放送研究と調査(月報) - 目次

各国の「放送界の動き」に関する情報を掲載しています。

放送界の動き

報道の自由,アジアは下位国目立つ

アメリカの民間組織「フリーダムハウス」は4月30日,世界195の国と地域に関して報道の自由度ランキングを発表した。このうちアジア・大洋州では,パラオの12位を始め大洋州の各国がおおむね上位に名を連ねた一方,アジアでは北朝鮮が最下位,ミャンマー(フリーダムハウスは「ビルマ」と表記)が194 位,イランが185位,中国が181位など,下位の国が目立った。アジアで最も自由度が高かったのは台湾の32位で,日本は35位,香港と韓国は67位,インドは77位だった。

報道機関国際会議,中国に報道の自由要求

報道機関や民間団体が主催した「北京オリンピック2008 報道の自由を」が4月18日,パリで開かれた。この中でAP通信の編集者は,チベット問題に関する西側メディアの報道への反感から,北京駐在のジャーナリストにeメールや電話による脅迫が行われていると述べた。またアメリカに本部があるジャーナリスト保護委員会(CPJ)の代表は,中国とIOCが自由な報道を認めた約束を守っていないと批判,中国政府が07年1月に導入した海外メディアへの規制緩和措置をオリンピック後も続け,中国国内のメディアも対象にするよう要求した。

中国のネット人口,世界一に

中国のインターネット人口は今年2月末現在で2億2,100万人に達し,アメリカを抜いて世界一になった。これは4月24日に新華社が,工業・情報化省の統計数字として伝えたもので,去年末の段階では2億1,000万人とアメリカより500万人少ない2位にとどまっていた。インターネットで利用する機能としては,中国インターネット情報センター(CNNIC)が1月に発表した統計で,ネット音楽が86.6%と最も多くなり,以下インスタント・メッセージ 81.4%,ネット映像76.9%,ニュース73.6%,検索73.6%,ゲーム59.3%,メール56.5%などとなっていて,最近は娯楽機能の拡大が目立っている。

アフガニスタン,民放TVが政府と対立

アフガニスタン政府は,3月末,インドの連続テレビドラマを放送している民放テレビ4局に対し,内容が反イスラム的でアフガン社会の伝統にそぐわないとし,4月14日までに番組の放送を打ち切るよう命じた。これに対しNurin TVを除く3局が通告を無視,その後,Ariana TVは命令を受け入れたが,23日現在,Afghan TVと大手Tolo TVの2局は受け入れ拒否を続け,特にTolo TVは政府の規制に対し強い抵抗の姿勢を示している。歌あり踊りありのインドの連続テレビドラマはアフガニスタンの視聴者の間でも人気が高いが,保守層の間では反発も強く,政府の対応についてアフガニスタンの各新聞の論調は,支持と批判に分かれている。

ベトナム,初の通信衛星打ち上げに成功

4月19日,ベトナム初の通信衛星ビナサット1号(Vinasat-1)が南米仏領ギアナの人工衛星打ち上げ基地から成功裏に打ち上げられた。衛星はロッキード・マーチン社(米国)製で総重量は2.6トン,Kuバンド用12基とCバンド用8基のトランスポンダーを搭載している。ビナサット1号は国営の郵便・電気通信グループVNPTが運用し1万回線の通信・インターネット・データ伝達チャンネル,又は120のテレビチャンネル提供が可能とされ,山岳地帯など難視聴地域の解消にも役立つと期待されている。ビナサット1号の打ち上げ成功で,ベトナムはタイ・インドネシア・マレーシア・シンガポール・フィリピンに次ぐ東南アジアで6番目の衛星打ち上げ成功国となった。

カンボジアで初の衛星放送スタート

4月3日,カンボジア初の衛星放送Techo-DTVがプノンペンで放送を開始した。Techo-DTVはカンボジア国営テレビTVKとタイの衛星運用会社シン・サテライトの子会社,カンボジアDTVネットワークが共同で開始した直接受信方式(DTH)の衛星放送で,カバー範囲はカンボジア全土となっている。これまでカンボジアでは外国の衛星放送を直接受信することは可能であったが,国内向けの衛星放送はなかった。