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300年の伝統が継承の危機...3年ぶりの開催で強くなった思いとは

執筆者のアイコン画像櫻井里沙(記者)
2022年10月28日 (金)

「絶えてしまったものをもう一度よみがえらせるのは、続けていくより難しい事」。

新型コロナウイルスの影響で中断を余儀なくされた中、富山市八尾町では伝統行事の継承に不安が募っていました。

ようやく迎えたおわら風の盆を経て強くなった女性の思いとは…

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待ちわびた“いつも通りの”9月1日

おわらに欠かせない三味線を奏でるのは、舘谷美里さん(32)です。

舘谷さんは、生まれ育った町で続いてきた伝統行事が再開された喜びをかみしめていました。

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舘谷さんは、物心ついたときからおわらを踊っていて、毎年欠かさず参加してきました。

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練習が面倒に感じた時期もあったと言いますが、中学生の時初めて県外で踊りを披露したのをきっかけに、改めておわらの魅力に気づいたといいます。


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日々募っていた危機感

舘谷さんは現在、富山市岩瀬にあるお店で、三味線や胡弓を教えています。

おわらに関わりながら暮らす中で、これまでも後継者不足に危機感を募らせてきました。

同級生の多くは進学や就職を機におわらから離れ、およそ50人いた同級生のうちいまもおわらに関わっているのは2人だけだと言います。

 

そこに追い打ちをかけたのが、新型コロナの影響による2年連続の中止でした。

長年おわらに携わってきた町の人たちも不安を抱いていました。

 

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地元とおわらに恩返し

舘谷さんは、自分自身がさまざまな経験をさせてもらったおわらに恩返しをしたいと日頃から考えています。

この日は、これからのおわらを担っていく後輩の踊り手たちを丁寧に指導しました。

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3年ぶりのおわら風の盆の開催を通じて、舘谷さんは改めておわらの大切さを感じた           といいます。

地元に根付いた伝統行事の重要性を多くの人と共有し、これからもみんなで楽しみなが守り続けたいと考えています。

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【取材後記】

終戦の年を除いて初めての中止が決まった2020年に富山に来た私は、ことし初めておわら風の盆を見ることができました。「おわらが全国の祭りで1番良い」と上司に聞いていた私は、9月1日をとても楽しみにしていました。哀愁を帯びた楽器の音色と独特な唄、それに合わせて上品に踊る美しい浴衣に身を包んだ踊り手たちを目の前にしたとき、鳥肌が立つくらい感動しました。これからもこの富山県の素晴らしい伝統が途絶えることなく続いていってほしいと願ってやみません。2年連続の中止、3年ぶりの開催を経験した八尾町のおわら風の盆が、これからどう受け継がれていくのか取材を続けていきたいと思います。

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