放送研究と調査(月報) - 目次

各国の「放送界の動き」に関する情報を掲載しています。

放送界の動き

米スーパーボウル中継,過去最高の視聴者数

FOXが放送した第42回NFL スーパーボウル中継(2月3日)の視聴者は過去最高の9,750万人に上り,視聴率(録画再生視聴含む)は36.2%だった。これはスポーツ中継として史上最高で,これまで1位だった1996年のスーパーボウルの視聴者数9,408万人を大きく上回った。ニューヨーク・ジャイアンツがニューイングランド・ペイトリオッツに逆転勝ちした劇的な試合展開も多くの視聴者を引き付けた要因とみられる。米テレビ史上最高の視聴者記録は1983年放送のコメディ『M.A.S.H』の最終回で1億597万人である。

米公共放送への政府交付金,半減の提案

米ブッシュ政権は2月4日に2009年度予算案を議会に提出したが,同案では公共放送への連邦政府交付金が08年度の半分に削減されることになっている。予算案によると09年度の交付金を08年度の4億ドル(約420億円)から2億ドルへ減額,2010年度もすでに議会から割り当てられている4億 2,000万ドルを2億2,000万ドルへ削減するとしている。連邦政府から交付金を受け取り,各公共放送局へ配付しているCPB(公共放送機構)をはじめ関連の諸団体は一斉に反発している。ブッシュ政権は過去8年間,公共放送への交付金の減額を提案し続けてきており,その度に大きな議論となっている。

米大統領選の報道,視聴率が前回比大幅増

アメリカ大統領選挙の予備選挙や党員集会が集中的に開催された2月5日(スーパーチューズデー)の模様を伝えたケーブルニュースチャンネルの視聴者数が,4年前の大統領選挙当時と比べて大幅に増加した。トップだったCNNは午後7時から翌朝2時の時間帯の平均視聴者数が364万人で前回比295% 増,FOXニュースチャンネルが同254万人(前回比161% 増),MSNBCが同175万人(前回比458% 増)だった。

DVRでテレビ視聴時間拡大(ニールセン社調査)

米ニールセン社は2月14日,DVR(デジタル録画機)の普及によって,人々のテレビ視聴時間が僅かながら増加傾向にあるとの調査データを発表した。これによると,DVR保有世帯の18~49歳の視聴者の11%が夜9~10時の間にDVRを再生しており,夜11~12時でも7%が再生していることが分かった。DVRによる世帯視聴率は2005年11月と07年11月を比較すると夜9時台で3%,夜11時台で5%,それぞれ増加していた。タイムシフト視聴の割合は特にドラマやリアリティショーなどで高い。アメリカでは現在20%前後の世帯にDVRが普及していると見られている。

アカデミー賞中継,30年余で最低の視聴率

ニールセンビデオリサーチ社は2月25日,前日ABC が中継した第80回アカデミー賞授賞式を見た人は3,200万人(視聴率18.7%)で,同社が1974 年に統計を取り始めて最も低い数字になったと発表した。中継を生放送で見た人が3,000万人,200万人はデジタル録画機(DVR)で見たと伝えている。視聴者数は,前年の4,000万人(同23.6%)に比べると20%の減少。今年のアカデミー賞は,脚本化組合のストライキの影響で中止が懸念されていたが,映画会社やテレビ局から出された新しい労使契約案で合意が成立し,3か月以上に及ぶストは2月中旬に中止された。

NYフィル北朝鮮公演,ウェブ上で生中継

米PBS 系列のWNET(ニューヨーク)は,北朝鮮のピョンヤンで初めて行われたニューヨーク・フィルハーモニックの公演の模様を,2月26日午前4時(米国東部時間),自局のウェブサイト上で生中継した。公共放送局が北朝鮮から生中継をするのは初めてのこと。演奏の様子は編集されて同日午後8時からの『グレート・パフォーマンス』の中でも紹介され,PBSを通じて28日には全米に向けてオンエアされた。番組では,ABCテレビの記者が北朝鮮国内で取材したリポートもあわせて放送された。なお,この公演の模様は,北朝鮮国内でも国営のラジオ・テレビを通じて生中継された。