放送研究と調査(月報) - 目次

各国の「放送界の動き」に関する情報を掲載しています。

放送界の動き

豪,盗聴問題報道のABCを与党議員が非難

オーストラリアの公共放送ABCが11月18日,政府当局によるインドネシアのユドヨノ大統領らに対する電話の盗聴問題を報道したことに対し,与党議員から「高度な機密をなぜ報道したのか」などと非難の声が浴びせられ,一部メディアもこれに同調している。この問題は,もともと米NSA(国家安全情報局)がテロ対策などを理由に行っていた盗聴行為をエドワード・スノーデン元職員が暴露したことから明るみに出たが,ABCはスノーデン元職員から情報を入手したイギリスの新聞ガーディアンを通じてオーストラリア関連の盗聴の実態を把握・報道した。これに対し,19日に開かれた豪議会で,与党自由党のラストン議員がABCのスコット会長に,「高度な機密とされる文書を報道することが道理に合ったことか」と非難,Herald Sunなど一部のメディアもこれに同調する中,ABCは弁明に追われている。

香港,政府批判のラジオ局司会者が異動に

香港の商業ラジオ局「商業電台」で,政府に対する辛口のコメントで知られる朝の番組の女性司会者が異動になり,政治圧力の影響との批判が出ている。この番組は『在晴朗的一天出発』という朝のプライムタイムに放送している人気番組で,これまで梁振英行政長官などへの厳しい批判で知られる女性の李慧玲氏が司会を務めてきた。ところが商業電台は李氏を夕方のより聴取率の低い時間帯の番組に異動させ,代わりを局のトップである陳志雲行政総裁が自ら担当することを決めた。メディア界では,李氏が「異動に応じなければクビにすると言われた」と証言したこともあって,2016年に免許の更新を控える商業電台が,香港政府の意向を察して自主規制したとの見方が多く,政治圧力の影響とする批判が起きている。商業電台自身はこうした見方を否定している。

韓国,地上波で「3D放送」スタート

韓国政府の未来創造科学部(未来部)と放送通信委員会(KCC)は11月7日,商業放送局SBSの3Dコンテンツが同月10日から視聴できると発表した。今回,未来部は3D放送を実施できるよう技術基準を改正,一方KCCは,SBS から申請があった3D放送の変更許可を承認したとしている。またSBSでは,同局の人気バラエティーやドラマ,音楽番組,テレビ講座など,3Dで放送する新番組を制作するほか,3Dのコマーシャルも放送するとしている。

パキスタン,インド制作番組の過剰放送で10局に罰金刑

PEMRA(パキスタン電子メディア規制庁)が,規則で許容している割合を超えてインド制作の番組を放送したとして,2013年に国内の商業テレビ10局にそれぞれ100万ルピー(約93万円)の罰金を科していたことが,11月17日に発表された情報放送省の文書で明らかになった。PEMRAが国内テレビ局に課している行動規範(Code of Conduct)では,放送番組全体に対する外国制作番組の割合は最大で10%,インド制作番組はその内の60%(全体の6%)以内と決められている。

インド,Starがスポーツ放送強化

21st Century Foxの現地法人で30以上のテレビチャンネルを運営するインド有数のメディア企業Star Indiaは,11月6日,スポーツ放送強化のため今後2,000億ルピー(約3,200億円)を投入する計画を明らかにした。同社はこれまでもESPNとの合弁チャンネルを含めスポーツ放送に力を入れてきたが,今後はこれまで力点を置いてきたクリケットに偏らずサッカーやホッケー,バドミントン,テニス,F1など他のスポーツにも焦点を当て,生中継以外の多彩なスポーツ番組にも取り組むという。この方針に伴い,これまでスポーツチャンネルに付けられていた名称も全てStar Sportsのブランド名に統一される。

インド,AIR新会長任命

インドの公共ラジオ局AIR(All India Radio)の新会長(Director General)に,これまで南部地域担当の次長を務めていたR.Venkateswarlu 氏が任命され,11月1日に就任した。AIRは,公共放送機関であるインド放送協会の下で全国に403の放送局を持ち,23の言語で放送を行っている。