飯坂温泉に植物園 どのような植物園だったのか?
- 2023年08月25日
身近な疑問を徹底取材「しらべてmeet!」。
今回は視聴者の方から届いた疑問をしらべてmeet!しました。
(キャスター・石井 双葉)
久しぶりに飯坂に行ったら・・・
60年ほど前に小学校の遠足で福島市の飯坂温泉の植物園に行きました。
園内では、当時は高級品だったバナナが実っていて、こんな風に実がなるのかと驚き、その光景が忘れられませんでした。
久しぶりに飯坂に行ったら跡形もなくなっていたので、どのような植物園だったか改めて知りたいです
ということで、今回のお題です。
地元の人に聞いてみたら
まず、地元の50~70代くらいの人に聞いてみたところ、みなさんよくご存じでした。
地元の人の話から、温泉熱を利用した熱帯植物園だと分かりました。
飯坂のどこにあった?
その熱帯植物園が飯坂のどのあたりにあったのか。
地図が1972年発行の飯坂温泉の旅館案内冊子に載っていました。
赤い線が引いてあるところに「熱帯植物園」の文字。
ホテルの隣にあります。
ホテル直営の、民間の植物園でした。
今の地図で見てみましょう。
飯坂線の飯坂温泉駅から南に300mほどの、いまは住宅街になっているところが熱帯植物園だったようです。
開園はいつ?
町の歴史資料などから、開園は今から63年前にさかのぼることが分かりました。高度経済成長期で景気がよくなり、多くの人が温泉地に足を運ぶようになった時代でした。
1960年(昭和35年)10月16日 (日)
福島県で初めての熱帯植物園として開園しました。
前日の土曜日には福島市長や飯坂町長など200人が集まった盛大な開園祝賀式が行われ、「いい名所ができた」と出席者は大喜びでした。
開園から4年後の映像がNHKのアーカイブスに残っていました!
1964年11月「福島県のみなさんへ」で放送した映像の一部です。
何を見ることができたのか?
当時は熱帯植物園が珍しく、1年中多くの人が訪れました。
外には水槽に鯉が泳ぐ噴水があり、ガラス張りの温室が4つ作られました。
多いときで、バナナやパイナップルなどの熱帯植物600種、サボテン1500種を展示していました。
八丈島や九州、ハワイなどから取り寄せたものだそうです。
それだけではないんです!
植物だけではなく、動物もいました。
開園時には
ワニ31匹 オウム4羽 サル クジャク インコ 熱帯魚
などを飼育していました。
いろいろと楽しめる植物園だったようです。
訪れた子どもたちはわくわくしたことでしょう。
始まった当初はトラブルも・・・
【熱帯植物園からワニが脱走】
1961年の出来事で、フロリダ産の体長約60cmのワニ1匹が逃げ出しました。
3ヶ月後に、熱帯植物園から2キロほど離れたところで近所の農家の人に発見され、3人がかりで2時間の格闘のすえ無事捕獲され、植物園に戻されました。幸い、けが人はいなかったそうです。
植物園の人はこのようにコメントしていたようです。
こんどは逃げないように注意します。
開園からおよそ1年後の出来事で、まだ慣れず、飼い方も難しかったのかもしれません。
熱帯植物園は飯坂の名所
当初はそのようなこともありましたが、熱帯植物園は飯坂の名所でした。
観光客や地域の人が訪れたり、近郊の小学校の遠足にも利用されるなど、20年以上親しまれました。
閉園は?
いつ閉園したのか確かなことは分かりません。熱帯植物園を経営していたホテルが廃業し、当時の関係者のみなさんも連絡がつかず、お話を聞けなかったのです。
ただ、毎年作られている当時の観光案内地図を見比べると、1983年発行のもの以降「熱帯植物園」の記載が無くなったので、その前年1982年(昭和57年)、今から40年ほど前に閉園したと推測されます。