放送研究と調査(月報) - 目次

各国の「放送界の動き」に関する情報を掲載しています。

放送界の動き

2007年2月

2.1次世代放送サービス研究 NHKが欧州3公共放送研究機関と提携

NHKは,スーパーハイビジョン等次世代放送サービスの研究開発と技術標準化で,BBC(イギリス),IRT(ドイツ),RAI(イタリア)の欧州3公共放送と提携すると発表した。研究者の相互派遣や,次世代技術の国際標準化活動を連携してすすめる。

2.7『発掘!あるある大事典II』 「放送番組委員会」が声明

「放送倫理・番組向上機構」の「放送番組委員会」の有識者委員が,関西テレビが制作した『発掘! あるある大事典II』の問題は放送界全体が抱える構造的な問題だと指摘する声明を発表した。同委 員会は,(1)何重もの下請け化による分業構造が,きめ細かい品質管理を難しくしている,(2)外部制 作者も含め,実効ある教育システムが必要である,などと指摘した。

2.7関テレ,「あるある」で調査報告書

関西テレビは,『発掘! あるある大事典II』に関する調査報告書を総務省に提出した。それによると,ねつ造は孫請け制作会社のディレクターの独断で行われ,下請けと関西テレビのプロデューサーが見抜けず,監督責任を果たせなかったとしている。総務省は,孫請け制作会社に責任を押し付けており,原因究明が不十分だとして,報告書を再度提出するよう求めた。

関西テレビは2月28日に再報告書を提出。原因については,現場を監督する立場の部長,局長レベルでもねつ造防止策の基準を設けておらず,最終的には社長に責任があるとの見解を表明した。

2.14大臣答弁で不適切な編集,TBSが謝罪

TBS は,2月11日に放送した『サンデー・ジャポン』で,2月7日の衆院予算委員会での柳沢厚生労働大臣の答弁に関して,不適切な編集があり,放送内容が大臣答弁の趣旨と異なるものになったと謝罪した。柳沢大臣が「子どもを産む機械」発言に関して謝罪した答弁を,別の質問に関して答弁したように編集した。原因についてTBS は,担当プロデューサーの勘違いと発表した。

2.15民放連,関西テレビの会員活動停止処分

民放連が理事会で,『発掘! あるある大事典II』のねつ造問題で,関西テレビの会員活動をこの日から当分の間停止する処分を決めた。会員活動停止処分は除名につぐ厳しい処分である。

2.21テレビ東京,別人の映像を使用

テレビ東京が1月6日に放送した『今年こそキレイになってやる! 正月太り解消大作戦』で映像のすり替えがあったと指摘された問題で,菅谷定彦社長が記者会見で「ねつ造と受け取られても仕方がない事態」だと認めて謝罪した。番組のなかの「ヨガで血行がよくなる」コーナーで,血行がよくなったと紹介した指先の映像は,ヨガ体験をした女性タレントのものではなくスタッフの指先の映像だった。

2.22日テレに仏政府「グランド・メセナ賞」

日本テレビが日本の企業としては初めて,フランス文化に多大な貢献をした個人・法人に授与される仏政府の「グランド・メセナ賞」を受賞し,パリで授与式が行われた。日本テレビは,ルーブル美術館のモナ・リザ展示室の新設やニースの美術館の日本庭園造園などに貢献した。

2.28TBSと「楽天」,覚書解消へ

TBS は,株式の19%を所有する「楽天」との業務提携交渉条件等を定めた「覚書」を解消すると発表した。「覚書」は「楽天」がTBS 株を大量に取得し経営統合を提案して紛争となった際に,事態収拾のため2005年11月に交わされた。提携交渉の条件として,「楽天」は保有株式の半分を金融機関に信託し議決権行使ができないようにすることなどが盛り込まれていた。提携交渉はこれまでほとんど進展せず,「楽天」は信託を継続しないとし,TBSに「覚書」解消を申し入れていた。