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【解説】東日本大震災・原発事故「家屋解体・除染」

ゼロからわかる福島のいま 第9回
  • 2023年02月17日

現在進行形の「家屋解体・除染」

国は、原発事故の避難指示が出された地域の復興を進めるため、
▼長引く避難で傷むなどして住むことができなくなった家屋の解体と、
▼放射性物質が付着した家屋や宅地などの除染
2つを一連の事業として、所有者の申請や同意に基づいて進めています。

家屋解体について

避難指示区域の家屋は、
▼地震で壊れたり、
▼避難で人が住んでいない間に傷んだり、
▼なかには動物が入り込んで荒らされたりするケースもあって、
避難指示が解除されても住むことができないと住民が感じるケースも少なくありません。
住民にとって住み慣れた家を解体する決断は大変重いことですが、住民が希望すれば公費での解体の制度を利用できます。こうした家屋の解体について国は、付着した放射性物質を取り除くことになり、地域の放射線量を下げることにつながるとしているほか、避難指示解除後に、自宅を再建する場合にも以前の家は解体しなければならないので、住民にとっても復興の前進になります。
 

家屋解体作業の様子

96.4% で終了

その家屋の解体についてですが、環境省は、去年(2022)末までに、申請の96.4%にあたる1万7380件で終了したとしています。

現在は、帰還困難区域内のうち、先行して除染やインフラ整備が行われる「特定復興再生拠点区域」の
一部だけで受け付けられています。家屋解体を受け付けているのは、浪江町と富岡町、それに去年避難指示が解除された大熊町と双葉町のあわせて4つの町のみで、これらの8割あまりで終了しています。
国は、いずれの町についても避難指示が解除されたあと1年間は申請を受け付けるということです。
 

少しずつ進む除染

除染は、土や草木を取り除いたり建物の屋根や壁を拭き取るなどして、放射性物質を除去する作業です。被ばく線量を一般の人が浴びても差し支えないとされる年間1ミリシーベルト以下に下げることを長期的な目標に行われます。

避難指示が出された地域と、それ以外の県内の36市町村で実施され、県は、平成30年3月に、当時の帰還困難区域以外では終了したと発表しました。帰還困難区域では、当初の範囲の8%にあたる「特定復興再生拠点区域」を対象に除染が行われ、環境省は去年8月末時点で作業が9割まで進んでいるとしています。
 

除染作業の様子

いまも課題は山積

特定復興再生拠点区域では、避難指示の解除が進む一方で、残る「拠点区域以外」の場所では除染の具体的な見通しはまだ示されていません
そして、これからもさらに増えていく大量の除染廃棄物の問題もあります。最終的な処分場所や方法の問題も、具体的な道筋は示されておらず、除染をめぐる課題は今も多く残っています。

  • 佐藤翔

    NHK福島局コンテンツセンター

    佐藤翔

    福島市出身。福井、宮崎でスポーツ取材・防災減災の発信にあたる。2022年から福島で勤務し、現在は会津若松支局。

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