新サッカースタジアム開業 「横川ビクトリーロード」を歩こう
- 2024年01月25日
サンフレッチェ広島の新しい本拠地となるサッカースタジアムの開業を2月に控えて、盛り上がっているのはサポーターだけではありません。スタジアム周辺では、地域が一体となって新たなにぎわいを生み出そうと取り組んでいます。
(NHK広島放送局記者 亀山真央)
横川ビクトリーロード誕生
広島市西区のJR横川駅から商店街を通り、川沿いを歩いて、新しいサッカースタジアムに向かうおよそ1.5キロの道。多くのサポーターが歩くであろう、この道を地元の商店街の人たちが「横川ビクトリーロード」と名付けました。
中心となっているのは、JR横川駅近くの三篠公民館の館長、岡田高旺さんです。
これまでも横川駅周辺を盛り上げようと、広島のおいしい食べ物を集めた「マルシェ」や、ゾンビの仮装を楽しむ「ゾンビナイト」などのイベントを地域の人たちと協力して企画してきました。
2023年12月上旬、地元の人や関係者およそ200人が一緒に「横川ビクトリーロード」を歩くイベントが開かれました。岡田さんたちはこの日に向けて、さまざまな仕掛けを用意しました。
そのひとつが、横川本通りを抜けて、横川胡子神社の隣にある小さなほこらに安置されている「横川橋おかえり観音」。ほこらをサンフレッチェのチームカラーの紫一色に染めました。サポーターたちがサンフレッチェの勝利を報告する場所として、親しんでもらおうと考えています。
サンフレの試合結果や状況を報告できたらいいなと思っています
さらに、横川橋を渡ると、川沿いの道に進みます。ここからは川越しに新しいサッカースタジアムを望むことができます。ゆったりと川沿いを歩きながら、スタジアムの大きさを感じることができます。そして、この川沿いの道では…。
用意されたのは、立ち乗りできる小型電動モビリティー。
歩くだけでなく、新しい乗り物に乗ることで、ふだんとは違う景色を楽しんでもらおうと企画しました。体験した人たちは、最初は運転方法に戸惑いながらも楽しみながら運転していました。
そして、川を渡るために準備されたのは大型のサップです。
操縦に慣れた人が渡し船の船頭のような役割を担い、対岸からサッカースタジアムがある岸までサポーターたちを運びます。岡田さんたちは、地元の事業者と協力して、試合がある日にも活用できないか検討しています。
こうした仕掛けを楽しみながら、横川駅から歩くことおよそ20分でスタジアムに到着しました。
3歳の息子も楽しみながら歩くことができました。ちょうどいい距離でした
スタジアムを見ながら川沿いを歩くのは、気持ちが良いなと思いました
商店街では新メニューの開発も
さらに、試合の前後に、多くのサポーターに商店街に立ち寄ってもらおうと、飲食店では新たなメニュー開発に取り組んでいるところもあります。
横川本通りにあるスポーツバーでは、ピザの新しいメニューの開発が進められています。
サンフレッチェの3本の矢をイメージして、具材にはチームカラーの紫のキャベツやタマネギを使用。生ハムもトッピングして、さっぱりとした味のピザに仕上がっています。
そして、お酒の新メニューも。名付けて“サンフレモンサワー”です。
チームカラーの紫をイメージして、氷は巨峰シロップで作りました。氷が溶け出すと、レモンに巨峰の味が加わり、味の変化を楽しむことができます。多くのサポーターをもてなす準備が着々と進んでいます。
スポーツバーオーナー・小見山聖則さん
「サッカーファンが集まる場所として、地域の取り組みに貢献できたらなと思います。今後もいろいろな料理を開発していきたいと思います」
岡田高旺さん
「横川地区に来る方をもてなせるように、地域が一体となって新サッカースタジアム開業を盛り上げていきたいなと思っています」
取材後記
地元の人に話を聞くと、横川地区はもともとサッカーとつながりが深い地域だというのです。横川地区の住民らが中心となって発足させた女子サッカーチーム(現在は解散)がなでしこリーグ1部で活躍したほか、今の本拠地のエディオンスタジアムまで試合開催日はシャトルバスが運行していたり、サンフレッチェの練習場がある安芸高田市から旧雲石街道でつながっていたりと、サッカーと縁があるといいます。
町ににぎわいを作ろうと集まっている人たちは、岡田さんのほかにも、地域に根ざした酒屋を営む人から地元のアイドルとして活動する人まで個性があふれていました。新しいサッカースタジアムの開業をきっかけに、アートやサブカルチャーも発信している町の魅力を知ってもらいたいと意気込んでいました。この地区がどう変わっていくのか、注目です。