【解説】東日本大震災・原発事故「放射線量」
- 2023年03月08日
ベクレルとは
放射線に関する単位について、それぞれ使われ方が違う「ベクレル」と「シーベルト」の2つの単位を確認します。
まずは「ベクレル」。放射能の強さ、つまり放射性物質が放射線を出す能力を示す単位です。
放射線を出す力が強いほど、そして測定対象のものに含まれる放射性物質の量が多いほどに数値が大きくなります。
原発事故のすぐあとと比べると、
耳にする機会はかなり減った印象ですが?
ベクレルは、土や海水などの汚染の度合いや、放射性物質を含む水や食べ物を飲んだり食べたりすることによる被ばくを防ぐために、安全基準の単位として使われてきました。
確かに一時期に比べてニュースなどで耳にする機会は減りましたが、いまも、たとえば私たちが口にする食べ物の一部で放射性物質の検査が行われるなど、暮らしに無関係ではないんです。
シーベルトとは
続いては、「シーベルト」。放射線が人体に与える影響の度合いを示す単位です。
私たちは、宇宙から届いたものや食べ物の中に入っているものなど、自然界に存在する放射線を浴びています。原発事故のあとは、放出された放射性物質から受ける放射線量、「被ばく線量」の基準としてさまざまな場面で使われてきました。
「ミリ」シーベルト、「マイクロ」シーベルトなど影響の度合いによって使われ方も変わります。
県内各地で現在も測定されていますよね?
こちらが、空気中の放射線量を測定するモニタリングポストです。
幼稚園や学校、公園など、県内のおよそ3600か所に設置されています。震災・原発事故後は、県内各地に設置されたので、多くの方が目にしたことがあると思います。
避難指示解除の1つの目安だが…
避難指示が解除されるには、除染が進んで、空間の放射線量が年間20ミリシーベルト以下になることが目安の1つとなっています。そして、国は長期的には1ミリシーベルト以下まで下げることを目標としています。
下がれば安全ということですか?
この「年間1ミリシーベルト」は、あくまで目安としての数字で、上回ると危険。下回ると安全という境界線ではありません。当然、前述の「20ミリシーベルト」もそうです。
現実的に可能な範囲で低く抑えることが必要です。
事故後10年でどう変化?
県内の放射線量はどうなっていますか?
福島県環境創造センターは、事故直後から2021年3月までのおよそ10年間の時期を区切って、時間あたりのその場所の放射線量「空間線量率」が、どのように変化しているかの解析結果をマップに示して公開しています。
赤色に近く濃いほど放射線量が高く、反対に青色に近く濃いほど低いことを示しています。
上の画像のように、事故からおよそ2か月後の2011年5月には、相双地域などが赤色や黄色で覆われ高い値となっています。それだけではなく、中通りでも広い範囲で濃い緑色が広がっているほか、会津地方でも局所的に薄い緑色になっていたことが分かります。
続いて、3年後の2014年3月です。
帰還困難区域やその周辺では、依然として赤色や黄色の場所が残っています。一方で、除染が進む中で、中通りに広がっていた濃い緑色のエリアが縮小し、会津地方では2011年にほとんど見られなかった濃い青色のエリアが広がっています。
2018年3月末、県は当時の帰還困難区域以外では面的除染が終了したと発表しました。
その当時の空間線量率を見てみると、緑色以上のエリアは、ほぼ帰還困難区域周辺にまで縮小していることが分かります。赤色やオレンジ色の場所も、かなり小さくなりました。
そして直近のデータである2021年3月です。
県内のほとんどの部分が濃い青色もしくは薄い青色になっています。帰還困難区域周辺の黄色や濃い緑色の範囲も、かなり縮小してきているように見えます。