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福井 地域支えるローカル線・えちぜん鉄道 新人運転士に密着!

2023年10月27日放送 福井ザクザク!掘らナイト「新幹線がくる今こそ!福井のローカル線SP」
  • 2023年11月29日

    “えち鉄”の愛称で親しまれ、今年開業20周年を迎えた福井県民の足、「えちぜん鉄道」。日々休みなく運行する列車の要とも言えるのが運転士です。ひとり立ちしたばかりの新人運転士に密着し、安全運行の裏側を見せてもらいました。

    運転から車掌まで 1人でやります

    運転士 三宅亘さん

    えちぜん鉄道は福井駅を起点に、温泉地のあわらを通り、越前がにの水揚げ港として知られる三国までを結ぶ「三国芦原線」と、永平寺口を通って恐竜博物館で有名な勝山を終点とする「勝山永平寺線」の2路線を運行する福井のローカル線です。今回はそんな地域の足「えち鉄」で運転士を務める三宅亘さんに密着しました。今年2月に運転士としてひとり立ちしたばかりです。えち鉄の運転士は現在37人で、各自その日のシフトに合わせて出勤します。三宅さんのこの日の出勤時間は午前6時10分でした。

    運転士 三宅亘さん

    気をつけ、敬礼。12行路にて出勤しました。心身状態良好です。

    「行路」というのは、何時に出勤してどの列車を運転するのかということを細かく決めた行動パターンのこと。えち鉄にはこの行路が全部で17あり、列車をダイヤ通りに運行するため、運転士はすべてこの「行路」に従って動いています。

     

    担当する列車に合わせて、福井口駅のホームへ向かいます。列車を引き継いで運転スタートです。

    片道およそ50分。勝山方面、三国方面、合わせて1日4往復を担当します。ワンマンのため車掌はいません。無人駅も多いため、駅ではドアの開け閉め、安全確認などすべて1人で行います。

    技術の要 スムーズなブレーキ

    運転士の技術の要が、右手に握られたブレーキです。上り坂、下り坂、天候によって変化する線路の状況によって、臨機応変にブレーキをかけるタイミングや強弱を見極めます。とても繊細な操作です。

    また、カーブにさしかかれば制限速度に落とし、停車の時は停止位置にぴったり止めなければなりません。運転士は駅ごとの発着時間を秒単位で把握していて、ダイヤ通り運行するためにブレーキ技術は重要なものなんです。

    運転士 三宅亘さん

    運転士 三宅亘さん
    なるべくなめらかなブレーキで、お客様に快適に乗ってもらうためのブレーキをマスターするのが一番難しいです。上手くできれば逆に楽しいというか自信に繋がる。それが一番やりがいはあります。

    ドキドキ!先輩の抜き打ちテスト

    この日、いつものように運転する三宅さんのもとに、突然もう一人の運転士が現れました。“ブレーキの魔術師”こと、運転士歴32年のベテラン、出蔵(でぐら)博明さんです。これは運転の抜き打ちテスト。定期的に先輩の運転士が同乗して行う指導です。快適な乗り心地にするために、より衝撃を感じさせないブレーキを追求すべく、出蔵さんから厳しい指摘が入ります。

    運転士
    出蔵博明さん

    (ブレーキレバーを)戻した瞬間と入れた瞬間、ガクンとなる。そういうところに気をつけて、あまりガチャガチャせんように、シンプルに操作せんと。

    さらには、技術だけでなく運転士としての振る舞いについての指導も…。

    三宅さん

    次は鷲塚針原。無人よし…!

    出蔵さん

    頭かしげるな。お客さん不安になる。「大丈夫か、この運転士」って。

    厳しい指導も、すべては後輩の成長のため。現場での指導が終わると、改めてその日の運転の確認です。必要なブレーキ圧力を無駄なくかけることを目指し、究極の目標が示されました。

    出蔵さん

    目指すは、常にゼロキロパスカルでの停車やで。これは妥協して欲しくない。無駄を減らしていけばまだまだ上手になる。間違いなく伸びしろしかない。頑張れ!

    「ゼロキロパスカルでの停車」とは、列車が停車位置に止まる時に、ブレーキ圧力をちょうどゼロにするということ。圧力をかけたり抜いたりする度合いやタイミング、列車のスピードや停車位置までの距離など、全てを見極めながら操作しなければならず、実現するのは至難の業です。

    三宅さん

    運転士としてまだまだ若手なので、ベテランさんから吸収して一人前の運転士になりたいです。

    より安全でスムーズな運転を目指して、新人・三宅さんの奮闘の日々はこれからも続きます。

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