放送研究と調査(月報) - 目次

各国の「放送界の動き」に関する情報を掲載しています。

放送界の動き

英BBC,ワイアット・リポート公表

イギリスBBCは10月5日,通称「ワイアット・リポート」を公表した。この報告書は,今秋放送を予定していたドキュメンタリー番組「女王陛下とこの1 年」の番組宣伝用映像で,視聴者に誤解を与える表現があったことをめぐり,事実検証と今後の防止策に資する勧告を行うことを目的とした。検証にあたったのは,1990年代にBBCのテレビ放送総局長を務めたウィル・ワイアット氏で,BBCに対し外部委託制作上の責任体制の明確化などを勧告した。なお,この番組を放送する予定だったBBC ONEのチャンネル・コントローラーは,リポート公表当日引責辞任した。

英オンライン広告,2007年上半期で前年度41.3%増加

イギリスのオンライン広告協会(Internet Advertising Bureau)は10月2日,2007年上半期のオンライン広告費が13億3,430万ポンド(約3,200億円)となり,前年度比41.3%増加し,広告市場で15%のシェアを占めると発表した。また,日刊紙The Timesの10月30日付の記事によると,第2四半期で,インターネット検索サイトのグーグルの見出し広告収入が商業テレビチャンネルの最大手ITV1 を初めて上回った。オンライン広告が今後も同じ勢いで成長し続けることは理論的にありえないとされるが,商業テレビの経営に大きな脅威となっている。

仏地上デジタル放送,2008年末に89%をカバーへ

フランスの規制機関CSAは地上デジタル放送に関して,7月に今後1年ごとの放送地域拡大の目標を決定していたが,10月23日,2008年については新たに208地点で放送を開始すると発表した。7月に決定済みの3月末(65地点)に加えて,6月末(79地点),10月末(67地点),12月15日(62地点)と3段階でカバー地域を拡大する。この結果2008年には250以上の地点で放送が開始され,年末にはすべての県で人口の75%以上をカバーし,全国では人口の89%をカバーするという目標が達成される。

欧州委,独西部の地上デジタル放送補助金を違法と判断

欧州委員会は10月24日,ドイツ西部ノルトライン・ヴェストファーレン州の,商業放送への地上デジタル放送の送信費補助計画について,EC条約に違反するとの判断を示した。同州は2004年5月に地上デジタル放送を開始した際,商業放送の参加を確保するため,5年間で680万ユーロ(約10億8,800 万円)の補助を与える計画を立てていた。この補助について欧州委は,デジタル移行に必要なコストに限定されておらず,結果として地上・衛星・ケーブルの伝送路間の競争を不当に歪めるものである,とした。この判断は,欧州委がベルリン・ブランデンブルク州の補助計画について下した2006年7月の判断に準じるものである。

伊,チューナー内蔵型デジタルTVの売れ行き順調

経済紙Il Sole 24 Ore紙は,2006年は約20万台にとどまった国内でのチューナー内蔵型デジタルテレビの販売台数が,今年は少なくとも約120万台に達する見通しだと報じた。同紙によると,2006年7月の1か月でセットトップボックス(STB)が約5万台,チューナー内蔵型デジタルテレビ(IDTV)が1万台売れたのに対し,今年7月は1か月でSTBが5万台,IDTVが8万5,000台売れ,販売傾向が逆転したと推測した。イタリアでは2007年中のIDTVの購入に対し,1世帯あたり最大200ユーロ(約33,000円)が助成されている。

伊,2009年6月でアナログテレビの販売を終了

イタリア政府は2012年末の地上デジタル放送への移行を円滑に進めるため,段階的にアナログテレビの販売を終了することを決め,2008年予算法の関連法令の中に盛り込んだ。具体的な終了スケジュールは,(1)2008年6月から販売される全てのアナログテレビに「地上デジタル放送非対応」の表示を義務づけ,(2)2008年12月をもってメーカーはアナログテレビの製造を終了,(3)2009年7月からは,アナログテレビの販売を禁止する。

スウェーデン,アナログテレビ放送を終了

スウェーデンのアナログテレビ放送が10月15日に終了した。スウェーデンでは,2005年11月に中部・南部地域でアナログテレビ放送を終了し,2008年2月1日までに全国で終了する予定だった。