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NHK広島・佐々生アナ “実況は2度とない瞬間を生で伝えられる”

  • 2023年06月09日

幼いころからスポーツが好きだった佐々生佳典アナウンサー。小学6年生でサッカーのワールドカップを見て魅了され、アナウンサーを目指しました。サッカーを中心に、バレーボールやスキージャンプなどさまざまなスポーツを実況する佐々生アナ。「2度とない瞬間を生で伝えられる」のが実況の醍醐味だと語ります。

▽出身は?

山口県岩国市です。岩国といえば錦帯橋。春は川沿いの桜が咲き誇り、とてもきれいです。

小学4年生のとき。ソフトボール大会に臨む前に自宅で撮った1枚。

▽どんな子どもでしたか?

小学生のときからスポーツを見るのもするのも好きな子どもでした。
当時はもっぱら野球でした。小学4年からは地元の子ども会のソフトボールチームに入ってプレーしていました。3人きょうだいの次男で(兄・自分・妹)、兄とよく野球をして遊んでいました。
プロ野球の中継もテレビでよく見て、ラジオでよく聞いていました(岩国なので基本はカープです)。休日には、旧広島市民球場にカープの試合を見に父親に連れて行ってもらっていました。当時プレーを見ていた大野豊さんと放送の現場でご一緒していることが未だに信じられません・・・(苦笑)

▽中高の部活は?

中学は卓球部でした。かなり熱心に取り組んでいて、毎週末、公式戦か練習試合に行っていました。広島まで練習試合に来たこともあります。
高校は「帰宅部」。スポーツは変わらず好きで見る専門になりました(笑)

▽アナウンサーになりたいと思ったきっかけは?

「サッカーのワールドカップを実況したい」。これがアナウンサーを目指したきっかけなんです。
小学6年生のとき、当時聞いていたラジオ番組でサッカーワールドカップの出場国紹介というコーナーがありました(1990年のイタリア大会)。出場24チームを毎日紹介していて、当時サッカーには全く興味がなかったのですが、「へぇ~、そんな大会があるんだぁ」とちょっと気になり・・・。
実際に大会をテレビで見て衝撃を受けました。それまで見ていた野球場よりもはるかに大きいスタジアム、自国の国旗を振りながら応援するサポーターで埋め尽くされたスタンド。世界のトッププレーヤーたちが披露する華麗なテクニックやドリブル、そして何といってもゴールが決まった瞬間、喜びを爆発させる選手、歓喜するサポーター・・・。
「サッカーってすごい!ワールドカップってすごい!」
テレビに映し出される全てのシーンに圧倒され、と同時サッカーの世界に、ワールドカップの世界に一気に引き込まれていきました。
そのワールドカップを見て印象に残ったのがアナウンサーの実況でした。世界最高の選手たちが見せる最高のプレーが、アナウンサーが添える言葉によってより鮮明に、より際立って伝わってくる。ゴールの瞬間の興奮もアナウンサーの実況でさらにその興奮度が増す・・・。
「そうか!アナウンサーになれば自分もワールドカップに関わることができるんじゃないか」
そう単純に思ったのがきっかけで、アナウンサーを目指してきました。

▽いままで実況したスポーツは?

高校野球、サッカー、テニス、バスケットボール、ボート、セーリング、ホッケー、バレーボール、スキージャンプ、クロスカントリー、バイアスロン、ノルディック複合、カーリング、アイスホッケー(パラアイスホッケーも)、ボッチャなど。サッカーをメインに実況を担当しています。

▽スポーツ実況の醍醐味は?

「2度とない瞬間を生で伝えられる」ところでしょうか。
スポーツ実況はリアルタイムで伝えていくものなので、常にどんなことが起こるか分からない中でしゃべっています。その中で実際に起こる出来事はすべて、そのときにしか起こらない出来事であって、2度と同じことは起こりません。それは同じチーム、同じ選手同士が対戦したとしてもです。サッカーでいえば、ゴールひとつとってみてもすべて異なるシチュエーションで起こり、そのゴールの持つ意味もすべて違います。
その意味を瞬間的に感じ取って、どんな言葉で、そしてどんなトーンで伝えていくか。答えがないものですし、試合の流れをどう捉えていたかというところも表れるので非常に難しいのですが、リアルタイムで伝える醍醐味でもあると思います。

▽スポーツ実況の難しいところは?

“熱量”をどう伝えるかということでしょうか。“臨場感”という言い方もできるかもしれません。
例えばサッカーのJリーグ。開幕戦、シーズン序盤、中盤、終盤の優勝が決まる試合、J1残留をかけた試合など、毎回、試合の持つ意味合いは違いますし、それによって現場で発せられる熱量もすべて違います。
試合の熱量、1プレー1プレーの熱量、スタンドの応援の熱量などなど、現場で起きているあらゆるものの熱量をアナウンサーがいかに感じ取ってそれを音声表現していくか。言葉を発するだけではなく、ときには黙って、現場の音と映像でその熱量を伝えていく。視聴者のみなさんが、自分もその場にいるかのように臨場感を感じてもらうにはどうすればいいか、これも答えは全くありません。実況するアナウンサーがその熱量を敏感に感じ取る感性、その熱量を忠実に伝えていく音声表現力などなど、実況アナウンサーの色々な力が問われます。中継を担当するたびに試行錯誤をしながら放送に臨んでいます。

今年のノルディック世界選手権クロスカントリーの自作資料。
1チーム4人で滑る「男子40キロリレー」という種目です。

▽どんな準備をして実況に臨む?

基本的には、実況するチームや選手のそれまでの試合の映像を見る、練習を取材する、資料を作る、どういう試合になるかシミュレーションをするというところでしょうか。
その中でどんな資料を用意するかは競技によってもちろん違ってきます。
今年の2月にノルディックスキーの世界選手権でクロスカントリー担当しました。世界選手権といっても、現場に行くわけではありません。東京にあるNHKのスタジオで現地から送られてくる映像(この映像は放送でみなさんがテレビで見ているものと全く同じです)を見ながら実況をするというスタイルです。
スキーのクロスカントリーはふだんなかなか見る機会がない種目で、どんな選手がいるかもなかなか分からないと思います。もちろん事前に選手に会って取材もできません。
そんな中でどんな準備をするかというと、過去の世界選手権、オリンピックの映像を見ます。過去どんなレース展開だったのか、注目選手はどんな滑りだったかなどを確認します。最近では動画配信サイトで海外のレースもハイライトで見ることもできるので(もちろん公式なものです)、そういうものも活用しながら最近の状況もチェックします。
資料は、国際スキー連盟のインターネットのホームページに選手の生年月日や過去の成績が掲載されていますので、それを基に必要な情報をピックアップして作成します。なかなか馴染みがない選手が多い中で、どの選手に注目すればよいのか?その選手がいかにすごいのか?そのすごさが分かる情報は何かなど、視聴者のみなさんにどう興味をもってもらうかということも考えながら資料を作っています。
放送当日は担当ディレクターや解説者と今回の注目選手は誰か、どういう流れで放送するかなど、事前の打ち合わせですり合わせをして放送に臨みます。

2月に担当したノルディック世界選手権、東京のスタジオです。

▽広島の好きなところは?

街と自然が調和しているところですね。街を少し抜ければすぐに南に瀬戸内海、北は中国山地の山々があり、街の中にはいくつも川があり、川沿いを散歩したり、ランニングしたりするととても気持ちいいです。

▽広島のみなさんにひと言!

スポーツが盛んな広島。1つでも多く話題を掘り起こし、お伝えしていきます!みなさん、これからもどうぞよろしくお願いいたします。

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