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カラスが怖い!なぜ人を襲う
梅本一成(記者)
2021年09月15日 (水)

視聴者の皆さんから寄せられた質問に答えるナノコエ。
今回は青森市在住で3人のお子さんを持つ中澤利恵さんからの質問にお答えします。
この記事で分かること
- カラスは5~7月の子育ての時期に人を襲う
- 子どもは狙われやすい可能性がある
- カラスは人の死角から後頭部を狙う
- 帽子や傘など身近なもので対策できる
- 何も持っていないときはバンザイのポーズが効果的
公園で子どもを遊ばせていたら…
1歳から5歳まで3人の子どもを育てる中澤さんはこの春、青森市の合浦公園で子どもを遊ばせていたところ、カラスに襲われそうになったといいます。
中澤利恵さん
公園の松林で松ぼっくりを拾って遊ばせていたら、カラスが上空でカーカーと鳴いて、かなり怖くて、子どもの近くにバサバサと飛んできたので、抱えて逃げました。カラスに襲われない対策と、どうしたらカラスとうまく住み分けられるのか、刺激しないでいられるのかを知りたいです。
中澤さんに最初に話を聞いたのは6月上旬でした。
直後に一緒に取材をしている同僚のカメラマンからもカラスに襲われたという話を聞きました。
中澤さんの子どもだけでなく、カラスに襲われたという人は、かなりの数いるのではないかと感じました。
5月の大型連休から7月にかけて要注意
なぜカラスは人を襲うのか?その謎を知りたいと思いました。
今回は中澤さんにNHK青森放送局に来てもらい、一緒に専門家に話を聞くことにしました。
答えてくれたのはカラスについて、20年近く研究を続けている宇都宮大学の塚原直樹特任助教です。
Q. カラスはなぜ、人を襲うのか?気をつけなければいけない季節は?
宇都宮大学 塚原直樹 特任助教
5月の大型連休から7月くらいが人に対して威嚇攻撃が起こる時期になります。子育てのシーズンで、卵を産んで、そのあとひなが巣立ちをしますが、巣立ったあとにしばらく親元で飛ぶ練習をします。そこに人が気軽に近づいてしまうと、親のカラスからすると、ひなが襲われるかと思い、翼でバサバサと近づいたり、後頭部に足をひっかけたりして驚かせるような行動をします。
中澤利恵さん
Q. 公園でも同じように散歩をしているおじいさんや、おばあさんがいるのですが、親子連れのほうにカラスが飛んでくる気がします。なぜでしょうか?
宇都宮大学 塚原直樹 特任助教
散歩しているご年配の方は動き回っている、その場から立ち去ると思います。お子さんは土いじりをするなど、その場にとどまることが多いと思います。その場から離れないということは親ガラスからすると、ひなに対して危害を加えると思われるのではないか。
Q. カラスが襲ってくる前の前兆のようなものはある?
宇都宮大学 塚原直樹 特任助教
ガー、ガーという濁った声がします。きょうはカラスが騒がしいと感じると思うので、ガー、ガーと鳴いているときは要注意ですね。
身近なものを使って対策を
Q. では、カラスに襲われそうになったとき、私たちはどう対処すればいい?
宇都宮大学 塚原直樹 特任助教
カラスも人が怖いので、だいたい後頭部のほうから人の死角を狙ってきます。後頭部を守るような行動をしていただくのがいいと思います。後頭部を守るために傘をさすとか、けがをしないために帽子をかぶるとか、頭にタオルをまくとか、そんなこともいいと思います。
Q. 何も持っていなかったときは?
宇都宮大学 塚原直樹 特任助教
バンザイのポーズをとるというのを紹介しています。カラスは翼が非常に敏感で、両腕を上げていれば、翼が腕に当たりそうになるので、ちゅうちょして来なくなります。襲われる可能性は非常に少なくなります。
取材を終えて 中澤さんは…
中澤利恵さん
まず身近にできるところから、傘をさすとか、手を上げるとか、すごく簡単にできそうだなというのがおもしろくて。お互いに子どもを守ろうとして行動しているのが分かっておもしろかったです。
中澤さんの子どもたちは、この夏、カラスの声が聞こえると、バンザイをするようになったということです。
私たちの少しの工夫でカラスとの接触を避けることができるので、皆さんも参考にしてみてください。
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