放送研究と調査(月報) - 目次

各国の「放送界の動き」に関する情報を掲載しています。

放送界の動き

英BBC,iPlayerの利用好調

イギリスのBBCは2月20日,自宅のパソコンでBBCの放送番組をオンデマンドで視聴できるiPlayerサービスが2007年12月に本格運用開始後の2か月近くの間に,のべ1,700万のテレビ番組が利用されたことを明らかにした。BBCの発表によると,1月には220万人以上が約1,100万本のテレビ番組をストリーミングやダウンロードで視聴し,ラジオは1,590万の番組がダウンロードされた。

英BBC,アラビア語専門テレビチャンネル開始

イギリスBBCのアラビア語によるテレビニュースチャンネルのBBC Arabic Televisionが3月11日に放送を開始した。ラジオのBBC World Serviceのテレビ版で,Arabsat,Eutelsat,Nilesatを利用して中東・北アフリカ地域を中心に衛星配信される。放送時間は当面 1日12時間だが,夏には24時間サービスへと移行する予定。

仏サッカー放送権の入札で有料サービスが独占

仏サッカーリーグの放送権入札が2月6日に行われ,2008年から4年間の放送権はCanal PlusとOrange(携帯電話とADSL,France 傘下)が獲得した。今期に日曜日のダイジェスト版の放送権を持つ公共放送F2がCanal Plusに敗退し,初めて有料サービス事業者が放送権を独占する事態となった。公共放送がダイジェストを放送できるよう法律改正を求める声が上がり,CSAも規制見直しの検討開始を決定。一方Canal Plusはすべてのゴール場面を含むダイジェストを無料で放送すると表明するなど,余波が続いている。

独商業放送ProSiebenSat.1,HD放送を2010年まで停止

ドイツの商業放送グループProSiebenSat.1 Me-diaは,HDTVチャンネル「ProSieben HD」と「Sat.1 HD」の放送を2月16日に停止すると決定した。同社は2005年10月からHDTVチャンネルの本放送を開始し,これまで衛星,ケーブル,IPTVで配信を行ってきたが,視聴者が思うように伸びず一時的に撤退する。同社によれば現在ドイツでHDTV対応の受信機を持っている世帯は約15万。同グループは今後,ワイドスクリーン放送に力を入れ,追加トランスポンダーが使える2010年にHD放送を再開する意向。

伊政府,事業者向けにデジタル移行助成金

放送事業者にデジタル化のための助成金を与える関連省令が2月22日発効した。総額は5,480万ユーロ(約86億円)で,そのうちRAIに3,500万ユーロ,デジタル・パイロット指定州に1,030万ユーロ(市民向けのSTB購入助成金を含む),地上デジタル放送の推進業務を担当するウーゴ・ボルドーニ財団に650万ユーロ,市民への周知やコールセンター業務などを請け負うイタリア郵政会社に300万ユーロ。政府はデジタル助成金として,2007年からの3年間に毎年4,000万ユーロを計上し,2008年については増額された。なお,デジタル・パイロット州に指定されているサルデーニャ州のデジタル放送への移行は,2008年3月1日から9月1日~10月30日の間へ延期された。

スイス,アナログテレビ放送を終了

スイスのアナログテレビ放送が,2月25日に終了した。国土南部のヴァリス州と,隣接するヴォー州シャブレ地方でアナログ放送を終了し,地上放送のデジタル化が完了した。スイスでは,公共放送のスイス放送協会だけが地上テレビ放送を実施しており,デジタル放送への移行は2003年6月から地域ごとに順次行われてきた。同国のテレビ受信世帯のうち,地上放送のみの受信世帯は1割程度で,ケーブルテレビ加入世帯が8割以上である。

欧州委,オーストリア公共放送の財源制度に改善要求

EUの欧州委員会は1月31日,オーストリア放送協会(ORF)の任務範囲と財源のあり方が,市場の公正な競争に悪影響を与える可能性があり,EC条約に違反するとの暫定的見解を示した。同委は,特にORFが実施しているオンラインサービスとスポーツ専門チャンネルに関して,法律上の公共サービスとしての任務範囲が不明確で,適切な監督も行われていない等をあげ,政府に是正案を求めた。現在,ベルギー,オランダ,アイルランドの公共放送に関して同様のケースが進行中である。