400年以上前から続く伝統支える 大竹市の和紙職人
- 2023年08月23日
手すき和紙の生産が盛んな大竹市にある「おおたけ手すき和紙の里」。ことし開催されたG7広島サミットの中で和紙が使用されました。およそ400年以上前から続く伝統の和紙を支える職人を取材しました。
(NHK広島放送局 十石泰誠)
カラフルなデザインの和紙。平和公園にささげられた折り鶴を細かくしたものが混ぜ込まれています。こちらの和紙、G7広島サミットで提供された食事のメニューが書かれました。
和紙を作った、「おおたけ手すき和紙保存会」の竹中智和さんです。
竹中さん
メニュー表を作成するときに文字を書くらしいので、全体的に薄めの色紙を使っています。広島県大竹市の和紙として知っていただければ、それが広がるきっかけとなったのがG7だったと思うんで、これからもそういった依頼に向けて、自分たちもどんどん作り上げていきたいなと思っています。
竹中さんは、和紙の原料の栽培、収穫そして生産まで一貫して行っています。
もともとは呉市にある造船所で電気配線の作業を行う仕事をしていた竹中さん。伝統の和紙づくりに携わりたいという思いから、7年前に和紙作りの世界に飛び込みました。
竹中さん
広島県の中で、大竹市に残っている伝統文化が今も続いていると聞いて、自分が何ができるかというのがあったので、ちょっとした決断だったんですけども、仕事を辞めて本格的に参加しようと思いましたね。
こだわりは、原料となるコウゾを地元で栽培すること。
竹中さんは土を耕すところから収穫まですべて行っています。
和紙はこのコウゾの幹の繊維から作られます。夏の時期は、幹を太く大きく育てるために、余分なわき芽を摘み取る「芽かき」という作業をします。
竹中さん
夏の暑い時期ですけど、ちゃんと芽の時に摘んでおく。
伝統文化として自分たちが継承して残していきたいというのが1番の思いで、残すためには良いものを作るということも大切じゃないかなと思って。
こうして育てたコウゾで、いまでは年間2000枚ほどの和紙を制作しています。
和紙は多くの作家たちの作品にも活用されています。白く強じんであるという特性を生かして市の伝統工芸品にもなっている「鯉のぼり」も作られています。
自分の手で原料から和紙を作ることにこだわる竹中さん。「大竹の和紙」として、多くの人に手すき和紙の魅力を伝えたいと考えています。
竹中さん
ひとつひとつ手作業でしていくという過程が大事なのかと思いまして、伝統文化として、自分たちもその文化を伝えていくという役割を担っていますので、もっといろんな方たちに伝えていきたいなと思っています。