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サケのホッチャレのゆくえ

  • 2024年1月25日

長い長い旅を経て、北海道の川を遡上したサケたちは、産卵という大役を終えてホッチャレになります。そのホッチャレ、死んだ後に大事な役割があるんです。

命をまっとうする瞬間

秋から冬にかけて、海から帰ってきた親サケたちが川でどんなことをしているのか観察していると、サケの最後の瞬間に立ち会うことがあります。
川底で動きをとめて、あるいは、バランスがとれないほど弱って斜めにとどまっていたサケが、最後に体を大きくくねらせ、流れにとどまる力を失って、流れていくのです。

その姿を見る時、3年から5年をかけて、はるかベーリング海から戻ってきた命の最期を目の当たりにして、とても厳かな気持ちになります。
そして、そのホッチャレに、次なる使命があります。

「ワシがなる木」

それは、他の生きものの、たべものになることです。ある時はキツネだったり、ある時はタヌキだったり。川の流れにそって、水辺の雪の上に、流れに沿って残る足跡は、ホッチャレを探す足取りです。
大型の猛禽、オオワシ・オジロワシにとっても、ホッチャレは、秋から冬の貴重なたべものです。いつも産卵床ができる流れのすぐ横に、毎年のようにオオワシが飛来するので、まるで「ワシがなる木」がある川もあります。

三脚とカメラを持って川原を移動していると、「ワシの観察ですか」と声をかけられることもあります。サケとワシには、切ってもきれない縁があります。
サケカメラ」を毎年、設置している豊平川にも、毎年、オジロワシがやってきます。

とても用心深いので、姿をみつけても、100メートル離れたところからカメラのレンズを向けただけで飛び去ってしまいます。
ですが、今シーズンはサケカメラならではの貴重な映像を撮影することができました。詳しくは、0755DDチャンネル「サケカメラ 2023-2024」でご紹介します。

水中に響く「プチッ」という音

ホッチャレが養うのは地上の生きものだけではありません。水中でその恩恵を受けているものもいます。
例えば、モクズガニ。胆振地方で出会ったそのモクズガニは、水中に横たわるホッチャレに「カニ乗り」になって、何やら口に運んでいました。

後日、映像を編集していて気づいたのは、カニヅメで身をむしり取る瞬間に「プチッ」と音が響いていることです。腐敗が進んだホッチャレならともかく、フレッシュなサケの皮を自力でちぎって身を食べることができるのは、モクズガニくらいかもしれません。

サケが海と陸をつなぐ

地球には重力があるので、川は最後には海に流れ、地上の栄養分も海に運ばれます。そうした栄養分は、そのままでは地上に戻りません。
サケたちは、「自分の身」という形で、海の栄養分を、重力に逆らって、川に陸上に持ち上げる、貴重な存在でもあります。
ホッチャレたちは、直接ほかの生きものたちのエサになり、森に運ばれて木々の栄養分となります。
サケたちは、海と陸を自由に行き来することで、重要な役割を果たすことができるのです。

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ひるナマ北海道でお届けしている、誰かに話したくなるサケのお話。
記事をここにまとめています。
サケカメラ のページ
サケののぼる川、豊平川を定点観察しているページ
0755DDチャンネル「サケカメラ 2023-2024 札幌 豊平川を見る」

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