放送研究と調査(月報) - 目次

各国の「放送界の動き」に関する情報を掲載しています。

放送界の動き

英BBC,リソース社の売却作業を開始

イギリスの公共放送BBCは8月15日,商業活動を行う子会社「BBCリソース」の売却作業を正式に開始すると発表した。BBCリソースは,野外中継,スタジオ制作,ポストプロダクションを柱とする番組制作関連会社で,この業種のなかでは国内大手企業の1つである。BBCは2004年12月に新構造改革を発表し,BBCリソースを含めた子会社の整理を行う方針を示していた。BBCリソースの売却は執行役員会およびBBCトラストの承認を経て,2008年3 月までに完了する予定である。

英BBCトラスト,ゲール語サービスのPVT開始

イギリスの公共放送BBCを監督するBBCトラストは8月16日,BBC執行部とゲール語メディアサービス(GMS)とが計画するゲール語デジタルサービスの公共的価値の審査(PVT)を開始し,2007年12月に結果を出す。GMSは,スコットランド地域のゲール語の保存や文化振興を任務とする法定機関で,両者は,ゲール語専門テレビチャンネルをスコットランド地域の地上デジタル放送および衛星デジタル放送やケーブルテレビ,ブロードバンドで無料提供することを計画している。

仏大統領,文化相に政策の基本方針を指示

サルコジ仏大統領は文化・コミュニケーション相のアルバネル女史に対する8月1日の書簡で文化政策やメディアに関する優先事項を示し,早急に成果をあげることを求めた。France Televisionsに関しては,文化番組や,商業放送と差別化した番組,人気があり質の高い番組を通じて公共放送としてのアイデンティティーを明確にする必要性を指摘した。このため,政令の改正による傘下各局の特性の明確化を指示するとともに,各局間の協力関係を推進するための組織体制のあり方を提案するよう求めた。また海外向け放送機関の再編や,法制度改正により世界規模のメディア企業を育成する方策についても検討するよう求めた。

仏地上デジタル放送,HDTV免許に4社が応募

フランスの規制機関CSAは6月から地上デジタル放送におけるHDTV放送の免許公募を行っていたが,8月20日に応募を締め切り,4社が応募したと発表した。2チャンネル分の公募に対し,TF1,M6,Canal Plus,ABグループが応募したが,Canal Plusの計画は有料サービスである。一方,政府は公共放送用として1チャンネルを確保しているが,F2とARTEが立候補したため,もう1チャンネル分の周波数の確保を検討している。HDTV放送の本放送開始は2008年半ばとみられている。

伊Sky,今季もスポーツ放送に照準

衛星有料放送Sky Italiaは,サッカー1部リーグ・セリエAの新シーズン開幕直前の8月23日,記者発表を行った。セリエAやUEFAチャンピオンズリーグの生中継など,スポーツ関連の総放送時間は計6,000時間で,1日平均で16時間超。契約数は現在約420万だが,2008年6月末までに450万件突破を目標としている。2006年度決算によると,同社の全番組購入費14億ユーロのうち,スポーツ放送権購入は半分にあたる約7億ユーロで,スポーツを中心としたコンテンツ戦略が明らかにされた。

スイス,デジタルラジオで2つの公共チャンネルを新設

スイスの公共放送機関の連合体SRG SSRは,DAB方式のデジタルラジオチャンネルを2つ新設し,2007年11月に放送を開始する。1つは,ニュース専門チャンネル「DRS 4 News」で,ドイツ語地域の放送協会SR DRSが運営する。もう1つは,英語専門チャンネル「World Radio Switzerland」で,ジュネーブでFM放送してきた「World Radiob Geneva」を改称,デジタル放送によって,送信地域を拡大(FM放送も継続)する。スイスでは,2009年までにDABの全国ネットワークを完成させる計画で,2007年9月現在,人口の約90%がカバーされている。DABチャンネルは合計13あるが,いずれもSRG SSRによるアナログ放送の同時送信で,「DRS 4 News」は,デジタル放送を前提に設ける初めてのチャンネルである。放送を所管する連邦通信庁は,DABの送信免許を2007年7月,8つの商業放送事業者に交付した。これら事業者は,既存チャンネルの同時送信でなく,チャンネルを新設して,2008年に放送を開始する見込みである。