放送研究と調査(月報) - 目次

各国の「放送界の動き」に関する情報を掲載しています。

放送界の動き

中国,“ねつ造”報道の臨時職員に懲役1年

北京市の第二中級人民法院は8月12日,「段ボール入り肉まん」のニュースをねつ造したとして,北京テレビの臨時職員に対し,損害商品声誉罪で懲役1年の判決を下した。この事件は,7月8日に北京テレビが『透明度』という番組の中で肉まんの具に段ボールを混ぜて加工する様子を“隠し撮り”した映像を,偽物食品を摘発する特ダネとして放送,その10日後に同局が“ねつ造”だったとして陳謝,臨時職員が逮捕されたものである。事件後,当局は全国の各メディアに “虚偽報道”の根絶を徹底するよう求め,メディア管理強化の色彩が強まってきている。

台湾ケーブル局大手の総裁を起訴

台湾の台北地検は8月13日,ケーブルテレビ大手の東森集団の王令麟総裁を証券交易法違反など8つの罪で起訴した。この事件は王総裁の父親である王又曾氏の創業した力覇集団が1月に破綻したあと,検察当局の捜査で架空株式取引やインサイダー取引などの疑惑が浮上,力覇の捜査を通じて東森にも同様の疑惑が持ち上がったものである。検察当局は東森の事案に関して合わせて42人を起訴,このうち王令麟総裁の不法所得は412億元(約1,440億円)にのぼるとして,懲役28年を求刑した。東森集団は台湾のケーブルテレビ市場で100万戸以上の顧客を有する大手で,かつ自ら10以上のテレビチャンネルを運営する台湾最大の放送メディアグループだが,今後の経営は厳しさを増すとの見方が強い。

韓国,KBS社会教育放送が「韓民族放送」に改称

KBSは8月15日,北朝鮮などに向けてラジオ放送を実施してきた社会教育放送の名称を「韓民族放送」へと改めた。この放送は,もともと反共宣伝を目的としたものであったが,金大中政権以降は宣伝色も薄まり,現在は,ニュース解説のほか,懐メロなどの音楽番組,離散家族向けの番組などを放送している。使用言語は韓国語で,北朝鮮をはじめ,中国,ロシア,日本などの同胞が聴取対象である。今回,35年ぶりに名称を変更した理由についてKBSは「チャンネルの主体性をより確実に表すために行った。新しい名前,新しい位置づけで,北朝鮮や,その他(中国,ロシア,日本など)の国々の在外同胞計750万人を結びつける役割を担うチャンネルに成長する」としている。

インド政府,テレビ受信料徴収の構想を否定

インドでは公共放送の独立性を強めるため受信料制度を導入すべしとの意見と,テレビの今後の普及に水をさすなどの理由でそれに反対する意見が対立しているが,放送を所管する情報放送省のダスムンシ大臣は,8月14日,議会下院で行った答弁の中でテレビ受信料徴収の構想を否定した。 Doordarshan(テレビ)とAll India Radio(ラジオ)を運営する公共放送機関「インド放送協会」は広告収入を主な財源としているが,広告による収入は必要経費の半分ほどで残りを政府資金に依存している。インド放送協会の扱いをめぐっては,関係閣僚らによる委員会(Group of ministers)が様々な検討を続けている。

ネパール,マオイストの地下放送局が合法化

ネパール共産党(マオイスト)が反政府武装闘争を展開していた時期の非合法FMラジオ局に情報通信省が正式な放送免許を付与したことが,8月1日,明らかになった。民主化運動で国王親政の体制が崩壊した後の4月1日に発足した暫定内閣にマオイストのクリシュナ・バハドゥル・マハラ氏が情報通信相として入閣したことで,同派の地下放送局の扱いが注目されていた。同派のFM局は6局(マハラ氏入閣時は5局)あるが,投資家を募り商業放送局に衣替えする計画という。

パキスタン,PTVがチャンネルの呼称を変更

パキスタンの公共テレビ放送PTV は,8月1日,地上波で放送している2つのチャンネルの呼称を変更した。娯楽番組中心の基幹チャンネルPTV1はPTV Homeに,ニュース・時事番組中心のチャンネルPTV World (News)はPTV News となった。両チャンネルは衛星波でも放送されている。