放送研究と調査(月報) - 目次

各国の「放送界の動き」に関する情報を掲載しています。

放送界の動き

VOA,北朝鮮向け放送を強化

米ラジオ国際放送VOA(Voice Of America)は10月1日,新たに3つの朝鮮語番組を開始し,ソウル支局をニュースセンターに組織替えして,北朝鮮向けの放送を強化した。新番組は『アメリカ・トゥデイ』(米国社会の動き),『VOAニュース・パレード』(国際問題についての専門家の討論,ワシントンの反応),『ニュース・パノラマ』(朝鮮半島と世界のニュース,中継)で,1日3時間半だった放送時間が 5時間に拡大された。D・オースティン局長は「閉鎖的な北朝鮮に米国や世界の正確な情報を伝えるため,我々はいかなる努力も惜しまない」と話している。

米HDTV視聴者,“画質には満足,番組には不満”

視聴率調査大手のニールセンは10月3日,「2007年HD調査」の結果を発表,HDTV視聴者の多くが画質には満足しているものの,番組内容への満足度が低いことが分かった。調査結果によると85%が HD番組の「画像に満足している」と回答している一方,「番組内容に満足している」という回答は39%にとどまった。HD番組のカテゴリー別人気度では,スポーツ番組が最も高く42.8%,以下映画,ドラマ,ドキュメンタリー等の順となっている。同社によると現在HDTV視聴者は全米のテレビ視聴世帯の 13.7%である。

ベライゾン,IPTV・ネット接続サービスを強化

米通信大手ベライゾンは10月23日,同社のIPTV およびネット接続サービス「Fios」をより高度化した新サービスを開始すると発表した。「20/20Fios」と銘打った新サービスは,下り回線・上り回線双方をほぼ同じ20Mbpsにするもので,利用者による動画や音声のアップロードが従来よりもはるかにスムーズになるほか,HD放送も拡充される。最近の調査などではケーブルテレビよりもIPTVのほうがサービスへの満足度が高いという傾向も指摘されており,今後,有料多チャンネル市場における IPTVサービスのシェア・存在感がますます大きくなることが予想される。

米政府,著作権保護の国際協力体制構築へ

アメリカのスーザン・シュワブ通商代表は10月23日,知的財産権の侵害や盗用防止のために貿易相手国との間で「反偽造貿易協定(ACTA)」を結んで,国際的な協力体制を構築していくと発表した。体制構築のため,アメリカは現在,カナダ, EU27か国,日本,韓国,メキシコ,ニュージーランド,スイスの各国と協議を進めており,今後さらに相手国の数を増やしていくとしている。海賊版や違法コピーなどに悩まされている米テレビ業界,映画業界もこうした動きを積極的に評価し,支持する声明などを相次いで出している。

グーグル,ニールセンと広告分析で提携

米ネット検索大手のグーグルは10月24日,視聴率調査大手のニールセンと協力して,広告視聴データを詳細に分析し効果的な広告方法を検討すると発表した。デジタル録画機(DVR)の普及で広告が早送りされることが多くなっているが,グーグルはニールセンから提供されるデータをもとに,どのような年齢層の人がどのような広告を視聴しているか(又は早送りしているか)を1秒単位で把握し,より効果的な広告戦略につなげたいとしている。放送の翌日にはデータが入手できるため,広告主に迅速にフィードバックして広告の作り方に反映できるという。

FCC,集合住宅でのケーブル独占状況を改善へ

FCC(米連邦通信委員会)は10月31日,これまでアパートなど集合住宅でケーブルテレビ会社が契約を独占していた状況を改め,通信会社などの新規参入を認める決定をした。この決定でこれまでコムキャストやタイムワーナーケーブルなどが独占していた集合住宅の映像サービス市場に,通信大手のベライゾンや AT&Tなどが参加できるようになる。FCCのマーチン委員長は,これにより集合住宅に住む約2,500万世帯の契約者,特にマイノリティーには,業者間の競争で料金値下げのメリットが生じるだろうと話している。