放送研究と調査(月報) - 目次

各国の「放送界の動き」に関する情報を掲載しています。

放送界の動き

パソコンや携帯での番組視聴が増加傾向

アメリカの大手経営コンサルタント,アクセンチュア社は4月14日,米・英・仏・独など世界8か国で実施したテレビ視聴動向に関する調査結果を発表した。それによるとPCを通じた番組視聴を週1回以上行っている人の割合は,イタリアが最も高く(41%),フランス,スペインでも35%などとどの国においてもほぼ3割以上となっている。またテレビ番組を生で視聴するかオンデマンドで視聴するかはジャンルによって決定される傾向が強く,例えばアメリカではニュースやスポーツは46%が生で視聴,ドラマやコメディは23%がオンデマンドで視聴すると回答している。

1か月に1億3,500万人がネットで動画視聴

メディア調査会社コムスコア社が4月16日に発表した調査結果によると,アメリカでは今年2月の1か月でのべ1億3,500万人が動画視聴を経験しており,番組数は前年同月比66%増の100億本以上となった。サイト別のシェアでは1位がYouTubeを持つGoogleで35.4%,2位は Myspaceを抱えるFoxインタラクティブメディア(5.8%),3位がYahoo!(2.9%)となっている。一方,CNN.comを含めたタイムワーナーのサイトは1.3%,ABC.comは1%と,放送局系のサイトは極めて低いシェアにとどまっている。

キャスター降板,CBS会長が否定

CBS のレスリー・ムーンベス会長は4月18日,降板の噂が出ているCBSイブニング・ニュースのキャスター,ケイティー・クーリック氏について「将来もCBS のキャスターだ」と述べた。これは,ウォールストリート・ジャーナル紙などが,視聴率の低迷を理由に,2011年までの契約期間を待たずにクーリック氏が降板するのではないかと報じたことについて,自らCBSのニュースルームを訪れて述べたもの。クーリック氏は,2006年に年俸1,500万ドルでCBS に招かれ,夕方の看板ニュース番組で女性初の単独キャスターをつとめているが,ライバルのABCやNBCに視聴率で大きく差をつけられている。

メキシコ国境でのアナログ継続を了承

アメリカ上院の商務委員会は4月24日,来年2月のデジタル完全移行後も,メキシコ国境付近の放送局ではアナログ放送を継続することを了承した。これは,国境沿いに住むヒスパニック系住民の多くが,アメリカ国内の電波に加え,メキシコからのアナログ放送を受信しており,デジタルへの対応が遅れていることに配慮したもの。法案では,国境から50マイル以内にあり,許可を受けた放送局では,デジタル放送に影響を与えないことなどを条件に,2014年までアナログ放送を続けることができるとしている。

タイム・ワーナー,ケーブル部門を分割

アメリカのメディア企業大手タイム・ワーナー社は4月30日,株式の84%を保有しているケーブル部門のタイム・ワーナー・ケーブルを完全に分割する方針を明らかにした。これは,第1四半期決算の会見でジェフ・ビューケスCEOが明らかにしたもので,同CEOは「タイム・ワーナーとケーブルの双方の株主にとって最大の利益になる」と述べた。タイム・ワーナー・ケーブルは,コムキャストに次いで全米2位のケーブル会社。株式の分割などについての詳細は明らかにされていない。

ベライゾン,FIOSTVを値上げへ

米通信大手のベライゾンが光ファイバー網を利用して行っているテレビサービス「FIOSTV」の値上げを予定している。FIOSTVは2005年9月にテキサス州で開始し,契約世帯は全米13州で120万(今年3月現在)。現在も新規加入は1日平均4,000件を超え,今後もサービスエリアは順次拡大する予定で2010年までに400万の契約世帯を見込んでいる。現時点で値上げ額などの詳細は明らかにされていないが,現行の料金は4大ネットワークを含む 200以上のチャンネルを視聴できるプランで月額47ドル99セントである。