NHK放送文化研究所

2021年メディア調査

20代 朝は何をして過ごしている?

みなさんは、朝の時間をどのように過ごしていますか?
ギリギリまで寝て、さっと準備をして家を出て行く人。ゆっくりとコーヒーと朝食を楽しむ人など、人によってさまざまだと思います。朝の時間にテレビを見ながら身支度や食事をする人も多いのではないでしょうか。

今回は朝のテレビ視聴に注目し、特に20代の朝のテレビ視聴や、彼らの朝の過ごし方をデータから探っていきたいと思います。

まずは、1日を通した20代のテレビ視聴のデータをみていきましょう。
図1は、テレビ画面で「リアルタイムテレビ」を視聴している人の割合(行為者率)を、時刻別(30分ごと)に表したグラフです。20代の親世代にあたる50代と比較してみました。

図1 1日を通したリアルタイムテレビ視聴 (行為者率 20代と50代 月曜)

20代と50代では、グラフの形がかなり異なります。テレビ視聴については、3度の食事とともに朝・昼・夜と3つのピークの山を描くことが従来の研究で知られており、50代を見てみると朝のピークは22%、昼は10%、夜は42%と、高さはそれぞれですが3つの山がみられます。
一方で、20代のテレビ視聴は、50代に比べて山の高さは低く、朝は6%、昼は1~2%を推移し、夜でも12%までしか上がりません。

50代に比べて、20代は1日を通してテレビをあまり見ないようです。
では、朝の時間には何をして過ごしているのでしょうか?朝、20代が主にしている行動をみていきましょう。

図2 20代の朝の行動について (行為者率 月曜)

グレー部分は、朝起きて家に居ることをあらわす「起床在宅」です。朝6時から9時には、2~3割の人が起きて家に居るようです。
緑色の「身のまわりの用事」(歯磨きや着替えなどの身支度)や、オレンジ色の「スマホ」は、朝、起きる人が増えるにつれて利用も高くなっていきますが、青色の「リアルタイムテレビ」は、ピークの時間(7時~7時30分)でも6%と低調のままです。
また、朝の「スマホ」の利用ピーク(7時30分~8時30分)は、「身のまわりの用事」のピーク(7時~7時30分)よりも遅く訪れることも分かります。

では、20代が朝にスマホで何をしているのかを見てみましょう。
以下は、朝にスマホで行われている具体的な8つの行動の行為者率のグラフです。

図3 20代のスマホでの8つ行動の内訳 (行為者率の積み上げグラフ*月曜)

多彩な行動が行われていることが分かりますね。その中でも、7時30分~8時には紺色の「SNS」や赤色の「音楽」が多く、その後の8時~8時30分にはオレンジ色の「動画」も増えてくるのが特徴です。

このように、20代は朝の時間にスマホを使って「SNS」「動画」「音楽」などを見たり・聞いたりしている様子がわかりますが、朝起きてから通勤・通学の時間まで、20代の手の中にはスマホがあり、例えばInstagramやTwitterなどのSNS、TikTokや YouTubeなどの動画視聴などを楽しんでいるのではないかと想像します。筆者はこの世代よりも少し上ですが、朝起きてから通勤時間までスマホは手放せないので、20代の朝にスマホが身近にあるという事は実感します。

最近ではスマホでリアルタイムのテレビ放送や、見逃し番組配信も見られるようになりましたが、20代の手の中にあるスマホの画面には、どんなコンテンツが映し出されているのだろうか?テレビ由来のコンテンツも多いのだろうか?と、更に深く知りたくなりました。

今回は20代の朝の過ごし方に着目しましたが、夜の時間に着目したコラムもぜひご覧ください。

(築比地 真理 研究員)

  • *図3の積み上げグラフは重複した行動も含むため、足し上げた行為者率の合計は図2の「スマホ」の行為者率よりも高くなっている。