放送研究と調査(月報) - 目次

各国の「放送界の動き」に関する情報を掲載しています。

放送界の動き

ニュース源の96%は「伝統的メディア」

ピュー・リサーチセンターの『良質なジャーナリズムのためのプロジェクト(PEJ)』が1月11日に明らかにした調査結果によると,住民が地域のニュースを知る情報源としては,新聞やテレビなどの「伝統的メディア」が96%を占めていることがわかった。これはボルチモア市の53のニュース源から発信されるニュースを1週間にわたって集めて分析したもので,それによると新聞が61%,テレビが28%,ラジオ7%,ニューメディアが4%となった。しかし配信方法で見ると,テレビ・ラジオのニュースの3分の1,新聞のニュースの半分がウェブ上から取得されたことがわかった。

米国際放送RFE/RL,パキスタン向け放送開始

アメリカのラジオ国際放送「ラジオ・フリー・ヨーロッパ / ラジオ・リバティ(RFE/RL)」は1月15日,パキスタンとパキスタン・アフガニスタン国境地域向けにパシュトゥー語による放送を開始した。放送は当初1日2 時間で,9月までには9時間に延長する予定である。放送はRFE/RLの本部があるチェコのプラハから送信されるが,記者はパキスタンの新支局を拠点に取材活動を行う。

NYタイムズ,2011年からウェブ版一部有料に

NYタイムズ社は1月20日,2011年1月からウェブ版の記事閲覧を一部有料化することを明らかにした。月に一定の無料閲覧回数を決め,それを超えた利用者は定額購読料を支払う必要が生じる。紙版の購読者は追加料金なしですべてのウェブ版記事を見ることができる。無料で閲覧できる回数や課金の金額などは,明らかになっていない。地盤沈下が続く米国内の新聞の多くは,広告収入の不振を補うためウェブ版の有料化を検討しているが,実際に課金しているのはウォールストリートジャーナル紙など,ごく僅か。月に1,700万件以上のアクセスがある人気サイトのNYタイムズが有料化に踏み切ることで,他紙にも同様の動きが広がることが予想される。

オバマ大統領一般教書演説,4,800万人が視聴

オバマ大統領が1月27日に行った一般教書演説放送の全米の視聴者数は4,800万人に上り,ここ10年では3番目に多い数となった。ニールセンが翌28 日に明らかにした。演説は,ABCやFOX,CNN,MSNBCなど11のネットワークが午後9 時から生中継した。最も多くの視聴者を集めたのは保守系メディアでオバマ政権に批判的な論調のFOXの580万で,CNNの310万,MSNBCの230 万などを大きく引き離した。過去10年間で視聴者が一番多かった一般教書演説は,イラク戦争開戦直前の2003年のブッシュ大統領のもので6,200万人,2番目は2002年の同時多発テロ直後に同じくブッシュ大統領が行った演説で5,180万人だった。

米アップル社,タブレット型PCを発表

米アップル社は1月27日,キーボードのない「タブレット型」と呼ばれる小型パソコンを発表した。同PCはiPad(アイパッド)と呼ばれ,画面は雑誌大(9.7インチ),重さ680グラムという軽量で,操作はタッチスクリーン式。価格は499~829ドルで,iPhoneやiPod同様に音楽や動画再生,電子書籍の閲覧,メールの送受信などが可能である。iPadは,電子書籍の普及にもつながるとして出版業界なども注目しており,アマゾン社の電子書籍リーダー「Kindle」の有力な対抗馬になるとみられる。

米CATVリバティ・グローバル,独2位のCATVを買収へ

米ケーブルテレビ所有大手のリバティ・グローバル社は1月28日,ドイツ第2位のケーブルテレビ事業者ユニティメディアの買収が完了したと発表した。買収は去年秋に発表されていたが,欧州委員会が承認したことで今回の発表となった。買収金額は52億ドル。リバティ社は同時に日本のケーブルテレビ最大手ジュピター・テレコム(J:COM)の保有株式(37.8%)をKDDIに現金40億ドルで売却することも発表しており,同社はこの売却資金で引き続き欧州のケーブルテレビ事業者の買収や合併を進めるとみられる。