放送研究と調査(月報) - 目次

各国の「放送界の動き」に関する情報を掲載しています。

放送界の動き

米NBC,非営利メディアと報道協力

NBCは,地方ニュースの取材を充実させるため,全米4つの直営局で地元の非営利メディアと協力していくことで合意したと12月6日に発表した。提携するのは,フィラデルフィアの公共ラジオ局WHYY,ニューヨークのProPublica,シカゴでネットと雑誌を運営するChicago Reporter,ロサンゼルスの公共ラジオ局KPCC。このほか,すでにカリフォルニアのVoice of San Diegoとも実施しており,提携先は合計5つとなる。アメリカでは不況やメディアの寡占で地域報道の衰退が懸念されるなか,放送や新聞,雑誌,ネットなどメディアの違いを超えた提携・協力の試みが続いている。

米CBSの日曜朝の討論番組,1時間サイズに

CBSの日曜朝の時事討論番組『Face the Nation』が,2012年4月から現在の30分枠から1時間に拡大されることになった。司会者のボブ・シーファーが12月11日,番組の中で明らかにした。1954年に始まった同番組はアメリカで最も長寿の報道番組のひとつだが,4大ネットワークの他の3局が1時間サイズで同様の番組を放送しているのに対して,CBSでは番組配信を受けるローカル局の編成上の問題もあり,番組拡大が実現しなかった。視聴率ではNBCの『Meet the Press』とトップを競っており,まず,20週間にわたり1時間の放送を行い,その後も継続するかどうかを決めることにしている。

米FCC,コマーシャルの音量を規制へ

アメリカの放送・通信に関する独立規制機関の連邦通信委員会(FCC)は12月13日,テレビのコマーシャルの音量を番組と同じ音量までに下げる規則を採択した。今回の措置は,2010年に議会で商業広告騒音緩和法(CALM法)が承認されたのを受けたもので,コマーシャルの音量は,コマーシャルが放送される番組の平均音量を超えてはならず,地上放送事業者やCATV 事業者, 衛星放送事業者は,1年後の2012年12月13日からこの規則を順守しなければならなくなる。隣国カナダでも2011年9月に同様の規制の導入が決まっている。

米政府監査院,政府のキューバ向け国際放送を批判

アメリカ政府の監査院(the US Government Accountability Office)は12月13日, 政府の国際放送を管轄している放送管理委員会(BBG)が,キューバ向け国際放送の実態を適切に議会に報告していないとする報告書を発表した。アメリカ政府はキューバ向けにラジオとテレビで国際放送(Radio/TV Martí)を行っているが,監査院は,これを管轄しているBBGが経費やキューバにおける視聴者数などに関する十分な情報を議会に提出していないとしている。キューバ向けの国際放送については,かねてから効果を疑問視する声があり,今回の報告書でもBBGに対し,キューバ向け国際放送とVOAの統合などを検討するよう求めている。

米ABCのアマンプール記者,古巣のCNNへ

1年半前にCNNからABCに移籍し,日曜朝の『This Week』の司会を務めてきたクリスティアン・アマンプール記者がCNNに復帰すると,12月13日付のニューヨークタイムズが伝えた。同記者はCNNで20年以上,中東地域や戦争報道などを担当し,ABCではエジプトのムバラク大統領に退任直前の独占インタビューなどを行った。CNNへの復帰の理由や時期は明らかにされていないが,CNNではアメリカ国外向けの番組キャスターを務める一方で,ABCのニュースにも引き続き,随時出演する。

米ニューヨークタイムズの社長退任

アメリカのニューヨークタイムズ社は12月15日,ジャネット・ロビンソン社長兼CEO(最高経営責任者)が12月末で退任すると発表した。ロビンソン氏は2004年にCEOに就任したが,メディアのデジタル化に伴い,同紙の発行部数は減少が続いていた。2011年3月にはインターネットでの購読に課金システムを導入するなどデジタル化への対応を進めてきたが,2011年第3四半期の同社の広告収入は前年同期比で7.3%減少し,経営状態の悪化が続いていた。後任は未定で,当面はアーサー・ザルツバーガー会長がCEO代行を務める。