NHK放送文化研究所

2021年メディア調査

スマホ利用の多い20代はどんなシーンにスマホを使う?

突然ですが、「メディア利用の生活時間調査」において、1日のスマホ利用時間が他の年代よりも特に長かったのは、どの年代だと思いますか?
あまり難しい質問ではないかもしれませんが、それは20代です。
調査によると、20代は男女ともに、1日にスマホを3時間半近く利用していることが分かっています。

今回のコラムでは、それだけ長い時間をスマホ利用に費やす20代が、1日のどんなシーンでスマホを使っているかに注目してみます。
まずはこちらのグラフをご覧ください。

【図1】スマホ利用(自宅内外)と在宅率(20代・月曜)

20代のスマホ利用について、時刻別にとらえたグラフです。
2色の棒グラフは、その時間にどのくらいの人がスマホを利用したかという「行為者率」です。色分けは、ブルーが自宅内でのスマホ利用、ピンクが自宅外での利用を示し、ふたつを足しあげたものがスマホ利用の行為者率となります。
グレーの面グラフは、どのくらいの人が家にいるかという「在宅率」を表しています。

時刻別に推移を見ていくと、0時から6時までは睡眠時間帯ということもあり、在宅率は高い反面、スマホ利用は10%未満と少ないです。特に午前3時~5時台に関してはスマホを使っている人はほとんどいません。

朝は6時半になると起きて活動する人も増えてくるため、在宅率は低くなっていきます。スマホ利用は、6時半にはすでに10%を超えていて、朝早い時間からスマホを利用している人もいるようです。その後、7時台に15%程度まで上がったのち、日中は大きく変わらず15%前後を推移します。

日中は外出している人の方が多いにも関わらず、スマホ利用の自宅内外の内訳を見ると、外での利用は意外と少ないことに気づきます。外出している人は、学業や仕事などがあり、ゆっくりとスマホを見る状況にはないのかもしれません。
12時台に自宅の外でのスマホ利用が多くなる時間帯がありますが、これは昼食や休憩時間のスマホ利用だと予想できそうですね。

夕方から夜にかけて在宅率は再び高くなり、スマホ利用もここからぐんぐんと増えていきます。1日のうちスマホ利用が最も高くなるのは22時で、20代の4割がスマホを使っています。自宅内外の内訳としては自宅内での利用が多いです。

別の側面からもみてみましょう。
このグラフは、スマホを「ほぼ毎日」利用するシーンについて、同じ調査内で尋ねたものです。

【図2】スマホを「ほぼ毎日」利用するシーン(付帯質問 20代)*複数回答

スマホを「夜に自室で」ほぼ毎日使うと答えた人は、20代は88%と、9割に届きそうな勢いです。「夜に自室で」は、10代は5割、30代でも7割にとどまるので、自室などのプライベートな空間でのスマホ利用というのは、20代の大きな特徴の一つと言えるでしょう。

そのほか、「寝る直前まで布団の中で」が78%、「夜にリビングで」も72%と、夜の自宅というシーンにおいては多くの人がスマホを習慣的に使うと答えています。

また、興味深いのは、「トイレで」(36%)や「入浴しながら」(19%)など、自室よりさらにプライベートな空間での習慣的な利用を挙げている人も他の年代に比べて多く、20代の生活のあらゆるシーンにおいてスマホが手元にあることをよく示していますよね。

今回は、スマホをよく使う20代がどのようなシーンでスマホを利用するかを掘り下げましたが、学業や仕事が終わった後の自宅内でのプライベートタイムにスマホを利用する人が多いということが分かりました。

他のコラムでも、スマホ利用についてや20代のメディア行動などについて紹介していますので、ぜひご覧ください。

(築比地 真理 研究員)