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鳥島近海の地震「津波 比較的規模小さな地震でも」解析に使ったT波とは

  • 2023年11月10日

太平洋沿岸で津波が観測された10月9日の東京・伊豆諸島の鳥島近海を震源とする地震について、政府の地震調査委員会が見解をまとめました。発生原因などは不明としたものの少なくとも14回の地震が起きていたとしたうえで、「この海域では比較的規模の小さな地震でも津波が発生していて、当面は注意が必要だ」としています。その内容や解析に使われた「T波」についてまとめました。

10月9日 八丈島八重根で60cmの津波

鳥島近海では10月2日から8日にかけてマグニチュード6クラスの地震が4回発生しました。10月9日にも地震が発生しましたが、震度1以上の揺れが観測されないなかで八丈島の八重根で60センチ、伊豆諸島や小笠原諸島、関東、西日本の太平洋沿岸で数十センチの津波を観測しました。

鳥島近海では午前4時~7時 14回の地震

政府の地震調査委員会は11日、文部科学省で定例の会合を開き、9月の地震活動や10月に入り活発な活動が続いた東京・伊豆諸島の鳥島近海を震源とする地震について分析しました。

10月9日の地震について地震調査委員会の検討では地震の規模が小さく波形が明瞭でないため、詳しい震源や発生原因を決められないとしたものの、「T波」と呼ばれる海中を伝わる音波の観測データの解析から、鳥島近海では午前4時から7時までの間に、地震が少なくとも14回発生していたと評価しました。

P波 S波に続くT波とは

地震が起きると、発生直後に伝わる「P波」や、そのあとに来る大きな揺れ「S波」が広く伝わりますが、地震が海底で起きた場合、これらの揺れが音波となって海中を伝わることがあります。
「P波」や「S波」に続く“第3の波”(Tertiary)という意味で「T波」と呼ばれています。「T波」は「P波」や「S波」と比べ伝わる速度が遅いため、通常は地震の解析に使われません。

今回の鳥島近海の地震では小笠原諸島の父島に設置している地震計で「P波」や「S波」が明瞭に観測されなかった一方、「T波」ははっきりと確認でき少なくとも14回観測されていました。
 

〇T波到達で震度1以上の揺れ(気象庁会見 11月9日)
10月9日、太平洋沿岸で津波が観測された東京 伊豆諸島の鳥島近海を震源とする地震について、気象庁が「T波」と呼ばれる海中を伝わる音波の広がりの観測データを詳細に解析したところ、およそ1000キロ離れた宮崎県と鹿児島県で震度1から2の揺れが観測された時刻と音波の到達が同じだったということです。

具体的には9日の午前4時すぎから午前6時半ごろの間に、合わせて16回の揺れを観測していました。
データから、気象庁はT波によって宮崎県と鹿児島県の揺れが発生したとみられるとしていて、T波の到達で震度1以上の揺れが観測されたのは初めてです。【追記:11月10日】

 

鳥島近海 比較的規模の小さな地震でも津波

その上で政府の地震調査委員会は「今回とは場所が異なるものの鳥島近海ではこれまでにもマグニチュード6程度以下の比較的規模の小さな地震で津波が発生していることから当面、注意が必要だ」と指摘しています。

地震調査委員会の平田直委員長は「珍しいことだが、今回のように揺れをほとんど感じず津波が来ることはある。気象庁の発表する情報を活用してほしい」と呼びかけています。

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