【埼玉県知事選 開票結果】
現職と新人の3人による争いとなった埼玉県知事選挙。無所属の現職で、与野党5つの党のいずれも県組織が支持した大野元裕氏(59)が2回目の当選を果たしました。
投票率は23.76%で、全国のこれまでの知事選挙で過去最低となりました。
開票結果や勝因、投票率、県政の課題について記者解説を交えお伝えします。
現職と新人の3人の争いとなった埼玉県知事選挙は、無所属の現職で、与野党5つの党のいずれも県組織が支持した大野元裕氏(59)が2回目の当選を果たしました。
埼玉県知事選挙は、自民党、立憲民主党、日本維新の会、公明党、国民民主党のいずれも県組織が支持した現職の大野氏が、共産党の新人の柴岡祐真氏と無所属の新人の大沢敏雄氏を抑えて2回目の当選を果たしました。
大野氏は、埼玉県出身の59歳。平成22年に参議院議員となり、旧民主党政権では防衛政務官を務め、前回・4年前の埼玉県知事選挙で初当選しました。
選挙戦で、大野氏は、▼急速に進む少子高齢化に対応したコンパクトなまちづくりや、▼持続可能な経済政策、▼デジタル技術を活用した働き方や行政の改革などを訴えました。
その結果、支援を受けた各党の支持層や、いわゆる無党派層などからも幅広く支持を集めました。
大野氏は「多くの課題が待ち受けているので、改めて気を引き締めているところだ。これまで『県民党』としてやってきてみんなで対応する輪が広がったので、災害対応や子育て支援などについて、ワンチームでできる限りの仕事をしていきたい」と抱負を述べました。
開票は終了しました。結果は次の通りです。
埼玉県知事選挙に立候補したのは、届け出順にご覧の方々です。
共産党が公認する柴岡氏は、党県委員会の書記長を務めています。
音楽家の大沢氏は、県知事選挙には初めての立候補です。
2期目を目指す大野氏は、自民党、立憲民主党、日本維新の会、公明党、国民民主党のいずれも県組織が支持しています。
1期4年務めた現職に対し、2人の新人が挑む構図です。
前回の知事選挙で、現職の対立候補を支援した自民党と公明党の県組織は、今回は現職を支援しています。
立憲民主党と国民民主党の県組織は前回に引き続き、現職を支援しています。
日本維新の会の県組織は、今回、現職を支援しています。
前回は、現職を支援した共産党は、今回は新人を擁立しました。
埼玉県知事選挙の投票率は、全国の知事選挙で過去最低となる23点76%でした。
投票率を市部と町村部で分けて見ると、市部は23.25%、町村部は30.80%でした。
市区町村別に見ると、最も低かったのは八潮市の17.84%で、次いで川口市の19.80%、三郷市の19.94%で、この3つの市が20%を下回りました。川口市は当選した大野氏の地元です。
一方、最も高かったのは、小川町の54.47%で、次いで東秩父村の48.55%、杉戸町の40.71%でした。40%を超えたのはこの3つの町と村だけで、このうち小川町と杉戸町では、知事選挙とあわせて町議会議員選挙も行われていました。
期日前投票では、有権者全体の7%余りにあたる45万139人が投票しましたが、前回・4年前よりも8万6000人余り減りました。制度の導入以来、前回まで増え続けましたが、今回、初めて減少に転じました。
今回の選挙を含めたこれまでの全国の知事選挙の投票率を低い順に見ると、
今回、令和5年の埼玉県知事選挙の23.76%、
平成23年の埼玉県知事選挙の24.89%、
昭和56年の千葉県知事選挙の25.38%、
平成27年の埼玉県知事選挙の26.63%、
平成17年の広島県知事選挙の27.14%となり、
埼玉県知事選挙が下から5つのうち3つを占める結果となりました。
さいたま放送局の藤井記者とお伝えします。藤井さん、現職の大野さんの圧勝という結果になりましたが、勝因は何だったんでしょうか?。
大野さんは今回、自民党や立憲民主党など与野党5つの政党の県組織からの支持をうけました。こうした、いわゆる「与野党相乗り」の支援を受けたことが、今回の勝利につながったと思います。
前回・4年前の選挙では、大野さんの対立候補を支援した自民党と公明党も、今回は大野さんの支持にまわりました。選挙戦では、前回、自民・公明両党の推薦を受けて争った、青島健太参議院議員も応援演説に駆けつけるなど、与野党5つの政党から幅広い支援を受けました。
自民党県連の幹部は、今回、大野さんの支持に回った理由について「自民党・公明党とも連携しながら、新型コロナウイルスなどの危機管理対応にスピード感をもってあたったことが評価できる」などと話していて、4年間の県政運営を評価したことをあげています。
選挙戦で大野さんは、新型コロナウイルスや災害への対応、行政改革を進めたことなどをこの4年間の実績として訴えました。
出口調査でも、大野さんの県政運営について尋ねたところ、「評価する」が87%、「評価しない」が13%で、大野さんの県政運営が有権者からも評価されたことがうかがえます。
今回の選挙で注目されていた投票率は23.76%で、過去最低となりましたね。
全国のこれまでの知事選挙で最も低かったのは、平成23年の埼玉県知事選挙の24.89%でした。今回はこれをさらに下回り、全国のこれまでの知事選挙でも過去最低となりました。
前回は事実上の与野党対決の構図になり、30%を上回りましたが、今回は、与野党が相乗りして大野さんを支援したことで、選挙の争点が分かりにくくなったことなどから過去最低の投票率になったと見られます。
今回の投票率の低さについて、専門家は「埼玉県は都内で働く人が多いなどの理由で県政に関心のある人が少ないうえ、今回ははじめから現職が優勢だったためわざわざ投票に行こうという気持ちにならなかった」と分析しています。
今後、有権者の関心を高めるために、当選した大野さんや行政の側で、取り組んでいく必要があると感じます。
大野さんは2期目に入るわけですが、今後の埼玉県政は、どのようなことが課題になりそうですか?
出口調査で、知事に期待する政策を尋ねたところ、「医療・福祉の充実」が31%で最も多く、次いで「経済・雇用対策」が27%、「教育・子育て支援」が22%などとなっています。
埼玉県は75歳以上の人口が全国で最も速いペースで増加すると見込まれるなど少子高齢化が急速に進んでいるほか、医師不足などにも直面しています。また、コロナ後の経済政策、災害対策をどう進めるかなど、喫緊で対応しなければならない課題もあります。
この4年間、大野さんはコロナや災害などの危機対応に追われました。埼玉県が抱える課題に対し、次の4年間は、自らの公約に掲げる少子高齢化を見すえたコンパクトな町づくりや、そのための財政基盤の安定化などに本格的に取り組むとみられ、独自色を示せるのか注目されます。
また、大野さんは、これまで進めてきたデジタル化や働き方改革を前提に、今後、県庁舎の建て替えについても検討するとしています。県庁舎は、最も古い部分が建設から70年以上経過し、老朽化が進んでいます。次の4年間で、新しい庁舎をどのようなものにするか、具体的な方針を示せるのかどうかも焦点になります。