放送研究と調査(月報) - 目次

各国の「放送界の動き」に関する情報を掲載しています。

放送界の動き

中国,中東圏の「革命」でネット管理強化

チュニジアやエジプトで長期独裁政権が相次いで倒れる「革命」が起きたのを受け,中国でも2月中旬からネットで民衆の集会を呼びかける動きが出たことから,中国政府はネット情報への管理を一段と強化している。海外に拠点を置く中国語サイトでは,中国各地の民衆に対し,2月20日の午後2 時に北京・上海・天津・広州など13 の都市の中心部の広場に集まり,民生の改善や報道の自由を勝ち取ろうと呼びかける文章が掲載され,広く伝わった。これに対し中国政府は,チュニジアの政権交代を示す「ジャスミン革命」の「ジャスミン」という言葉を検索不能にするなど,ネット上のコンテンツ管理を強化し,当日の集会場所では厳戒態勢で,活動に参加した市民を連行するなど,民主化運動の封じ込めにあたった。

台湾公共テレビ,社長を選出

台湾の公共テレビは2月26日,理事会を開き,空席となっていた社長(中国語では総経理)に中央ラジオ理事長の曠湘霞氏を選出した。公共テレビでは,理事長ポストをめぐる与野党の激しい争いの中で,2010 年12月に理事の任期が切れた後も後任の選出が一部しか出来ない状態が続いている。こうした中,任期切れのまま運営を続けている理事会が社長を決めたことに対し,メディアNGOの媒体改造学社と台湾媒体観察教育基金会は28日,連名で手続き上の問題を取り上げ批判した。また,曠湘霞氏は国民党系の中国テレビで長く仕事をし,その政治的立場は国民党に近いと言われていることから,両団体は「与党が公共テレビの人事に介入しているとの疑いを外部に持たせるもの」とも指摘している。

KCC,KBS受信料の引き上げを承認

韓国放送通信委員会(KCC)は2月18日,全体会議を開き,公共放送KBS の受信料を現行の月2, 500ウォン(約180 円)から月3, 500ウォン(約260円)に引き上げることを承認した。KBS の受信料は過去30 年間据え置かれてきたが,KCC ではKBSの申請を認める一方で,番組制作費の増額や広告の縮小が望ましいとする考えを示した。全体会議では5人の委員のうち,野党側推薦の2人が反対して退場したため,決定は与党側推薦委員のみで行われた。KBS 受信料の引き上げ案は今後,国会の文化体育観光通信委員会の全体会議を経て,本会議で最終的に決定される。

豪新聞大手WAN,商業局大手Sevenの買収で合意

豪新聞大手West Australian Newspaper Holdingsは2月21日,商業局大手Sevenを擁するSeven Media Groupを20 億豪ドル(約1,700 億円)で買収する合意に達した。WAN はラジオ局や雑誌出版も展開しており,買収が成立すれば国内で最大のメディア企業になる。

インド,所管の省がCATVデジタル化実施案

インドの情報放送省は2月3日,放送の規制機関であるTRAI(電気通信規制庁)から受けていたCATVデジタル化についての勧告を,期限を修正した上で受け入れることを表明した。TRAIの勧告では,第1段階の4大メトロ(デリー,ムンバイ,コルカタ,チェンナイ)のデジタル化を今年3月までに,また最終段階の全国CATVデジタル化を2013年12月までに,計4 段階で完了するよう勧告していた。これに対し情報放送省の案では,4大メトロは2012 年3月, 人口100万以上の35 都市は2013年3月,その他の都市域は2014 年11月,残る地域では2015 年3月までにCATVのデジタル化を完了するとされている。情報放送省の案にTRAIは反発しており,今後調整の上で閣議決定される。

インド,衛星放送の加入件数で2つの記録

インドでは6つの有料衛星放送が顧客の獲得にしのぎを削っているが,Zee系列の最大手DishTVは2月24日,加入件数が1,000万を超えたことを明らかにした。アジアの個別の衛星放送事業者の加入件数が1,000万を超えたのは初めて。一方,2008 年10月に5 番目の事業者として衛星放送に参入した民間電気通信最大手Bharti Airtel 系列のAirtel Digital TVは2月9日,インドでは最速の加入件数500万超えを発表した。