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「青切符」反則金も 自転車の悪質違反に 16歳以上に適用 道路交通法改正案 閣議決定

  • 2024年3月5日

自転車の悪質な交通違反が後を絶たないなか、政府は反則金を課す、いわゆる「青切符」による取締りの導入を盛り込んだ道路交通法の改正案を閣議決定しました。

「青切符」による自転車の取締りは16歳以上に適用され、112の違反行為が対象となります。

政府は、いまの通常国会での成立を目指すことにしていて、成立すれば「青切符」の反則金制度は公布から2年以内に施行され、自転車の取締りが大きく変わることになります。

「青切符」による取締り 道交法改正案 閣議決定

警察庁によりますと、自転車が関係する交通事故はおととし(2022)、全国でおよそ7万件と増加傾向が続いているほか、死亡や重傷事故のうち、およそ4分の3で自転車側に違反行為が確認されています。

こうした状況を受けて、政府は自転車の悪質な交通違反に対し、車やオートバイと同じように反則金を課す、いわゆる「青切符」による取締りの導入を盛り込んだ道路交通法の改正案を閣議決定しました。

16歳以上に適用 112の違反行為が対象

それによりますと、「青切符」による自転車の取締りは16歳以上に適用され、112の違反行為が対象となります。

このうち、信号無視など重大な事故につながるおそれのある違反を重点的に取り締まることになります。

このほか、改正案には、携帯電話を使用しながらの運転や、罰則の対象外だった自転車での酒気帯び運転を禁止して罰則を設けること、「モペット」などと呼ばれる、電動モーターやエンジンで走行できる二輪車について、ペダルをこいで運転するモードにしても、原付バイクやオートバイに該当すると明確化することなどが盛り込まれました。

政府は、いまの通常国会での成立を目指すことにしていて、成立すれば「青切符」の反則金制度は公布から2年以内に施行され、自転車の取締りが大きく変わることになります。

導入の背景とは?具体的な違反行為とは?

「青切符」による反則金制度を導入する背景には、自転車が関係する事故が増加するなかで、実効性のある取締りを行う必要があったためです。

警察庁によりますと、全国の交通事故の発生件数は毎年、減少している一方で、自転車が関係する事故はおととし(2022)、6万9985件と2年連続で増加しました。

この中で、死亡や重傷事故になった7107件のうち73.2%にあたる5201件で自転車側に前方不注意や信号無視、一時不停止といった交通違反が確認されたということです。

現在、自転車の取締りの多くは、罰則を伴わない専用のカードを使った「警告」でおととし(2022)は全国でおよそ131万件に上りました。

一方、悪質な違反には交通切符、いわゆる「赤切符」が交付され、刑事罰の対象として検察庁に送られることになっています。

おととし、全国で「赤切符」などで検挙されたのは2万4000件余りでしたが、違反者の多くは起訴されず、罰則が適用されるケースは少ないのが実態でした。

「青切符」対象は…
「青切符」での取締りが適用されるのは16歳以上の利用者です。最低限の交通ルールを知っていると考えられることや、原付き免許などを取得できる年齢であること、そして、電動キックボードを運転できる年齢であることなどが考慮されました。

また、対象となるのは112の違反行為で、このうち重大な事故につながるおそれのある違反を重点的に取り締まるとしています。

具体的には…
▼信号無視
▼一時不停止
▼右側通行などの通行区分違反
▼自転車の通行が禁止されている場所を通ること
▼遮断機が下りている踏切に立ち入ること
▼例外的に歩道を通行できる場合でも徐行などをしないこと
▼ブレーキが利かない自転車に乗ること
▼携帯電話を使用しながら運転すること
▼傘を差したりイヤホンを付けたりしながら運転するなど

都道府県の公安委員会で定められた順守事項に違反する行為です。

特に悪質な違反は従来どおり「赤切符」
一方、酒酔い運転や酒気帯び運転、携帯電話を使用しながら事故につながるような危険な運転をした場合などは、これまでどおり、「赤切符」が交付され、刑事罰の対象となります。

「青切符」取締りの時間や場所は…
取締りは、通勤通学や、日没の前後1時間ほどの薄暮時に、自転車の利用が多い駅周辺や過去に事故が発生した場所などで重点的に行われることが想定されています。

警察官の警告に従わずに違反行為を続けた場合や、事故につながりかねない交通の危険を生じさせた場合に「青切符」を交付し、取締りを行うことになります。

反則金については…
反則金は今後、政令で決まりますが、5000円から1万2000円程度になるとみられています。

専門家 “最低限のルールを守ることを心がけて”

自転車に関わる政策の調査・提言などをしているNPO法人「自転車活用推進研究会」の理事長で、警察庁の有識者検討会で委員を務めた小林成基さんは、「青切符」による取締りの導入について次のように述べています。

小林成基さん
「最初から犯罪として取り締まるのではなく、軽微な違反をどうやって減らしていくか、どうやって安全に自転車と車と歩行者が通行できるかということを主眼に考えているので、ルールが厳しくなると思うのではなく、最低限のルールを守ることを心がけてほしい」

そのうえで、次のように指摘しました。

「歩行者をちゃんと守る、そのために自転車もルールを守る、車も自転車を意識して自転車を危ない目に遭わせないというのが大原則なので、制度、法律、警察のキャンペーン、民間の呼びかけがその方向に向かうことが今後、重要になると思う」

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