放送研究と調査(月報) - 目次

各国の「放送界の動き」に関する情報を掲載しています。

放送界の動き

英Ofcom,FreeviewでのHDコンテンツ制御の意見募集

イギリスの放送通信分野を規制するOfcom(Office of Communications)は1月22日,地上デジタル無料放送のFreeviewで放送するHDコンテンツのコピー制御について意見の募集を開始した。FreeviewでのHD放送は,BBCが子会社のBBC Free to View Ltd.を通じてOfcomから免許を受けたマルチプレックスBを使用して行うことが決定し,1月から送信が開始されている。HD受信機は春までに出荷される見込みで,BBCはHD視聴が本格化する前に,HDコンテンツの違法コピーやインターネットへの転載を禁止するためのコンテンツ制御技術の導入を求め,そのために必要な免許の変更をOfcomに提案している。Ofcomは,FreeviewでのHD利用の促進と視聴者の利益との均衡を図るため,意見の募集を4月2日まで行う。

英BBC,ブレア前首相のイラク戦争証言を全中継

イギリスの公共放送BBCは1月29日,トニー・ブレア前首相によるイラク調査委員会(通称Chilcot Inquiry)での証言をBBC Radio 5 Liveで全中継した。証言はほぼ1時間10分におよび,戦争を決断した理由と決断に対する自己評価などを迫られた。現ブラウン首相は,イギリスが対イラク戦争に参戦した経緯を検証することで今後への教訓を得ることを目的に2009年7月に正式に調査委員会を発足させた。

独公共ラジオ,若い世代向け知識・情報チャンネルを新設

ドイツの全国向け公共ラジオ放送局ドイチュラントラジオは1月18日,第3のチャンネルとして,知識社会を生きる若い世代を主な対象にした知識・情報チャンネル「DRadio Wissen」の放送を開始した。

DRadio Wissenは,「脳が働きたがっている」を標語に,今日の出来事,自然,メディア,世界,文化,私の将来,脳と耳の遊びの7つのテーマについて,順番に 15分単位の番組で最新の情報を提供する。また番組の間には100秒ニュースが挟まれる。夜に放送される公開の番組編集会議には,視聴者もオンラインで参加できる。衛星,ケーブル,DAB,インターネットでデジタルでのみ提供され,ウェブサイトでは過去の番組のダウンロードやポッドキャスト登録も可能。

独,デジタルラジオDAB+方式を商用化へ

ドイツでは,地上デジタルラジオの全国放送用周波数の割り当てを行うことが決まり,1月22日,各州メディア監督機関が,商業放送事業者を対象に,利用申請の募集を開始した。3月12日まで受け付ける。ドイツで電波監理を行う連邦ネットワーク庁は2009年10月,地上アナログテレビ放送の終了で空いた周波数(VHF-high帯,174-230MHz)をラジオのデジタル化に用いるとして,その3分の2を州メディア監督機関に,残り3分の1を公共放送ドイチュラントラジオに配分していた。DAB+方式を採用し,放送開始は,2011年を予定している。

伊,2010年に行うデジタル移行計画を決定

放送通信業務を所管する経済開発省は,1月21日,2010年に行う地上デジタル放送移行計画を発表した。イタリアでは州や地域ごとに段階的に地上アナログ放送を終了し,デジタル放送への移行を進めている。計画によると,2010年は約2,300万人の住民が対象となり,3つの期間に分けて移行が行われる。まず10月中旬にイタリア第2の都市ミラノがある北部のロンバルディア州,ピエモンテ州の東部などですべてのアナログ放送が終了,11月下旬にはエミリア・ロマーニャ州,ヴェネト州などで,12月中旬にはリグーリア州で同放送が終了する。政府の計画どおりに行けば,2010年末に国内人口の70%がデジタル放送へ完全移行する。

ノルウェーNRK,HDチャンネルを本格開始

ノルウェーの公共放送NRKは,2月12日から開催されるバンクーバー冬季オリンピック放送を機会にHDチャンネルの放送を本格化することが1月27日に明らかにされた。NRKのHDチャンネルは,地上・衛星・ケーブル・IPTVのすべてのプラットフォームで提供され,五輪放送に続いてドラマやユーロビジョン・ソング・コンテストなど人気イベントに拡大される。ノルウェーは2009年12月にデジタル移行が完了し,NRKは2008年の北京オリンピックをHD放送していた。