1. NHK
  2. 首都圏ナビ
  3. もっとニュース
  4. 自転車「青切符」背景の自転車事故 遺族と加害者の思いとは“ルール守らないと凶器” “すべての人不幸に”

自転車「青切符」背景の自転車事故 遺族と加害者の思いとは“ルール守らないと凶器” “すべての人不幸に”

  • 2024年3月5日

後を絶たない自転車の悪質な交通違反。政府は反則金を課す、いわゆる「青切符」による取締りの導入を盛り込んだ道路交通法の改正案を閣議決定しました。

自転車の事故で夫(62)を亡くした女性と、事故を起こした当時19歳の大学生だった男性がNHKの取材に応じました。2人の思いとは…

帰宅途中だった夫が…

事故は6年前の2018年に茨城県内で起きました。

帰宅途中だった夫は、午後8時45分ごろ、最寄りのバス停で降りて、歩行者と自転車に通行区分が分かれている歩道を歩いていたときに、前から走ってきた自転車と衝突しました。

自転車を運転していたのは、当時19歳だった大学生で、ライトが点灯しない状態で、イヤホンで音楽を聴き、スマートフォンを見ながら運転していたため女性の夫に気付かずにぶつかったということです。

~帰宅時間知らせるメール届くも…~

亡くなった夫の携帯電話には、職場を出たあと、いつものように帰宅時間を知らせるために送った「20時50分頃に家に着く」と書かれたメールが残っています。

女性は、夫がその時刻を過ぎても帰宅しなかったため、「どうしましたか?」と心配するメールを送ったり、電話をかけたりしましたがつながらず、その後、病院から連絡が来て駆けつけましたが、翌日亡くなったということです。

女性は、連絡を受けたときの心境について「自転車との事故だったと聞いて最初は、『車じゃなくてよかった』と思いました。自転車事故で亡くなる人がいるのは聞いたことはありましたが、まさかそうなってしまうとは思っていませんでした」と振り返りました。

夫については、「温厚で達観している人でした。36年連れ添いましたが、愚痴を聞いたことは1回もなく、いつも私の愚痴を聞いてくれました。料理も作ってくれたし、散歩も映画も一緒に行って、夜遅くまでよくおしゃべりしていたので、いなくなって今でもとても寂しいです」と話しました。

自転車の利用者に対しては、次のように話していました。

女性
「自転車は、幼児からお年寄りまで運転免許なしで乗れる身近な移動手段ですが、ルールを守らなかったり、ちょっと油断したりすると、凶器になってしまうことをわかってほしい

昨日と同じような人生を歩んでいる人が突然、歩めなくなってしまう。その家族もつらいし、事故を起こした加害者も悔やんでも悔やみきれないと思うので、ルールを守って、楽しく安全に利用してもらいたい」

加害者の思いとは

この事故を起こした当時19歳の大学生だった男性がNHKの取材に書面で応じました。

男性によりますと、当日はアルバイトに向かうために急いで自転車を運転していて、ライトは壊れていたため無灯火だったということです。

そして、時間の確認などのため、スマートフォンを見ながら運転していたところ、ぶつかってしまったとしています。

男性は、重過失致死の疑いで書類送検され、その後、保護観察処分になりました。

~“全ての人を不幸な目に”~

男性は、今回の事故について、自身の違反行為が事故につながったと認めたうえで「自転車のルールを軽いものと思ってはいませんでしたが、ここまでのことが起こることは自分にはありえないとも思っていました。自転車にはその後、乗れておりません」とつづっています。

自転車の利用者に対して伝えたいことを聞くと、「自転車という乗り物を軽く捉えてる人はたくさんいると思いますが、車と同じくらい、いや、車より危険なものだと思います。車には自動運転だったり、事故を防ぐオプションがついているのに対して自転車はありません。自分の操作で決まります。軽い行動が後にものすごい大きなことになる。自転車事故は自分、相手、関わった全ての人を不幸な目にあわせてしまいます。それほど恐ろしいものだと感じました」と記しました。

ページトップに戻る