福井 ボランティアが育む地域の絆 能登半島地震でも活躍 東安居地区
- 2024年03月26日
福井市東安居(ひがしあご)地区では、『スケットさん』と呼ばれる地域のボランティアが、地元を盛り上げようと活躍しています。メンバーは100人を超え、ことし1月1日に起きた能登半島地震では、高齢者の安否確認にも大きく貢献しました。自分の得意分野を生かし、地域貢献に取り組む人たちの姿を各務朱音キャスターが取材しました。
地域ボランティア『スケットさん』
福井市の西部に位置し、閑静な住宅街が広がる東安居地区です。福井駅から車で15分ほどと、アクセスのいい場所です。
この地区では地域貢献活動が積極的に行われていて、いわゆる地域のボランティアのことを独自に名付けています。その名も『スケットさん』です。
漢字よりも親しみやすいという理由で、カタカナにしたそうです。地区の人なら誰でもスケットさんになることができます。
能登半島地震でも活躍
お手伝いの内容は、自分の得意分野でOK。スケットさんに登録するときには、活動したい分野をあらかじめ提示することができて、日曜大工やパソコン、紙芝居などお手伝いの種類はさまざまです。
スケットさん制度が始まったのは23年前。当時の話を東安居公民館の館長、村上勉さんに伺いました。
スケットさんを始めた当初は、どのくらい人が集まったのですか?
最初は3人ぐらいだと聞いております。地域の特技や趣味などを持っている方たちにお声掛けをしながら、現在はもう100人以上います。
みんなで地区を盛り上げようと活動するスケットさんは、公民館の掃除や正月に飾る門松づくり、地域の花壇の水やりなども行っています。さらに能登半島地震の時にも、頼りになる存在だったといいます。
1月1日の能登半島の地震がありましたよね。あの時に、スケットさんに近所の高齢者の安否確認をお願いしたんですけども、みなさん率先して動いていただいて、(安否)確認が取れました。
スケットさん手作りの工作教室も
スケットさんの活動は、地域の子育て支援にも広がっています。地区にある児童館では、放課後の子どもたちおよそ30人が、工作に励んでいました。
教えているのは、スケットさん歴22年の川崎栄祠さんです。地元に恩返しをしたいという気持ちで、スケットさんに登録し、年に5回ほど児童館でスケットさんの活動を行っています。
スケットさん 川崎栄祠さん
昔、子どものころに、たくさんの大人に工作とか、物語の読み聞かせとか、紙芝居とかいろんなことを教えてもらったんですよ。そんなものを、今本当に懐かしく思うんです。子どもたちは地域の宝ですよ。その宝の子どもたちに、また伝えていこうかなという思いで今やっております。
この日、子どもたちは、竹とんぼに色をつけて楽しんでいました。竹とんぼは川崎さんが自ら竹を切り出して、一つ一つ作ったそうです。
スケットさん 川崎栄祠さん
(竹とんぼを作るのに)暮れから正月にかけて、10日ほどかかったかな。手作りです。「これ楽しめるかな~どうかな~」と子どもたちの笑顔を思い出しながら作っています。力いっぱいやっていくと、子どもたちの楽しい笑顔が逆に、私たちにプレゼントしてもらえるので、やりがいありますね。
工作の後は、みんなでかるた大会が開かれました。終始子どもたちの笑顔が絶えないにぎやかな時間でした。公民館では、東安居地区に住む人で、私もスケットさんをやってみたい!という人をまだまだ募集しているそうです
今後もスケット活動、続けていきたいですか?
もちろんです。もうすぐ81歳になりますけども、これからもまだまだ続けて、90歳になってもやろうかなと思っています。
地区には、スケットさんの活動を通じて、経験豊富な大人と次の世代の子どもたちがつながる、強い絆がありました。