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医療とソフトボールで三原を元気に

ソフトボールチーム・小泉病院BlueArrows
  • 2023年06月13日

月曜から木曜の夕方にラジオ第1で放送している「ひろしまコイらじ」。6月5日(月)の放送に、三原市を拠点とするソフトボールチーム「小泉病院Blue Arrows」の佐々木彩葉(ささき・いろは)主将と立川夏波(たつがわ・なつは)選手が出演しました。医療法人のスタッフとして働きながら競技と両立するやりがいや、地元広島県でソフトボールに打ち込める喜びなどを語りました。凝縮してご紹介します。

(報告:佐藤洋之アナウンサー)

 

左:立川夏波選手 右:佐々木彩葉主将

佐々木彩葉(ささき・いろは)選手は広島市安佐南区出身の25歳。2022年に小泉病院に加入し、主にショートを担当。今年度からキャプテンを任されています。

立川夏波(たつがわ・なつは)選手は広島市安佐南区出身の28歳。2020年に小泉病院に加入。発足初期からチームを支え、この春までキャプテンを務めました。内野はどこでも守ります。

立川先輩をたてる佐々木主将。コンビネーションばっちりのトークを繰り広げました。

ソフトボール一筋 競技の魅力とは

ソフトボールを始めたのは、佐々木選手が、原南小6年の時、立川選手が梅林小3年の時でした。

佐々木彩葉主将

「スポーツをしていなかったのですが、野球アニメ“MAJOR”を見て野球をやりたいと思いました。学校に野球チームが無かったのでソフトボールを始めました。バットとグローブを持って走り回っていました」

立川夏波選手

「小学校の子ども会のソフトボールチームで監督をしていた父に勧められて始めました。広島は中学、高校のソフトボールが盛んで、中学時代は広島県代表として都道府県対抗の大会で優勝しました」

佐々木彩葉主将(25歳)

佐々木選手は、安田女子高校時代には、私学の全国大会でベスト4。東京女子体育大学の時には、全日本大学女子選手権で3位に入った経験を持っています。大学卒業後、愛媛の実業団で2年プレーした後、去年、小泉病院に移籍しました。

「競技者としてはそろそろ現役が終わりに近づいてきて、最後は地元でソフトボールを終えたいと思いました」

立川夏波選手(28歳)

立川選手は、広島商業高校の時、全国高校総体に出場。山梨学院大学時代は、東日本大学女子選手権で優勝。京都の実業団で3年プレ―した後、発足したばかりの小泉病院に移りました。

「広島県には、大学や実業団で強いチームが無く、高校卒業後はずっと県外でプレーしていましたが、広島のソフトボールのレベルを上げたいという思いがずっとありました。

立ち上がったばかりの小泉病院を強くできれば、いずれは地元選手の受け皿になり、やりがいがありそうだと思い移籍を決意しました」

ショートを守る佐々木主将

ソフトボールは、野球と比べると、フィールドがコンパクトです。マウンドからホームベースまでの距離は、野球より5メートル以上短く13メートル11センチ(女子競技の規格)です。2人は、競技の魅力を次のように語りました。

今シーズンここまで出塁率.556 右投げ左打ちの立川選手

立川夏波選手

「女子で球速の速い投手で120キロほど。このスピードの打者の体感は160キロ以上と言われます。ベース間の距離も野球より短いため、見る方はスピードを感じられます。

イニングも7回までで、進行にもスピード感があります。勢いに乗るとヒットが連続し、相手もエラーをする傾向があるので、選手としてはスピード感に乗れるかが大切だと思います」

今シーズンここまでリーグ2位の9安打の佐々木選手

佐々木彩葉主将

「ソフトボールは、スタメン9人のメンバーが一度交代してベンチに下がっても、もう一度出られる“リエントリー”というルールがあります。選手起用の采配の駆け引きがあることが面白いところです」

選手たちは医療法人のスタッフ

今シーズン部員はマネージャー含め23人

小泉病院は、三原市を拠点とする精神科医療の専門病院です。運営する医療法人「仁康会」は、医療のほか、介護事業や就労支援事業などを手掛けています。

もともと男子の軟式野球チームが1979年から活動していて、2019年に女子のソフトボールチーム「小泉病院BlueArrows」が発足しました。現在所属する23人の選手は全員、社員として医療法人で働きながら競技にも取り組んでいます。

介護ケアスタッフの佐々木主将

佐々木選手は、医療法人が運営する老人保健施設で介護ケアスタッフとして働いています。

佐々木彩葉主将

「高齢者の方が自宅で暮らせるように援助する仕事です。フルタイムで仕事をした後、平日は、午後6時から午後9時ごろまでソフトボールの練習です」

パンを作っている立川選手

立川選手は、医療法人内の就労支援施設でパンを作る仕事をしています。退院した患者が社会復帰を目的とする施設です。

立川夏波選手

「元患者さんとパンを一緒に作ったり、サポートしたりしています。パンは、病院内で患者さんの朝ごはんとして提供されたり、売店で販売されたりしています。

毎朝3時起床で4時から正午まで仕事。いったん、休憩して練習に参加しています」

今シーズンここまで防御率1.53の原田悠投手

立川選手と同い年で、広島商業でもチームメートだった原田悠(はらだ・ゆう)投手は、病院の事務スタッフとして働いています。

セールスポイントは「打」の福嶋彩乃選手

内野手の福嶋彩乃(ふくしま・あやの)選手は、准看護師の資格を取得して、病院で看護の仕事に携わっています。

今シーズンここまで5打点の森田真由選手

外野手の森田真由(もりた・まゆ)選手は、病棟のケアスタッフとして働きながら専門学校に通い、福嶋選手のように准看護師の資格を取得することが目標です。

複数の選手が、医療法人の奨学金制度を利用し、医療や介護の資格取得を目指しています。

5/21の試合で勝利投手となった山口愛実投手

今年の新人、山口愛実(やまぐち・あみ)投手は、管理栄養士の資格を取得しています。老人保健施設で、利用者の食事の管理に携わるなど資格を生かして仕事をしています。

医療法人のスタッフとして働きながらソフトボールに取り組むやりがいを立川選手が語りました。

立川夏波選手

「普段一緒に仕事をしている元患者さんや患者さんが、練習試合の時に応援に来てくれたり、普段から“頑張ってね”と声をかけてくださったりして、そんなときに、この人たちのためにも頑張りたいと思い、やりがいを感じます」

地元で開催したソフトボール教室

チームでは、日ごろの応援に対する感謝の気持ちを表す1つの形として、定期的に、ソフトボール教室を開催しています。

ソフトボールを通して地域社会に貢献することは、医療法人のチームとして、大切な役割だと考えています。

コロナ禍を乗り越え 飛躍のシーズンへ

立川選手がチームに加入した2020年。チームは実業団登録し、本格的に活動が始まる予定でした。

「2020年4月に10人ほど入部し、一気に部員が増えてようやく試合ができる形になったところで、新型コロナが広がりました。初年度は、新型コロナのため、公式の試合はすべて無くなり、練習と練習試合だけでした」

2021年は中国ブロック大会を勝ち抜き国体出場を決めたところ、コロナの感染拡大で国体は中止。佐々木選手が加入した2022年は、年間を通してのリーグ戦「日本女子ソフトボールリーグ」が再開。小泉病院BlueArrowsとしては加入1年目の戦いが始まりました。

しかしシーズン途中、チーム内でコロナ感染者が出たこともあり、最終的に不本意な結果に終わりました。

今シーズンは、「日本女子ソフトボールリーグ」、7月にトーナメントで行われる「全日本実業団女子ソフトボール選手権」、秋に開催される国体、3つの大会がターゲットです。

スタジオ内で佐々木主将

「日本女子ソフトボールリーグでは、去年はコロナの影響が出るまでは、良い位置につけていたので、今年の目標は12チーム中4位以内です。

去年よりチーム力は上がっているので今年は絶対に達成します」

スタジオ内で立川選手

「私はチームの中で最年長なので、自分の結果を残しつつ、後輩たちに自分の経験を伝えて、
この先も小泉病院BlueArrowsが強いチームであるように尽くしたいです」

12チームが参加し、6チームずつに分かれてリーグ戦を行う日本女子ソフトボールリーグ。小泉病院BlueArrowsは現在、所属するリーグの中で2位につけています。このままキープすれば、目標をクリアします。次の試合は6月30日(金)に富山県で行われる予定です。

プロスポーツが盛んな広島県ですが、「医療スタッフ」と「選手」二足のわらじで頑張る小泉病院BlueArrowsを是非応援してください。

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