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「原爆の絵」が完成 被爆と向き合った高校生

  • 2023年08月21日

広島市の高校生が被爆者から体験を直接聞き取り、惨状を描く「原爆の絵」が7月に完成しました。絵の制作を通じて原爆と向き合った高校生は何を感じたのでしょうか。

(広島放送局記者 菅洋介)

川の土手で山のように積まれた遺体を焼く兵士たち。原爆で背中を焼かれ、苦しげに手当てを受ける父の姿。基町高校の生徒たちが描いた「原爆の絵」です。今回、5人の被爆者の証言を元に9人の生徒が取り組みました。

絵を描いた1人、3年生の木村光希さんです。被爆者、山瀬潤子さんの証言を絵にしました。

木村さん
自分が出せる最大限の力が出せたんじゃないかとすごく満足しています。

ことし1月、木村さんは3か月かけて描き上げたデッサンを山瀬さんに見せていました。

「表情はどんな感じですか?」
「血が吹き出ているところ、上腕、このへんよね、ここちょっと下のような感じだから、この辺にしてほしい。ここで出血したからね。それを一番に出してほしいのよね」

木村さんが取り組んだのが被爆直後、山瀬さんが見た光景の絵。
家に爆弾が落ちたと思って外へ飛び出すと、近所の女性が幼子を抱いて助けを呼んでいました。

木村さん
伝えられたことを表現するのは自分で、それは0から1を生み出さないといけないから。
繊細な表情とか体のつくりとかそういうのを細かく再現していかないといけないのは大変だなと思います。一筆一筆気持ちを込めたいなって思います。

木村さんは本格的にキャンバスに描き始めました。山瀬さんが目撃した光景に少しでも近づけるよう、試行錯誤していました。

木村さん
この絵もけっこう完全には再現できていなくて、もうちょっと服をボロボロにしてほしいとかここをはだけてほしいとか…。

そして。
お披露目された木村さんの作品です。2日前まで筆を入れ続けて完成させました。

山瀬さん
顔の表情、見事に苦しい表情と「助けて」という…
私が亡くなっても何年も何年もこの絵が残ることは本当にありがたく、光栄なことだと思っています。

78年前、広島に投下された原爆が何をもたらしたのか。絵を通して伝え続けます。

木村さん
この絵を通すことで、改めて原爆の悲惨さと平和の大切さを知ることができたのはすごく良い経験になったと思います。今こうやって幸せだけど、いつその幸せが崩れるかも分からない。当たり前じゃない幸せをすごく感じていて、それを私と同じ世代の人たちにも1人でも多くの人に伝えられたら、と思います。

  • 菅洋介 記者

    取材・構成

    菅洋介 記者

    2016年入局
    山口局から広島局に異動し、スポーツや行政を担当。2023年夏、静岡局に異動しました。

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