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後藤記者が徹底解説 JRダイヤ改正2024 北陸新幹線・自由席・コロナ後は【前編】

  • 2024年1月9日

ことし(2024年)3月16日に予定されている、JR各社のダイヤ改正。新規路線の開業や、列車の増便、あるいは減便、それに時刻の変更と、私たちの生活にも大きな影響をもたらします。生活パターンがかわる可能性もあります。そのポイントを、鉄分超濃いめ、JR線の99.7%に乗ったという首都圏局の後藤茂文記者に、鉄分やや濃いめ「乗り鉄」の首都圏ナビ編集長が聞きました。今後の旅の参考にもしていただきたいです。
長いので、2部構成にしました。帰省中、旅行中の方も多いこの時期に、読んでみてください。まずは前編からどうぞ。

編集長

後藤記者、去年(2023年)夏に首都圏局に転勤をして、日々取材活動を行っていますが、遅くなったけど、改めて自己紹介を。「きっぷ鉄」という認識でいいんだっけ?学生時代から公共交通について研究を重ねて、造詣が深いと聞いていますが…。

後藤記者

主に「『乗る』方の研究」をたくさんやってましたね。全国のJRの99.7%を乗りました。「きっぷ」はこれまで、硬券・軟券・補充券(手書きのきっぷ)・旅行会社発行のきっぷなどを集めています。サムネイルの「青春18きっぷ」。これ、発行元をよく見てください。沖縄って書いてません?
※鉄道が走っていない沖縄で買ったのにはちゃんと理由があるんです。個人が沖縄でJRのきっぷを買える、最後の機会だったからです。沖縄で個人客向けに唯一、JR券をその場で販売してきた旅行会社が、去年(2023年)の12月15日で取り扱いを、残念ながら取りやめてしまって…。そのためだけに、取り扱いが終わる直前に沖縄に行って買ってきました。
(※ゆいレールというモノレールが走っていますが、鉄道ではなく「軌道」)

 

なるほど…。ワクワクするし、思いはよくわかったけど、これだけで話が終わってしまうから、そろそろ本題に入りましょう。
まずは、ダイヤ改正全体を眺めて気づく、大きな話題から解説を。

北陸新幹線延伸 東京と福井がつながる!

 

後藤記者にとっても、やはり注目は「北陸新幹線」の敦賀延伸?

そうですね。やっぱり一番大きな話題で外せないと思います。東京から福井県の敦賀駅まで、乗り換え無しで行けるようになります。
所要時間は、東京~福井間で最短2時間51分、乗り換えが必要だったこれまでよりも36分の時間短縮となります。
東京と敦賀を直通する「かがやき」「はくたか」は計14往復で、1時間に1本程度運行する形です。
また、関西や名古屋方面の特急と接続する、敦賀~金沢・富山間を走る「つるぎ」は計25往復の運行予定です。

2023年12月25日放送

新たに北陸新幹線の終点となる福井県は、新幹線延伸の機運を盛り上げようと、関東の主要駅で物産展を開くなど、これから新幹線関係で沿線はさらに盛り上がっていくことでしょう。実際、新幹線の停車する大宮駅があるさいたま市は福井県と協定を結び観光などの分野で連携することになるなど、さっそく新幹線の開通を生かそうという動きも出ています。

消えゆく特急自由席 首都圏では消滅へ

 

ダイヤもそうだが、きっぷの買い方もだいぶ変わりそう。

今回、各社のダイヤ改正の中で目立ったものの一つが、「特急の自由席廃止」です。指定席よりも安い料金で利用できた特急の自由席ですが、これが廃止され、すべての座席が指定席となる動きが、各地の特急で予定されています。

JR東日本では、東京と千葉の房総方面を結ぶ特急「しおさい」「さざなみ」「わかしお」。
JR北海道では、札幌と函館を結ぶ「北斗」や、「すずらん」「おおぞら」「とかち」。
JR西日本では、山陰地方を発着する「やくも」「スーパーはくと」「スーパーいなば」や、大阪と北陸を結ぶ「サンダーバード」。さらに、名古屋や米原と北陸を結ぶ「しらさぎ」。
こうした特急が、全席指定席となります。
首都圏では、すでに常磐線を走る「ひたち」や、中央本線を走る「あずさ」など、多くの特急列車がすでに全席指定席となっていました。
今回の改正で、都内を発着する定期の在来線特急列車からは、自由席はすべて消滅することとなります。

 

帰省の時期など、始発駅で乗れなかった、1時間待ちなどということもあったことを考えると歓迎したい、という声も聞くが…。

確かに、JR各社は自由席廃止について「乗客の着席ニーズに応える」ことや「乗車前に早くからホームで並ぶ必要がない」といったメリットを強調しています。

ただ、全席指定席化で、割安感のある自由席が無くなり、あわせて自由席を使った企画商品も多くが廃止される見込みで、自由席を愛用していた乗客にとっては、不利な面があります。一方でJR各社は、「えきねっと」などのネット予約を使った割引を閑散期に積極的に行うなど、弾力的な価格設定を行うことで、収益の拡大を図るものとみられます。
そして、全席指定にすることで、車掌によるきっぷ確認(車内改札)の手間を省けると言うことで、人手不足対策にもなります。こうしたメリットがあるため、今後も自由席の縮小は続きそうです。

 

なるほど…。一部の列車では、満員になった列車に限って、指定席料金より少し安く乗れる「立席特急券」も発売されることがあると思うが、それの活用も考えなければならないかもね。一部の特急では、乗車日と区間だけ指定した「座席未指定券」というのがあるので、それを使って特急に飛び乗ることはできるね。
しかし、上の画像、きっぷを発行した城端駅がある城端線など、今後、第三セクターに移管される見通しだし、今回のダイヤ改正でIRいしかわ鉄道を通過するJRの特急サンダーバードも廃止になるから、貴重なきっぷだ…。

増便みられるも、終電は?

 

新型コロナが5類に移行し、移動需要も回復しつつあると思うが、その辺の対応は?

外国人観光客も目立ち、一部の路線では増便や、1編成あたりの車両数を増やすといった、輸送力の強化が見られました。たとえば、新宿と富士山周辺の富士急行線を結ぶ特急「富士回遊」は、外国人観光客を中心に利用が好調だとして、1往復増便して、1日4往復体制に。
同じく外国人観光客に人気の、京都や嵐山を走るJR嵯峨野線では、日中に6往復増便することになりました。ただ、それでもコロナ禍前のダイヤに完全に戻るのは難しいようです。
JR西日本はダイヤ改正に関する会見で、前倒しした京阪神エリアの終電を維持することを表明しました。

JR西日本 長谷川一明社長
「労働力不足の中で、列車が終わってから始発電車までの夜間帯に多くの方がメンテナンス作業に従事していただいています。効率化を図っていくということは非常に不可欠な課題であるということで、終電時間を維持をさせていただく」

これまでも多くの鉄道会社が「乗客数はコロナ禍前に戻らない」と語っていて、鉄道会社にとって厳しい事業環境は続いているようです。

 

コロナ禍では、勤めや学校でもオンラインやテレワークが普及するなどしたこともあって、外出する人も減ったよね。鉄道会社によっては、1本あたりの列車の両数を減らしたところも多かったけど、一気に元に戻すのは難しいんだね。
ところで、99.7%のJR路線に乗ったとのことだけど、残りはどこ?いつ乗りに行くの?

それはまた後で説明しますよ。まだダイヤ改正の内容を語りつくしていないので…

 

了解。では、後編では、JR各社のポイントを解説してもらいましょう

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