放送研究と調査(月報) - 目次

各国の「放送界の動き」に関する情報を掲載しています。

放送界の動き

英BBC,放送技術要員養成計画を発表

イギリスの公共放送BBCは4月18日,放送技術要員の不足を補うために放送業界全体で「BBC技術訓練」プログラムを立ち上げることを発表した。これは,BBCと政府の「職業訓練パイロット」(Employer Ownership Skills Pilot)が資金を拠出し,今後8年間で100人の放送技術要員を生み出すもの。年間20人の訓練生が選抜され,3年間の養成期間に専門分野の技術的・学術的訓練を受け,終了後に博士課程進学の有資格者となることができる。

英Ofcom,ホワイトスペース技術実験参加事業者を募集

イギリスの放送と通信分野の規制監督機関であるOfcom(Office of Communications)は4月26日,地上デジタルテレビ放送用周波数帯の隙間で未使用の周波数帯(ホワイトスペース)について,技術実験に参加する事業者の募集を開始した。スマートフォンやタブレットなど無線通信機器の爆発的な普及によるデータ通信サービスの需要にこたえるため。実験は今秋に開始する予定で,利用機器間の運用問題や予想される既存周波数帯利用者への影響の軽減策などを検証する。

仏公共テレビ,広告全廃見送りに

フランスのフィリペティ文化・コミュニケーション大臣は4月20日,2016年1月から予定されている公共放送フランステレビジョン(FT)の広告放送の全廃について,当面見送る方針を明らかにした。サルコジ前政権はFTの改革の一環として,2009年から午後8時以降午前6時までの広告放送を廃止し,2016年からは全廃することを決めた。しかし,厳しい財政難に直面しているオランド政権は前政権の決定を覆し,2016年以降も日中の広告を継続すると方針転換した。一方,FTのフリムラン社長が求めている夜間の広告放送の復活については,商業放送各局の反発が強く,政府は拒否した。

独ZDF子会社,ビデオクリップ無料サイトを立ち上げ

ドイツの公共放送ZDFの子会社ZDFエンタープライズは,これまでZDFが放送した番組のなかから数千本に上るビデオクリップをオンデマンドで無料提供するポータルサイトを立ち上げた。このサイトは,フランスのカンヌで4月に開かれた国際テレビ番組見本市で公開された。1本の長さは,平均で1分から4分で,コンテンツのテーマは,動物,自然,健康,スポーツ,歴史など多岐にわたる。

伊AGCOM,放送周波数の割り当てルールを改定

イタリアの独立規制監督機関AGCOMは4月11日,地上デジタル放送向け周波数割り当てのルールを改定した。アナログ放送の終了で空く周波数については,2012年1月,政府が比較審査方式から入札(オークション)方式で割当を実施する方針へと変更し,AGCOMは,同年11月に関連ルールを採択していた。今回の改定では,割り当てる多重周波数帯(MUX)の数を計6つから3つに縮小,またすでに3つ以上のMUXを保有する事業者は応募不可とし,公共放送RAI,大手民放Mediaset,Telecom Italia Mediaが除外されることになった。

オーストリア,DVB-T2方式の地デジ放送開始

オーストリアで4月15日,第2世代の地上デジタル放送規格であるDVB-T2方式を使った全国放送が開始した。公共放送ORF(オーストリア放送協会)の子会社のORSが,simpliTVの名称で新規格による放送の送信および多重周波数帯の運営を行う。9チャンネルのHDを含む40チャンネルが放送され,このうち27チャンネルは有料(月額10 ユーロ)となっている。ヨーロッパではイギリス,スウェーデンなどがすでにDVB-T2方式を導入している。

アイルランド,世帯放送料導入へ

アイルランドの放送を所管するコミュニケーション・エネルギー・資源担当相は2月26日,テレビ受信料の徴収に関する議会の質疑で,現行のテレビ受信料から世帯放送料(household based public broadcasting charge)へ変更する計画を言明した。担当相は,「技術革新によって,公共放送はいつでも,多様な機器で利用可能である。公共放送の資金を確保するためには,受信機所有に依存せず,世帯や事業所単位で徴収する」と答えた。公共放送運営資金の検討グループの答申を受け,新制度導入の時期を決定する予定である。