放送研究と調査(月報) - 目次

各国の「放送界の動き」に関する情報を掲載しています。

放送界の動き

米,キャスターの同性愛公表に肯定的受け止め

ABC放送の朝の番組「グッドモーニング・アメリカ」の人気お天気キャスターのサム・チャンピオン氏は10月5日,自分が同性愛者で年末に恋人と結婚することを明らかにした。ABCはプレスリリースで結婚相手と2人の写真を公表し,ABCニュース社長や同僚の著名なジャーナリスト,G.ステファノポロス氏などが祝福のツイッターを送った。チャンピオン氏は翌週の番組にカップルで登場し,共演者やスタッフから祝福を受けた。アメリカで同性婚を認めているのは数州にとどまっているが,ネットメディアのハフィントン・ポストは,「10年前なら多くの人が眉をひそめたかもしれないが,この一件は社会の変化を表している」と伝えた。

米NYタイムズ,ポルトガル語版サイト開設へ

ニューヨークタイムズ社は10月14日,2013年後半にブラジルの知識階層を対象としたポルトガル語版ウェブサイトを立ち上げると発表した。毎日30件から40件の記事を更新し,無料で閲覧できるようにする。これに先立ち,同社はこれまで試験的に行っていた中国語のサイトも2012年11月に正式に開設する。一方,イギリスのフィナンシャルタイムズは10月3日,ブラジルの主要3都市で米国版と同内容の紙面の印刷・発行を開始するなど,欧米有力紙の海外展開の動きが相次いでいる。

米のオンライン広告収入,印刷・出版メディアの広告収入を上回る

アメリカのジャーナリズム教育機関Poynterは10月18日,2012年の全米のオンライン広告収入が総額358億ドル(2兆8,500億円)を超え,初めて新聞や雑誌などの印刷・出版メディアの広告収入を上回る見込みであると発表した。最大の要因は印刷・出版メディアの広告の急激な減少だとしている。また,オンライン広告収入の大部分はフェイスブックやグーグルなどに流れ,ニュース企業の収入には結びついていないとも指摘している。

米ニューズウィーク誌,来年からデジタル配信のみに

ニューズウィーク/デイリー・ビースト社は10月18日,同誌の紙での発行を年内でとりやめ,来年からはデジタル配信のみにすると発表した。同誌は1933年に創刊され,タイムと並ぶ代表的な週刊誌だったが,2005年以降は発行部数が150万程度と半減し,年間の損失額も平均4,000万ドルに上っていた。2010年に親会社のワシントン・ポストから1ドルで起業家に売却された後,インターネットサイトのデイリー・ビーストと合併したが,出版にかかるコストを削減するためネット配信に特化されることになった。デジタル版は「ニューズウィーク・グローバル」と改名され,購読は有料になる。

米NYタイムズHPなどが「サンディ」報道を無料閲覧

10月末にアメリカ東海岸を襲った巨大ハリケーン「サンディ」はニューヨーク市やニュージャージー州などに大きな被害をもたらしたが,NYタイムズやウォールストリート・ジャーナルなどデジタル版を有料にしているメディアは,この間,自社サイトを無料で公開し情報提供に努めた。タイムズは,各地の被害状況やハリケーンの進路,交通や公共施設,学校の情報などを刻々と伝えるとともに,ライブカメラの映像や多数の写真も公開した。紙での発行は滞ったが,最新情報を次々に更新できるネットの特性を生かし,ビジター数はこれまでで最も多かった時の2倍に上ったとしている。

ブラジル,歴史的な人気ドラマ放送終了

ブラジル最大の商業テレビネットワークのTV グローボで2012年3月から放送されていたドラマ「アヴェニーダ・ブラジル」が10月19日,放送を終了した。同番組は月曜から土曜の毎日夜9時台に放送され,調査会社IBOPEの発表によると最終回の視聴率は51%に達し,全国で8,000万人が視聴した。ブラジル社会で急速に増えつつある新興中産階級の人々の現実を描いて話題となり,放送時間帯には市街地の交通量が減るなどの社会現象も生んだ。アメリカの経済誌フォーブスによると,この番組の広告収入は総額20億レアル(780億円)に達し,ブラジルの放送史上最高を記録した。