広島勢初の優勝 日本一の剣士 世界の舞台目指す
- 2024年01月23日
棗田龍介さんは、2023年11月に行われた剣道の全日本選手権に初めて出場し、広島県勢初の優勝を果たしました。広島から、2024年7月にイタリアで開かれる世界選手権の舞台を狙います。
(NHK広島放送局記者 淺津賢吾)
全日本選手権 初出場初優勝
棗田龍介さん23歳です。
2023年11月、剣道日本一を決める全日本選手権に初めて出場し、優勝。広島県勢としても初の優勝でした。
棗田さん
「感謝の気持ちですかね。小学校の頃から現在まで本当に多くの方にお世話になって支えていただいたので」
棗田さんの剣道人生
棗田さんが姉の影響で剣道を始めたのは小学1年生のころでした。広島県警の剣道強化選手でもあった父からも指導を受けましたが…
棗田さん
「剣道自体が嫌いみたいな状態からのスタートでしたね。道場入る前からですね、もう泣いて、ほんとにやりたくない入りたくない」
それでも小さな喜びをモチベーションに剣道を続けているうちに、試合に勝ちたいという気持ちが強くなっていったといいます。
棗田さん
「大会の個人戦とかで優勝したらゲームのカセットがほしいとか、親に頼んでいたんですけど、なかなか最初の方それでも勝てなくて、練習に対して嫌だったんですけど、勝つためには練習すれば勝てる、勝てるようになるっていうのをその辺からたぶん気づくようになって、練習するようになったのかなと思います」
父から教わった剣道の基本を、棗田さんはずっと大切にしてきました。
棗田さん
「基本に忠実な剣道だと思います。構えた状態から構えを崩さずに間合いに入っていって、相手に打突するっていうのが正しい剣道なのかな。その剣道で勝てるようにどうすればいいのか考えてやっています」
もっと強くなりたいと、親元を離れ茨城県の高校へ進学。最後のインターハイでは個人戦で3位になりました。
新人警察官として日本一に
2023年、大学を卒業。地元に戻り父と同じ警察官の道に進みました。
午前中は、勤務している海田警察署で、仕事にあたります。警察署での勤務が終わると…
棗田さん
「昼前まで勤務して剣道の訓練のほうに行きます」
広島県警の強化指定選手でもある棗田さん。午後からは道場で剣道の稽古を行います。他の業務の合間をぬっての稽古になり、大会がない時期の練習時間は1時間半程度しかありません。
棗田さん
「初めて社会人になって、剣道をできない時間が増える、やりたいけどできないこの苦しさというか、1本に対しての重みっていうのが考えてやってたんですけど、よりいっそうそういうものを考えるようになって、短い時間だけどその分集中力を持って考えてやるようになったかなと思います」
目指すは世界の舞台
日本一になり、強化選手に選ばれた棗田さん。2024年7月にイタリアで行われる世界選手権への代表入りを目指します。
そのために課題にあげたのが全日本選手権準決勝での試合です。
面を狙いますが、あごがあがってしまい、竹刀に思うように体重が乗りません。なかなか1本を奪えません。確実に1本を取りたいと、基本に忠実な剣道を繰り返し練習しています。
棗田さん
「あごと手元が浮いて打突したときに打ちが軽くなってしまうというか。あごをこう引きながら目線を平行移動させながら、浮かないように打ち込むっていうのをいま意識してて、打ったときに剣先に自分の体重を全部乗せるというか、そんなイメージですね」
次は世界の舞台で自分の剣道をして優勝したい。ことしにかける、棗田さんの思いです。
棗田さん
「(強化選手に)選んでいただくだけで終わりたくないっていうのが率直な気持ちなので。世界の舞台で日の丸を背負って出られるっていうのは、それほど名誉なことってないと思うので、剣道している方々にとって。そのチャンスがあるんであればものにしたいと思います。基本としたところ、その剣道を世界大会でも発揮できればいいかなと思います」
ことし7月にイタリア・ミラノで開催される世界選手権への出場をかけた強化合宿を経て、棗田選手含めた16人の中から10人が、世界選手権の代表選手に選ばれるということです。