ページの本文へ

ひろしまWEB特集

  1. NHK広島
  2. ひろしまWEB特集
  3. 三次市が「メルカリ」活用!? その理由を調べてみた

三次市が「メルカリ」活用!? その理由を調べてみた

  • 2023年11月17日

フリマアプリの「メルカリ」。同僚に聞くと、読み終わった本や使わなくなった化粧品を出品したことがあるといいます。人気のあるアプリとは知っていましたが、そのアプリを三次市が使い始めました。自治体がなぜ?調べてみました。

(広島放送局記者 重田八輝)

売り上げにこだわらず

三次市役所 東館4階

10月中旬、訪れたのは三次市の財産管理課。その名の通り市の財産を管理する部署です。対象は土地や建物だけでなく備品なども。ここで「メルカリ」の利用が9月末から始まりました。この取り組みを提案した金力季栄子さんが初回の売れ行きを説明してくれました。

三次市財産管理課 金力季栄子 主任
「初日に26点出品して12点、約半分が売れています。売れ行きで早かったのは学校のいすや机。脚立も早く売れましたね」

「メルカリ」の三次市公式ショップ画面

パソコンの画面を見せてもらうと、かつて学校で使われていたのでしょうか、時計や太鼓などが商品としてずらりと並んでいました。設定している販売価格は、主に数千円。机は1000円、時計は1500円、太鼓は4000円で取引されていました。

なぜ、こうしたものを売っているのか。財源を増やすことが目的ではないといいます。

三次市財産管理課 金力季栄子 主任
「いろいろ不用なものが増えていますが、まだ使えるものがたくさんあります。捨てるのではなく、市民の方が再利用することで、再利用への意識を醸成してもらうという目的が大きいです。売り上げということにはあまりこだわっていません」

不用なもの 背景に「人口減少」

こうした取り組みを始めた背景には、不用になった市の備品が増えてきたことがあります。大きな理由の1つは「人口減少」。三次市では、学校や施設が次々と廃止になっているのです。

今年3月 旧三良坂小学校での即売会(撮影:三次市)

もともと三次市では、去年から不用になった備品を学校などで売る即売会を行ってきました。しかし、市民から開催日に行くのが難しいといった声があがっていました。

そこで、いつでも購入でき、役所で引き渡しができるこのアプリを使って販売を始めたそうです。どういった備品を販売しているのか。5年前、廃止になった市立の保育所の中を案内してもらいました。

三次市吉舎町にある旧安田保育所

目に入ってきたのはステージ。子どもたちが発表会を開いてきたステージのまわりには、まだ使えそうな備品が多く残されていました。

たくさん遊んでボロボロになったとび箱
音に合わせ楽しく歌う様子が目に浮かぶオルガン

三次市財産管理課 金力季栄子 主任
「今までどおり、にぎやかな町であればいいなと思うのですが、なかなか維持していくのも大変なので仕方ない面があって、やっぱりちょっと寂しいですね」

思い出の詰まった保育所。金力さんは、私を案内しながら、再び使ってもらえるものがないか調べていました。

捨てるのではなく再び使う

市役所に戻ると、金力さんは2回目の出品に向けて準備にあたっていました。

この日、出品するのは保育所に残されていた棚やホワイトボード、絵本などです。商品を丁寧に拭き、状態や傷の有無などがわかるよう写真におさめていました。

そして夕方5時ちょうどに出品。財産管理課のメンバーも、そわそわしながら画面を見つめていると…。

なんと3分後に1つ、10分もたたずに3つが売れました。金力さんからは笑みがこぼれ、「大切にしていただけたらとてもありがたいです」と口にしていました。

三次市財産管理課 金力季栄子 主任
「今までは不用になったものを処分するケースが多かったと思いますが、施設の廃止に伴って不用なものが増えてきている状況でもあります。これからも積極的に皆さんに使ってもらえるように、今後も取り組みを進めていきたいと思います」

このフリマアプリで備品などを販売している自治体は、全国で18にのぼるといいます。まだ使えるものを捨てるのではなく、再び使う。こうした意識がさらに広がっていくことを期待しています。

  • 重田八輝

    広島放送局 記者

    重田八輝

    2007年入局。福井局・大阪局・科学文化部を経て2021年秋から広島局。石川生まれ千葉育ち。

ページトップに戻る