ページの本文へ

  1. トップページ
  2. 富山の文化・食・旅
  3. 富山の宝 トロッコ電車の冬休み

富山の宝 トロッコ電車の冬休み

執筆者のアイコン画像島田光(カメラマン)
2023年01月06日 (金)

「トロッコ電車」の愛称で知られる黒部峡谷鉄道。

深い峡谷を越え、豪雪地帯の山々を走るこの鉄道は、雪崩の事故などを防ぐため、毎年12月から翌年春までは運行を休止します。トロッコ電車は長い冬休みに入り、ここで働く皆さんも長いお休みか…?と思いきや、実はこの運休期間は、来春の安全運行のための車両整備で、車庫は大忙し!その裏側をのぞいてきました!

 

 (令和4年1月放送)

 

日本で数少ないナローゲージ!貴重な車両を大切に使い続ける

黒部峡谷鉄道のレールの幅は762mmと特殊でお客さんを乗せて走る鉄道としては、ケーブルカーを除いて日本で3社4路線しかないナローゲージのひとつ(在来線(1,067mm)の約7割!新幹線(1,435mm)と比べるとおよそ半分!)。量産できないオーダーメードの車両で、およそ半分が製造から50年以上経っています。コストも高く、簡単には新しいものへと変えられない車両だからこそ、長く使い続けるために、丁寧に汚れを落とし、隅々まで点検します。

ol_kurotetsu.jpg

 

社員総出で車両整備!

なんと言っても驚きなのは、この車両整備を運転士や駅員など、社員総出で行う事!10人あまりの整備士を中心に、総勢約70人で整備を行います。

ekiin.png
「シーズン中は窓口で切符の販売や駅の状況などの案内をしています」

irekae.png
「欅平駅で列車の入れ替え作業をしています。冬の間はこういったところで油にまみれて仕事をしています」

syasyo_kurotetsu.jpg.png
「本来は車掌です。こういう作業がまさかあるとは入社前は思わなかったので、驚きました」

 

ここで、車両の構造などを学び、自ら整備することで、愛着が湧いてくるそうです。また黒部峡谷鉄道は、並行する道路がないため、奥深い場所でもしも車両に異常があったときに、乗っている運転士と車掌で迅速に対応できねばなりません。油まみれになりながらも、ブレーキや車輪などを細かく分解し、点検・洗浄を行います。 (本来は違う業務を担当しているとは思えない程、手際良く作業をしていました!また、各自のつなぎやヘルメット、軍手も用意されていて、車庫の奥にはつなぎを洗濯・乾燥するための部屋もありました!ちなみに筆者が着ていた雨具に油汚れが付き、新しい模様ができたのも良い思い出…。汚れであちこち黒くなったつなぎは、なんだか勲章の様な格好良さがありますよね。)

seibi_takusan.jpg

整備で車体も本来の姿へ… 

険しいルートを走るこの鉄道では、こまめな速度調整が必要です。そのため、ブレーキ装置の車輪に押し当てる部品(制輪子)が激しくすり減り、毎シーズン交換が必要です。シーズン終わりには、厚さが新品の3分の1までに薄くなります。

syarin.png

また、そのブレーキの部品が削られて出た鉄粉がグリースや汚れと混じり、あちこちにこびりつきます。車輪の色も、鉄色に見えますが、本来の色は鮮やかな水色。車両整備の撮影を行った日は猛吹雪でしたが、寒い中でも、屋外で車輪に溜まった汚れを丁寧に落としていました。トロッコ電車のシンボルカラーであるオレンジの車体に、鮮やかな水色の車輪。シーズン始めにお目見えできるトロッコ電車の本来の姿かもしれませんね!

syarin_senjyo.jpg

来シーズンも安全運行できますように。部署の垣根を越えて、来年春の運転再開に備えます。

fuyu.png

 

 

 

この記事に関連するタグ

最新の記事