像と照合した結果、オスのサケ1匹が遡上したことが確認されました。

その2日後の24日、落差から100メートル上流で、こちらの映像が撮影されました。メスのサクラマスと一緒におよぐオスのサケ。ときおり、近づいてきたオスのサクラマスを追っ払っていました。

24日、落差工の上流で確認されたサケ 魚道を通ってきた

真駒内川の落差は、泳力のあるサクラマスならばそのままでも越えられますが、サケは越えることができません。このためこのサケは、魚道を通ってのぼってきたサケと同一の個体と考えられます。

4キロ上流でオスのサケ

さらに25日に札幌市豊平川さけ科学館が行なった真駒内川の調査で、サケが落差工から4キロ上流までのぼっていたことが確認できました。
この調査は本来サクラマスの産卵床を数えることが目的ですが、今回はあわせてサケの遡上状況も調べていました。
上流で見つかったサケはオスで、調査の直前、落差工から100メートルの場所で、オスのサケが目撃されていることから、
この日、落差工の魚道を通って、上流側に、1匹ないしは2匹のサケが遡上していたと考えられます。

魚道の入り口付近には、サケが何匹か到着していて(25日の時点で6匹程度)、このあと迎える遡上の最盛期に、どれだけのサケが上流へのぼっていくのか注目です。

NHK北海道では、引き続き、魚道の様子、サケの様子を、特設サイト「サケカメラ」でお伝えしていきます。

斜里町のポータブル魚道でもサケ遡上確認

こうした取り外し式魚道のうち、道内で今シーズン設置されているもうひとつのタイプが「ポータブル魚道」で、斜里町内の2ヶ所に設置されています。

そのうちの一つでは設置直後にカラフトマスの遡上が確認されたほか、もう1ヶ所では、9月第4週の調査の際に、サケの遡上が、「5分間に1匹にペースで」確認され、こちらも上流への自然産卵の拡大に役立っていることがわかりました。

その魚道について詳しい記事はこちら
サケにとって大事な魚道ってご存知ですか?

北のサケお兄さんまとめページはこちら

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