追跡!バリサーチ おみくじは誰が書いている?
- 2023年10月20日
追跡!バリサーチのLine友だちから、こんな投稿を頂きました。
「太宰府天満宮に行っておみくじを引きました。内容は良くも悪くも読み手がうまく解釈できるようなものばかり。どなたが作成されているのでしょうか?」
神社での参拝、おみくじを引くのもひとつの楽しみですよね。でも、その文章を誰が書いているのか、言われてみれば確かに気になります…。今回はこの疑問を 追跡!バリサーチ
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学問の神様としておなじみの太宰府天満宮です。
この日も、おみくじを引く学生たちの姿が。
このおみくじを書いているのは誰なのか。
太宰府天満宮の広報に取材を申し込んだところ…
『おみくじの内容については答えられません』
との回答。早々に取材が行き詰まってしまいました…
が、これで調査終了、とはいきません。
続いて宮地嶽神社に。
しかし、ここでも
『おみくじの内容については答えられません』との回答。
どこの神社やお寺に尋ねても同じ答えでした…
あきらめきれない取材班。何か別の方法はないかと探っていたところ、神社仏閣やおみくじに関する情報を発信している人を見つけました。
坂原弘康さん。これまで4000か所以上の神社仏閣を巡り研究。おみくじにも詳しいと言います。取材が難航していることを伝えると…
それはどちらかというとタブーな質問にはいっちゃいますね。おみくじは神様仏様のことばということですのでやはり誰が作っているのかということはあまり明かしたくないというのが神社お寺側の考え方と思いますね。
おみくじがどのように作られたか、まず歴史を知ることが大切です!
おみくじのルーツは、中国の南宋時代に作られた観音さまのお告げを読み解くためのもので、室町時代までに日本のお寺に伝わったと言われています。
日本では、よいことが書かれているのか、悪いことが書かれているのか一目で分かるように吉凶がつけられたそう。
一方、神社では、古来より和歌を通じて神様のお告げを聞く風習があったそうで…
例えば歌占と言いまして、私たち参拝者が神様にお告げをお願いしたいときは神様が例えば神社の巫女の体にのりうつられて巫女の口から和歌を通じて私たちにメッセージが述べられたと言われていますね。
明治時代に入り、この習わしをもとに和歌を使ったおみくじが作られるようになったそうで…
そのため、おみくじの冒頭には「神のお告げ」として和歌が記され、それを読み解いた文章が書かれているというのです。
神社の神職やお寺の僧職がおみくじ作りに関わっているんですども、万葉集とか古今和歌集という古典からとられたものもありますし、おみくじ用に新しく作られた和歌もあります。
作った時点では単なる人が作ったものかも知れませんけども、それを神様の前に供えることによってお清めをしてその結果神様のお告げとして生まれ変わるわけですね、そして神様は私たちの聞きたいことに対してそのおみくじの中から1番ふさわしいものを選んで私たちに授けてくださるというのがおみくじの基本的な考え方です。
ちなみに、太宰府天満宮のおみくじでは…
代表的なおみくじで使われている和歌はすべて、まつられている菅原道真公自身が詠んだものです。『神様本人が読んだ和歌を通してのお告げ』ということになりますね。
というわけで調査結果、「おみくじは神様のお告げを和歌を通して聞いたもの」。ゆえに、坂原さんによると…
おみくじは誰が書いたのかのではなく、神様のことばなので、読んだ人の向き合い方しだいで様々に取れるもの、として楽しんではいかがでしょう
とのことでした。…その一方、「誰が書いたのかが分かる、面白いおみくじがある」と教えてくれました。向かったのは、熊本城のすぐ近くにある神社です。
その名も「イチハラヒロコ恋みくじ」
なんと、書かれているのは、たったのひとこと「速度おとせ」。…どいういうこと!?
あんまり慌てずに自分のペースでいた方が2人の仲がうまくいきますよということかもしれないですし、あんまり慌てると恋愛も失敗するよということかもしれないですし。ただ、どう解釈するかはその人次第なのでよく考えてみてください。
このことばを考えたのは、イチハラヒロコさん。ことばを使った表現をするアーティストです。
吉凶を占うのではなく、「わかりやすいことばから神様のお告げを読み取って欲しい」という思いでつくられたそうです。もともとは大阪の布忍神社がつくったもので、九州で引けるのはここだけ。最近、SNSを中心に話題となり、多くの人が参拝に訪れるようになったそうです。
おみくじを引いてもその時の自分がどう思っているかとか、どういう状況にいるかというので変わってくると思うんですよね。ですので、深く考えずにちゃんとおみくじに書かれたことばと向き合ってもらったらいいのではないかと思います。
いつも何気なくおみくじを引いていましたが、こうした成り立ちがあったんですね…。正直なところ、吉凶だけを気にしていましたが、和歌とそこに続く文書が大事だということで、今度からはちゃんと読んでみたいと思います。そして、シンプルなことばの恋みくじ、短い文章故に響くことがあるのも頷けます…。遠くから引きに来る人もいるそうです。
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