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なぜ?街路樹に柿の木

誰が植えたの?実はだれのもの?勝手に取ると法令違反!?
  • 2023年12月11日

なぜ?街路樹に柿の木

バリサーチLINEにこんな画像と投稿を頂きました。

👆画面の左下ここのあたりに柿の実が

赤坂大正通りの街路樹のひとつとして植えられている柿の木。いつ、なぜ、ここに植えられたのか?調べていただけますと幸いです。  PNサイトウさんよりLINE投稿

写真は去年の様子だそう

確かに、街路樹に実がなる木はあまり見かけない気がします… この謎を追うことに!
NHK福岡放送局からほど近く、投稿にあったのは、おそらくこの木ですが…

葉っぱからすると柿のよう

確かに柿の木のようですが、実はついていません。木の前にあるお店の人に聞いてみると…

すごいなってました!1週間前までは

1週間前までは、たくさんの柿の実を付けていたそう。毎年のことだそうです。

街路樹に柿の木、調べてみると他にも見つけました!

県民にはおなじみの天神橋口の交差点 画面一番左の白い車の上くらいに…
柿の実がなっています
こちらは南区 ぽつんと1本の柿の木が

なぜ、ここに? 近所の人が植えたのでしょうか? 周囲で聞き込みをしました。

いや、わからん…毎年はなっていますね。
ことしもなっていますねという感じで、季節になると「ああ柿がって」。
10年ちょっとぐらい前なんですけど
その時にはもうこの木はあったと思います「何であるんやろう?」とは…

どの柿の木も、いつ、誰が植えたのか、経緯を知っている人は周囲にいませんでした。

そこで取材班は、街路樹を管理している福岡市に問い合わせてみることに。

訪れたのは福岡市住宅都市局公園部
福岡市住宅都市局公園部 運営課長 渡邉英樹さん
渡邉さん

本市では約5万本の街路樹を管理しておりまして、その中にも樹種がいろいろあるんですけども…確かに植栽帯の中に柿の木が生えているところがあるんです。けども行政で植栽した記録はないんですね。

街路樹に柿の木が生えているのは確認しているけれど、記録に残っていないとはどういうこと??

葉が落ちる木を街路樹とする場合は地元との話し合いも…

そもそも街路樹は、道路を管理する国や県、市町村(道路管理者)が管理しています。その目的は、車道と歩道を分け、歩行者の安全を守ること。街の景観を整え、環境を保全することも大切な役目です。
そして実は、街路樹は道路法で、照明灯やカーブミラーなどと同じ、道路の付属物と規定されています。そのため、傷つけたりする行為は法令違反に問われるのです。

街路樹を傷つけるなどの行為は… 道路法/第8章 罰則 第101条
違反行為した者は3年以下の懲役または100万円以下の罰金に処する

例えば、中古車販売業者が除草剤をまいて街路樹を枯らせた行為。3年以下の懲役、または100万円以下の罰金に処せられる可能性があります。そのほか、道路管理者の許可なく木などを植えたり、なっている実を採る行為も、同じく法令違反にあたる可能性があるんです。

…となると、植えられた記録がないという柿の木は、いったいどう扱われているのか?

渡邉さん

実生(種子から発芽して成長)か何かで自然に発生したものと思われるんですけど、植栽帯の中にあるので街路樹として通行に支障がないように市が管理を行っています。

福岡市では、自然に生えて成長したもので、街路樹としての役割も果たしているので、普通の街路樹の一本として管理している、とのことでした!

 

しかし、なぜ柿の木があるのかは謎のまま…   取材班は専門家の力を借りることにしました。

福岡県樹木医会 代表理事 森陽一さん

樹木医の森陽一さん。20年以上にわたり、福岡市の街路樹を診断してきました。

森さん

(柿の木は樹齢)20~30年ぐらいということかと思います、そうだと思うんだけど、通常柿の木を(街路樹として)植えるということはない。でも何で、こうきれいに街路樹みたいな形の中で、間隔もそうなんだけど問題ないように植わっているじゃないですか、ちょっと不思議なことは不思議。

確かに、柿の木は、植栽帯の中にきれいに収まっています…

少し歩道側に寄ってはいますが…
木が先に生えていたのか?植栽帯が作られた後に生えたのか?

離れて観察してみても、ほかの街路樹と同じ高さや間隔で生えていて、違和感がありません。

誰かが計画的に植えた、という風にも見えますが、森さんの見解は…

森さん

柿の木は種から発芽しやすいんですよ、どなたかが実を食べて柿の種をここに置いた(捨てた)。わざわざ植えた植えたというよりは基本的にこぼれ種というかそういうものじゃないかという気はしますけど。それか鳥なんかがここにフンを落として柿の木が発芽してきたか…

取材班

人か、鳥か、どちらの可能性が高いでしょうか?

森さん

どちらとも言いにくいんですけど… ただね、(伐採されず)よく生き残ったと思いますよね。都会の鳥たちにとってはいい餌場になっていると思いますよ。

たしかに。都会の真ん中ですが、柿をついばむ小鳥の姿が

福岡市に植えられている街路樹は、およそ5万本。森さんたちは樹木医は、市などの依頼を受け、20年前ほどから木の健康診断を続けてきました。いま、是非知っておいてほしいことがあると言います。

森さん

昭和30から40年代特に40年代(高度成長期)はよく植えたんですよね、(樹齢)40年くらいたった木自体が本当に倒れるような木になってきています…

中が空洞になっていないか、根はしっかり張っているかなどを1本1本診断

アスファルトで覆われた道路など、木にとってはかなり厳しい環境なので街路樹としての寿命は40年ほどだそう。高度成長期に大量に植えられ、いま、弱って倒れやすくなっている木が増えているというのです。

倒れた木が車を直撃しました…

実は、全国各地でも状況は同じで、街路樹が倒れる事故が相次いでいます。国土交通省でも、この10月から、初めての実態調査に乗り出していますが、福岡市では、先手を打って森さんたち樹木医に診断を依頼してきたという経緯があるんです。

森さん

診断することによって通行する人たちに危害を与えたりということがすごく少なくなる。もしも危ない木があったら直ちに処置できるという形になっていますから、常にそういう木は気をつけて維持管理していく。

ちなみに、今回調査した柿の木は…

いたって健康ということでした!

森さん

ちゃんと診断もしている。だから今のところ健康だということで(不思議な街路樹として)もう少し楽しんでいただければと思います。庭木の一つだと思って大事にして頂ければ、街路樹も喜ぶかと。

今回の調査結果です。

▽柿の木の樹齢は20~30年  
▽市は自然に生えたものとして管理

さて、投稿にあった柿ですが、どんな味か気になりますよね…
管理している福岡市に聞いたところ「柿の実は廃棄処分しているので分からない」とのことでした。
ですが、近くの人で、昔、落ちた物をちょっと味見したという人によると「おいしくはなかった」
そうです。樹木医の森さんは、実の味が良くない場合は、鳥などの動物が運んできた可能性が高いのでは、と話していましたが、真相はいかに。何かご存じの方がいらっしゃたら、ぜひ教えてください!

ちなみに、なっている実を取ると罰せられる可能性がありますが、落ちた物はどうなのか? 街路樹は道路の付属物なので、なっている実を取るのは「壊した」として処罰の対象になる可能性があります。が、落ちた実に関して福岡市の場合は、掃除して片づけるのと同じということで、OKだそうです。ただ、道路を管理している国や県、市町村でそれぞれ見解が違うそうなのでご注意下さい!
 

1本の柿の木から話が広がって、興味深い取材になりました。
みなさんの身近な疑問・お悩みはこちらから☟投稿をお待ちしています!

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