放送研究と調査(月報) - 目次

各国の「放送界の動き」に関する情報を掲載しています。

放送界の動き

台湾,公共テレビ理事長人事で全面抗争

台湾の公共テレビ理事長の更迭問題で,いったん理事会で更迭が議決された現理事長が1月11日,新規選出理事8人の選出方法に瑕疵(かし) があるとして,台北法院に8人の職権停止仮処分を申請し,認められた。この問題は,国民党が2008年に政権を奪還したあと,公共テレビの理事を8人増員した際に,立法院での承認手続きが不十分だったとして09年12月に監察院から指摘を受けたものである。しかしメディアを管轄する新聞局は,理事長更迭が国民党に加え,公共テレビの職員の多数からも支持を受けていることを背景に,新規理事選出に問題はなかったとして,年末に理事長更迭を決める理事会開催を強行した。そして仮処分が認められたあとの25日には,逆に現理事長に対し「管理責任を怠った」などとして解任を求める申請を裁判所に提出し,全面抗争の様相となった。

韓国,24時間放送の3D専門チャンネルスタート

韓国のデジタル衛星放送スカイライフは1月1日,24 時間放送の3次元(3D)専門チャンネル「SKY 3D」を開始した。3D対応テレビを持つ視聴者は,専用のゴーグルをかけることで,追加の費用なしに3D映像を見ることができる。3D映像は2台のカメラで撮影し,左側のカメラで撮った映像は左目,右側のカメラで撮った映像は右目にだけ見えるようにすることで,両眼の視差によって映像が立体的に見える。アニメーション,英語などといった教育番組や,サッカー,野球,格闘技などのスポーツ,それに映画,ドキュメンタリー,コンサートなどを立体映像で楽しむことができる。現在,SKY 3Dチャンネルでは,外国で制作された3D番組やスカイライフの子会社が制作した1日当たり2時間分の番組を繰り返し放送している。

インド,衛星新チャンネルの申請受理停止

インドの情報放送省は1月18日,衛星テレビチャンネルに割ける周波数とトランスポンダー容量には限界があるとして,新たな衛星TVチャンネルの認可申請を当面受理しない方針を明らかにした。ここ数年の衛星テレビチャンネル急増に歯止めをかけたい情報放送省は,09年10月,放送セクターのもう1つの規制機関TRAI(電気通信規制庁)にチャンネル数規制の必要性に関し見解を示すよう求めていた。情報放送省は今後TRAIの見解が出た段階で改めて対応を検討するとしているが,Zee Networkなど一部の事業者は申請受理の停止に激しい反発を示している。1月末現在,インド国内で放送が認可されている国内外の衛星テレビチャンネルは512に達し,認可待ちのチャンネルも166ある。

イラン,IRIBがテレビ国際放送を強化

イランの国営放送局IRIBは,2009年12月31日,テレビ国際放送強化を目的に新チャンネルSahar Universal Network 2(Sahar 2 TV)を開局した。IRIBはこれまでSahar TVの名称で6言語によるテレビ国際放送を行ってきたが,新設されたSahar 2TVは,そのうちの英語,クルド語,ウルドゥー語(パキスタンの公用語)を受け持ち1日19時間放送することになっている。一方Sahar TVは,10年1月1日,Sahar 1 TVと名称を変更し,残るフランス語,アゼルバイジャン語,ボスニア語で放送を行うことになった。

中東,アラブサットがAl-Alamの伝送を再停止

イランのアラビア語衛星チャンネルAl-Alamは1月27日,サウジアラビアを拠点とするアラブサット衛星が再び同チャンネルの伝送を停止したと伝えた。アラブサットは別のアラブ系衛星ナイルサットとともに,11月にもAl-Alamの伝送をいったん停止したが12月に伝送を再開していた。

ベトナム,最大級の衛星TVがサービス開始

国営ベトナムテレビ(VTV)とフランスの有料テレビCanal+が合弁で09年6月に設立したベトナム衛星デジタルテレビ(VSTV)が,1月12日,直接受信の衛星テレビK+のサービスを正式に開始した。K+は娯楽・映画・スポーツなど50以上のチャンネルを持つベトナムでは最大規模の衛星テレビ放送で,ほとんどの番組にベトナム語の吹き替えか字幕がつく。使用衛星はVINASAT-1。