放送研究と調査(月報) - 目次

各国の「放送界の動き」に関する情報を掲載しています。

放送界の動き

北朝鮮メディア,キム総書記死去を報道

北朝鮮の朝鮮中央テレビなどは12月19日正午,特別放送を行い,キム・ジョンイル(金正日)総書記が17日に死亡したことを報じた。この中で,キム総書記は17日に現地指導に向かう途中,専用列車の中で亡くなったとし,死因については,心筋梗塞と心臓麻痺のためであると伝えた。また,列車で外遊した際の肉体的過労も一因だとした。放送では,28日に行われる葬儀の葬儀委員会名簿も発表され,筆頭には総書記の三男で後継者のキム・ジョンウン(金正恩)氏の名が読み上げられ,葬儀委員長を務めることを示唆した。朝鮮中央テレビや朝鮮中央放送など北朝鮮のメディアは,19日正午から「特別放送」があることを,この日の午前中,数回にわたり事前予告していた。

台湾の公共放送,北朝鮮テレビの“真似”に批判

台湾の公共放送グループの一員である中華テレビは12月19日,ニュース番組の中で,北朝鮮のキム総書記が死去したことを伝える朝鮮中央テレビのアナウンサーの服装や雰囲気を女性キャスターが真似しながら台湾のニュースを伝えた。この放送はネット上で広く伝えられ,「外国のリーダーの死去というニュースを茶化すのは礼節を欠く」「公共放送グループの一員たる資格がない」などと批判が殺到した。中華テレビは急きょ,翌日の夜のニュース番組で陳謝すると共に,キャスターを務めていた梁芳瑜記者を降板させた。中華テレビは2006年,商業局から公共放送となったが,当初予定されていた政府交付金が一向に支給されず,現在も広告収入に全面依存しているため,台湾の商業局間の過当競争から抜け出せずにいる。

中国,広東語放送の規制強化へ

広東省政府は12月1日,広東語によるテレビやラジオの放送について,2012年3月からは当局の許可を取るよう義務づける規則を定めた。中国では北京語が標準語として広く使われているが,広東省や隣の広西チワン族自治区などでは,地元の人たちは日常広東語を使っており,広東テレビの基幹チャンネルも広東語放送である。省都広州市の政府諮問機関である政治協商会議では,2010年7月に広東語放送を北京語に切り替える提案をしたが,住民の強い反対で事実上の撤回に追い込まれた経緯があり,今回も実施には紆余曲折が予想される。

インド,「CATV規制法」修正案が議会通過

インド連邦議会上院は12月19日,下院に続き「2011年ケーブルテレビ・ネットワーク規制法修正案」を承認した。法案の議会通過で,2014年末までに全国のケーブルテレビを段階的にデジタル化する法的基盤が整ったことになる。デジタル化実施に伴う諸規則に従わないケーブルテレビ事業者の免許は剝奪される。デジタル化実施のネックになると懸念されているセットトップボックス(STB)の価格について情報放送相は,1,000ルピーから1,200ルピー(1,500円~ 1,800円)の低価格製品供給に努力するとしている。

豪政府,ABCにテレビ国際放送の永久運営権付与

オーストラリア政府は12月5日,テレビ国際放送Australia Networkの永久運営権を公共放送ABCに付与すると発表した。現在ABCが運営するテレビ国際放送は,政府との新たな10年契約(2億2,300万豪ドル/約176億円相当)をめぐる競争入札に,ABCと有料衛星放送Sky News が参加していた。しかし11月にSky が契約を勝ち取る見込みとの情報がメディアで報道されたため,政府は急きょ入札を中止し,ABCに永久運営権を付与した。これについてコンロイ通信相は,テレビ国際放送は重要な外交プラットフォームであり,国を代表する公共放送局による運営が望ましいと述べたが,Skyは強く反発し,政府に賠償を求める意
向である。

イラン,スペイン語国際放送の本放送開始

イラン国営放送IRIBは12月21日,スペイン語の衛星テレビチャンネルHispan TVの本放送を開始した。ヨーロッパ・米大陸のスペイン語圏向けに1日24時間の放送を計画しており,当面は16時間放送される。同チャンネルは,アラビア語チャンネルAl-Alam,英語チャンネルPress TVに次ぐIRIB傘下の第3の国際放送テレビチャンネル。