放送研究と調査(月報) - 目次

各国の「放送界の動き」に関する情報を掲載しています。

放送界の動き

中国政府,一部アナログchの放送継続を事業者に要求

中国の国家ラジオ映画テレビ総局(SARFT)は2月4日,すべてのケーブルテレビ事業者に対し,デジタル放送への移行にあたっては,少なくとも6チャンネルでアナログ放送を継続するよう求めた。
中国は2003年からケーブルでまずデジタル化を始めており,2006年末現在,青島(チンタオ)・杭州・深・南寧などの都市を中心に1,200万戸がデジタル化を完了している。しかし一部の利用者からは,デジタル放送の視聴料がアナログ放送の時より上がったことや,セットトップボックスの価格が高いことへの不満が噴出している。このためSARFTでは,デジタル化に移行しなくても中国中央テレビ(CCTV)や地元局の総合チャンネルなど最小限のチャンネルは見られるようにすることで,低所得者への配慮を示したものと見られている。中国では都市部を中心に1億 3,000万戸がケーブルテレビに加入しており,当局は北京オリンピックまでにそのデジタル化を基本的に完了したい考えである。

香港,中国返還後は報道の自由が「後退」

香港記者協会は2月10日,ジャーナリストを対象に行った調査で,回答者の58.4%が香港の中国返還後に報道の自由が後退したと答えたことを明らかにした。この調査は嶺南大学に委託して1月に行ったもので,500人あまりのジャーナリストから回答を得た。その結果によると,回答者の30%が過去1年間に報道についての自己規制を行ったことがあると答え,40%が同僚や上司が自己規制を行ったことを知っていると答えた。そして自己規制の内容については,「中国政府に関するマイナスの情報を小さく扱った」が20%,「中国当局が不快感を持つと予想される話題を小さく扱った」が20%などとなっている。香港記者協会では,ジャーナリストの自主規制の実態は,調査結果よりさらに悪い可能性もあるとして,各記者・編集者に対し公平さ・勇敢さなどジャーナリストとしての高い意識を持つよう,呼びかけている。

韓国スカイHDチャンネル「NHKハイビジョン」枠を開設

韓国の衛星デジタルテレビ放送「スカイライフ」のハイビジョンチャンネル「スカイHD」は2月12日,新しい番組枠として「NHK HD」を開設,NHKのハイビジョンドキュメンタリー番組の放送をスタートした。放送時間枠は月曜日から金曜日まで,午後9時30分から1時間で,スカイ HDでは韓国語字幕をつけて放送している。スカイHDは2003年9月に本放送を開始したスカイライフ唯一のハイビジョンチャンネルで,現在,NHKの海外向け配信チャンネル「NHKワールド・プレミアム」を含め,100あまりのチャンネルを放送している。

インド,マラーティー語初のニュースch.開設

大都市ムンバイを州都とするマハラシュトラ州の公用語マラーティー語による初めての24時間ニュースチャンネルが,2月12日,放送を開始した。大手衛星放送事業者Zeeのニュース部門Zee Newsが運営するもので,呼称はZee 24 Taas。インドではここ数年,24時間ニュース専門チャンネルの開設が続き,連邦公用語のヒンディー語,準公用語的な英語を中心に40以上のチャンネルが視聴シェアをめぐり,しのぎを削っている。最近は地方公用語のチャンネル開設も目立っている。

スリランカ,CBNSatがDialog TVの呼称で再開

スリランカ初の直接衛星放送プラットフォームで,半年以上サービスを停止していたCBNSatが,2月8日,呼称をDialog TVに変えサービスを再開した。運営も元のCommuniq Broadband Network社から携帯電話大手Dialog Telekomの子会社Asset Media社に変わった。提供しているチャンネル数はテレビが32,ラジオが5。再開時の加入件数は,CBNSat時代の加入世帯を引き継ぎ約2万。 CBNSat は,2005年5月,Communiq Broadband Network社の手でDTHによる衛星放送を開始したが,2006年6月,DTHに必要な免許を所有していない,反政府組織LTTE(タミル・イーラム解放のトラ)のTVチャンネルNTTを伝送しているなどの容疑で放送停止処分を受け,その後サービスを再開できないでいた。結局,容疑は晴れ放送免許は回復したものの,Communiq Broadband Network社の財政は破綻,2006年12月,CBNSatの経営はDialog Telekomに移されていた。