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伊豆諸島など津波の原因・地震の詳細 気象庁や専門家は?2023年10月9日

  • 2023年10月10日

気象庁は伊豆諸島と小笠原諸島をはじめ広い範囲に津波注意報を発表した2023年10月9日の伊豆諸島の鳥島近海を震源とする地震では、地震の規模がそれほど大きくないにもかかわらず津波が発生しました。専門家は「通常の地震とは異なる現象が起きている可能性がある」と指摘しています。専門家の見方と10日時点の気象庁の解析をあわせてまとめました。

9日朝 鳥島近海を震源とする地震で津波

気象庁によりますと、9日の午前5時25分ごろ、東京・伊豆諸島の鳥島近海を震源とする地震があり、伊豆諸島の八丈島で60センチ、神津島と三宅島で50センチの津波を観測したほか、小笠原諸島や千葉県、高知県、宮崎県、鹿児島県でも40センチから10センチを観測しました。

東京の伊豆諸島では港に係留されていた船の転覆が相次ぎ、地元の役場が津波の影響とみて確認を進めました。

一方、震度1以上の揺れは観測されませんでした。

“通常の地震と異なる現象か”

津波のメカニズムに詳しい東京大学地震研究所の三反畑修助教は、今回の津波が発生したメカニズムはについて現時点では分からないとしたうえで、海外の研究機関による地震の解析結果から断層が動くことで発生する通常の地震とは異なる現象が起きていた可能性があると指摘しています。

三反畑さんによると、一般的に岩盤がずれ動く地震で津波が発生するケースは海域の浅い場所を震源とするマグニチュード6.5以上の地震とされていますが、今回の地震について海外の研究機関が発表しているマグニチュードは5程度とそれを下回っています。
それでも伊豆諸島や関東、西日本などでは津波が観測されました。

通常の地震以外で津波が発生するケース

通常の地震以外で津波が発生するケースとして三反畑さんは、海底火山の爆発的な噴火や、2022年にトンガの海底火山で起きたような噴火に伴う衝撃波、それにマグマの活動に伴う海底での地殻変動や、海底で起きる地滑りなどを挙げています。

今回の地震の震源周辺は海底火山が多く、マグマに関連した海底での地殻変動の可能性が考えられると指摘しています。

海底火山 マグマだまりの膨張で地震や津波も

伊豆諸島や小笠原諸島の海域には多くの海底火山があり、地下にはマグマだまりがあると考えられています。
地下深くからマグマが供給されるとマグマだまりが膨張し、岩盤が破壊されて地震が発生したり地形が大きく隆起することで海水が持ち上げられて津波が発生したりすると考えられるということです。

鳥島近海 10年間隔で地震規模に比べ大きな津波

けさの地震の震源からは北へ200キロほど離れているものの、鳥島近海では2015年や2006年、1996年、1984年とおおむね10年間隔で地震の規模に比べて大きな津波が起きていて、三反畑さんはいずれのケースもマグマの活動によって海底が隆起したためではないかと指摘しています。

東京大学地震研究所 三反畑 修 助教
「地震の規模が大きくないにも関わらず、大きな津波が観測され通常の現象とは異なることが発生していると考えられる。今回の領域で発生した津波は経験が無く、驚きをもって受け止めている。伊豆・小笠原諸島の海域には非常に多数の海底火山があり、こうしたところで海底の火山現象や地すべりが起きれば、大きな揺れを伴わずに大きな津波が発生する可能性がある。今後も最新の情報に注意してほしい」

地震規模やメカニズム 詳しい震源わからず(10日)

この地震について、気象庁は10日午後に開かれた会見で地震の規模やメカニズム、それに詳しい震源がわかっていないことを明らかにしました。

通常、地震が起きると、小さな縦揺れのあとに大きな横揺れが続きますが、今回の地震はそれらの波形がはっきりしないということで、こうしたケースは特殊だとしています。

津波を伴うようなマグニチュード6クラスには達していないとみられるものの、周囲に観測点が少ないことやその前に起きた別の地震のデータが混在したこともあり、解析には時間がかかるということです。

気象庁の下山利浩地震情報企画官は「かなり珍しい地震で揺れの波形がはっきりと見えない。今回のように海域で起きる地震は揺れを感じなくても津波を伴うことがある」と述べ、引き続き鳥島近海の地震活動に注意するよう呼びかけています。

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