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春を呼ぼう!留萌で興奮のニシン船レース

  • 2024年3月26日

「留萌に春を呼ぼう!」を合言葉に行われる恒例イベント「萌っこ春待里(はるまつり)」が、3月10日に開催され、取材に行ってきました。イベントは今回で26回目。呼び物は復元された木造のニシン船(重量・約700キロ)を1チーム8人で引くトーナメントレース。雪上を走って目指すのは、80メートル先のゴール。優勝賞金10万円を目指すレースは、時折、雪が降るなか、地元の皆さんの予期せぬ奮闘もあって、盛り上がりを見せました。

【参加者は気合十分!会場には熱気】
このイベントでは、過去に3回司会を担当したことがあり、毎年楽しく参加していました。
きっかけは、息子の保育園の運動会でアナウンスを担当したことでした。(子どもの行事がきっかけで市内のイベントをお手伝いするのは、この地域あるあるです)どの年代の方も楽しめる、このイベントの熱気を伝えようと、今回、取材に訪れました。

当日は時折、雪も降りましたが、留萌特有の強い風もなく、絶好のコンディションでした。甘エビ争奪じゃんけん大会などの後に開催されたのは、復元されたニシン船を引くレース。
大漁旗が掲げられたニシン船は木造で、重さは約700キロ。1チーム8人で引いて、雪上を走り抜き、80メートル先のゴールを目指すトーナメントレースです。ことしは、地元の高校のサッカー部や野球部、海上保安部、企業のチームなど総勢16チームが参加しました。チームごとにオリジナルの「はっぴ」やカラージャンバーを身につけ、優勝賞金10万円を目指すレースは、今回も白熱したものになりました。

チームのメンバー8人の合計年齢が200歳を超える場合は、1歳につき、10センチ程度スタート地点を前にする特別措置がありますが、全チームが引く700キロのニシン船には120キロの積み荷があり、ここには年齢に応じた特別措置は一切なし。ハードです!

このレースは、留萌高校野球部が3連覇中。レース前には大人のチームから「チームの名を大会の歴史に残すぞ!」とか「このあとの宴会のための優勝賞金を高校生にかっさらわれてたまるか!」という気合い十分の声も出ていて、思わず笑ってしまいました。レースの司会者も「ことしも高校生が優勝するのか!?大人たちは誰も連覇を止められないのか?」と競争心をあおるアナウンス。それが大変面白く、会場の応援のボルテージも一気に上昇していました。

【注目のレースの行方は!?】
いよいよ、レーススタート!参加者たちは、雪に足を取られながらもニシン船に取り付けたロープを体に巻き付け、それを引っ張りながら必死になって前へ前へと進みます。高校生チームが爽やかに勝ち上がる中、大人の中には、ゴールした途端、倒れ込む人も。その激しさは、例えるなら、リングのそばでプロレスを見ているような感覚でした。そんな中、初出場の地元の水産加工場のチームが、あれよ、あれよと準決勝まで勝ち進みました。

本人たちも予期せぬ出来事だったようで「ふだんは、かずのこしか触ってない。重い物といえば、段ボールを運ぶくらいなのに、まさかこんなに勝ち進むなんて」と喜びつつも、戸惑いのコメント。応援団からは「1回戦でダメだろうと思っていたけど、準決勝まで行ってしまった(笑)。日曜日だから、負けるのを見届けたら、家に帰って、昼からビールでも飲もうと思っていた。朝、冷蔵庫に入れてキンキンに冷やしてきたけど、ビールは夕方までお預けだねえ」などと話してくれた方もいました。この水産加工場のチームは、準決勝で、海上保安部のチームに敗れましたが、このレース、もしかしたら、力よりも身軽さ、スタートの瞬発力と足の速さを持ち合わせたチームの方が有利なのかも、などと見ていて思いました。

【注目の決勝戦を制したのは】
いよいよ決勝戦。ことしも順調に勝ち進んで来た「留萌高校野球部」と初出場の「留萌海上保安部・巡視船ちとせ」の顔合わせとなりました。高校生チームの皆さんは準決勝で勝った時に「よし!次、勝ったら焼き肉だ!」と叫んでいたので、その高校生の“気合い”を、私は聞き逃さず、微笑ましく見ていました。果たして焼き肉は食べられるのか?それとも、ふだんから巡視船に乗り、日本海の大海原で業務を行う海上保安部チームがニシン船をも味方につけて優勝するのか?注目の決勝は、ファンファーレとともにスタート!

どちらのチームも4回戦目。体力は相当奪われているはずですが、皆さん必死の形相で歯を食いしばってニシン船を引き、およそ1分で両者ゴール!接戦の結果は、留萌高校野球部チームの優勝!おめでとう!!

歓声を上げて、仲間やコーチと抱き合う高校生たち。まだ後ろは、雪景色なのに、ここは夏の甲子園球場なのかと錯覚するような感動の光景。会場は熱気と興奮に包まれていました。これぞ青春。最後のインタビューでキャプテンは「完璧なチームワークで、優勝できました。この流れで野球でもよい成績を残したいです」と力強く話してくれました。
留萌高校野球部、ことしは1971年以来、53年ぶりの夏の甲子園出場なるか?地元の球児たちの奮闘を目の当たりにした私は、ことしの夏が今から楽しみでなりません。
(留萌支局 土田史世)

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