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勝負曲は“嵐” 走り出せ 広島から世界へ

ひろしまコイらじWEB記事版 相葉直紀選手
  • 2023年02月15日
全国男子駅伝 広島チーム7位入賞

月曜から木曜に、広島県向けに放送している「ひろしまコイらじ」。毎週月曜は、スポーツ選手をゲストにお迎えしています。1月30日は、中電工の相葉直紀選手が スタジオに出演。3年ぶりに開催された全国男子駅伝のことなどを語りました。嵐の相葉雅紀さんと一字違いということもあり、番組内でのリクエスト曲は嵐のHappiness。広島を拠点に世界へ走り出す相葉選手が、ラジオで語った内容を公開します。

地元の応援を後押しに目標の入賞へ

1月22日(日)全国男子駅伝が3年ぶりに開催されました。 アンカーとして、広島チーム7位入賞のフィニッシュテープを切ったのが中電工の相葉直紀選手です。

広島市佐伯区美鈴が丘の出身。基町高校から広島大学に進学。そして地元広島の中電工に入社。ふるさと広島で競技を続けてきた相葉選手は、強い思いで全国男子駅伝に出場しました。

相葉直紀選手

「やはり3年ぶりの開催ということもあって、この2年走れなかった思いがすごく強かったので、しっかり自分の走りをして地元の方々、全国の駅伝ファンの方々に元気を与えたいという思いで走りました」

取材に答える相葉選手

相葉選手

「沿道の声援はすごく聞こえました。応援が多くてうれしかったです。苦しいところで名前を呼んでいただけると自分も頑張ろうという気持ちになりますし、今回苦しいところが多かったんですけど、一定のペースで走れたのは沿道の方の応援のおかげかなと思います」

大会1週間前の合宿

大会の1週間前には、広島チームの合宿が行われ、8位以内入賞という目標に向けて一致団結しました。相葉選手は、一般区間を走る大学生社会人の中で唯一参加しました。

相葉選手

「合宿では、中学生はさすがに緊張している感じだったんですけど、高校生がしっかり自分たちの役割を分かっていて、中学生に声かけをしてムードメーカーになっていました。自分は、入賞するためには、一人一人がどんな走りをしないといけないかということを話してコミュニケーションをとったつもりです。自分の妹が高校3年生ということもあって、年下と話すことに慣れているので、コミュニケーションをとるうえで、苦労はしなかったです。チームはいい雰囲気でした」

最前列右が相葉選手

48キロを7人でつなぐ全国男子駅伝。広島チームは3区以降、8位から10位を推移し、7区アンカーの相葉選手に8位でたすきが渡りました。

常に京都チームと争った相葉選手

相葉選手

「少しそわそわするというか、広島県チームは何位を走ってるんだろうというのはすごく気になりました。テレビやインターネットで情報を確認し、チームの目標の入賞を目指して走るという気持ちで準備を始めました。5区の田原選手がしっかり8位に上げてくれた時に、これはいけるなと実感しました。後輩たちがしっかりたすきをつないでくれて8位まで持ってきてくれたので、思いをしっかり背負ってチームの目標を達成しようという気持ちで走りました。後ろと結構差がありましたので、自分のペースでおして走れば、入賞は間違いないということを確信しました。最後は、いずれ、悲願の優勝をしたい気持ちでフィニッシュしました」

最愛の家族がさらに後押し

フィニッシュ直後

アンカーは13キロを走ります。5.2キロ地点の平和公園前を過ぎると、市内をぐるっとおよそ8キロ回って、もう一度平和公園前に戻ってくるとフィニッシュです。

相葉選手が平和公園前を通り過ぎるとき、見慣れた姿と聞きなれた声が目と耳に飛び込んできました。

相葉選手 娘の咲穂さん

相葉選手

「妻の詩奈子と娘の咲穂の、がんばれーという声が届いて、姿も見えて、力をもらいました。娘は2歳ですが、パパは走る人ということは分かっていて、走る真似をよくします。実は、レースの数日後、私の32歳の誕生日で、家族がお祝いをしてくれました。駅伝の疲れが残っていたのですが、リフレッシュできました。人気のキャラクターのぬいぐるみをプレゼントしてくれたのですが、娘もすごく気に入って、奪われながら和気あいあいしています」

野球から陸上への転身

ひろしまコイらじのスタジオ(左:相葉選手 右:筆者)

相葉選手は、小学生の時はソフトボールに取り組み、中学3年間と基町高校1年までは野球部でした。高校2年の時、友人の安藤弘貴さんの勧めで、広島市の大会の5000メートル種目に出場したところ、陸上の魅力に取りつかれたそうです。

相葉選手

「市の大会で6位に入ることができて、走って勝負する世界に感銘を受けて、そのときから陸上競技に関わっていきたいと思い、今につながっています。タイムは17分24秒と遅いんですけど、自分も走ることができるんだなと、達成感が得られました」

全国男子駅伝で相葉選手を応援した安藤弘貴さん(左)

相葉選手

「高校2年の時、陸上を勧めてくれた友人の安藤弘貴くんは、全国男子駅伝でも応援に来てくれました。安藤くん本当にありがとう。感謝しています。ちょっと照れますね」

広島に根ざして力を伸ばす

広島大学陸上部の仲間と(前列中央が相葉選手)提供:相葉直紀選手
相葉選手は当時大学3年で主将

進学した広島大学では、4年連続で全日本大学駅伝に出場。4年の時は1区を走り、関東勢に割って入り区間10位の結果を残しました。大学卒業後は地元広島の中電工に入社し競技を続けています。

相葉選手

「競技経験の浅かった自分は、地元広島で競技を続けながら、駅伝の全国大会に出たいと思い、全日本大学駅伝に出場できそうな広島大学を選択しました。広島大学は選手の自主性に任せるチームでした。チームの練習メニューや年間の行動計画を全部学生が決めるチームで、そうした中で、中四国でナンバーワンになって4年連続で全日本大学駅伝に出場することができたことは、走ること以上に自分の糧になりました」

練習中の相葉選手

相葉選手

「高校3年生の頃から当時の中電工の監督に練習メニューを紹介していただいていました。大学の時も練習メニューの相談にのっていただいたり、合宿に連れていっていただいたりして、ご縁があったので、中電工に恩返ししたいという思いで入社しました。だからこそ、ことし元日の全日本実業団駅伝でチーム初の入賞を果たし、中電工が強くなる過程を間近で経験させていただいて、本当にうれしかったです」

マラソンでオリンピックを目指す

2022年の別府大分毎日マラソンで5位入賞

相葉選手は、2018年に初めてマラソンに挑戦。そのときは、2時間37分09秒でした。

3回目のマラソンとなった2022年の別府大分毎日マラソンで2時間8分44秒をマーク。

ことし秋に開催されるパリオリンピックの日本代表選考レース、マラソングランドチャンピオンシップ(MGC)の出場権を手にしました。

相葉選手

「広島大学のとき、監督から、ゆくゆくは、マラソンで活躍する選手だと言われ、中電工で同僚がマラソンで活躍する姿を見て、挑戦したいと思っていました。自分は長い距離を淡々と一定のペースでおしていけるところがマラソンに向いているのだと思います。それでも、初マラソンはさすがに苦しかったです。駅伝とマラソンは距離が違うので別物という感じでした。ただ、駅伝での勝負強さは、マラソンにつながります。一つ一つの大会に向けて練習を継続したことが去年の成績につながったと思います。MGCに出るのはすごい選手の証だと思うので、権利を獲得できてよかったです」

2022ロンドンマラソン(右:相葉選手)提供:中電工陸上部

今シーズンも、秋以降マラソンに向けた練習を重ねながら全日本実業団駅伝、全国男子駅伝と結果を残しました。この後は、3月の東京マラソンに出場し、秋には、MGCが控えています。

相葉選手

「全日本実業団駅伝の3週間後の全国男子駅伝は、良いパフォーマンスを発揮するのは難しいのですが、7区を区間4位の37分42秒とまずまずのタイムで走れました。安定した成績を残せたことは次につながっていくと思います。3月の東京マラソンでは、自己ベスト更新は最低目標で、2時間5分台6分台を目標に走りたいです。そうすればMGCに良いイメージで臨めると思います。MGCはレベルが高いですが、おそらく2位以内に入ればオリンピックが確実になるので、2位以内を目標に取り組みたいです」

相葉選手からのアドバイス

番組では、持久走が苦手な人たちに向けてのアドバイスもいただきました

ひろしまコイらじに出演した相葉選手

相葉選手

「無理せずに、できれば仲間を作って一緒に走るのが一番いいかなと思います。きつくならない程度に、ゆっくり走ると、走り続けられると思います。そのペースで走れば景色を見ながら楽しめると思います」

この日の番組のお便り募集のテーマ「鍛えたいところ」を相葉選手にも聞きました。

相葉選手

「走るときは、殿筋=お尻の筋肉がすごく大事なので、そこをしっかり使って走りたいなと思っています。ウエイトトレーニングで殿筋を鍛え、その筋肉を走りにつなげるために、ジョグでしっかり集中して走ることも大事です」

相葉選手の出演時間は30分に及びましたが、1つ1つの質問に対し、丁寧にわかりやすく答えていただき、誠実な人柄があふれ出ていました。

練習やレースの前には、嵐の楽曲を聴いて気持ちを高めるという相葉選手。

広島から世界へ“走り出す”姿を応援しています。

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